ゆりこが至急会いたがっているには事情があるに違いないのだが、もう随分長い間話し合っていない気がする。
自分がだらしないのだが、ゆりこの強さに負けている今はあまり会いたくはなかった。せめて自分で商売を始めてから改めて向き合おうと考えていたからだ。
少し迷ったが、今週土曜日の午後会うことにした。
ゆりこはいつもの場所でと言ってきたが、桜ヶ丘公園も久し振りで、一度は完全に絶ちきろうと決心したにも関わらず、結局引きずったままの状態は、やり直すには遅すぎる今を認めていくしかないのだろうと、ベンチに座って待っている彼女の姿を思い浮かべた。
なだらかに登って聖ヶ丘橋の見えるベンチに、いつものゆりこがさくらの木を眺める格好で座っていた。
ゆりこは考え事があると必ずここに来るが、満開の桜の木の下で親子3人が楽しそうに語らっているのを眺めていた時は、自分には当分縁のない世界だと諦めの気持ちでみていたのを思い出す。
視線を感じて振り替えると、誠二が微笑んで立っていた。
「久し振りだね」
「誠二さん・・変わりない?」
「うん、これからの事はまだ固まっていないけど、だいぶ絞れてきたから」
「そう、よかったわ、私誠二さんに随分負担をかけさせてしまったから」
「そんなことないよ、負担なんて」
「でも遠回りさせたのよ」
「そんな、それよりも何かあったの?」
「ええ、父がね、具合が悪くなって」
「入院したの?」
「まだだけど、お医者さんはできるだけ早く入院した方がいいって」
「僕でも役にたてれば、何でも言ってね」
「大丈夫よ、飲み過ぎだから」
「府中にはよく行ってるの」
「あの椿はたまにだけれど、いろいろなお店にいってるらしいわ」
「府中の顔だね」
「そのお陰で面倒な事も起きてしまって」
「事件にでもまきこまれたの?」
「いえ、そうじゃなくて自宅の件なんだけど」
彼女の歯切れが悪くなってきた。
自分がだらしないのだが、ゆりこの強さに負けている今はあまり会いたくはなかった。せめて自分で商売を始めてから改めて向き合おうと考えていたからだ。
少し迷ったが、今週土曜日の午後会うことにした。
ゆりこはいつもの場所でと言ってきたが、桜ヶ丘公園も久し振りで、一度は完全に絶ちきろうと決心したにも関わらず、結局引きずったままの状態は、やり直すには遅すぎる今を認めていくしかないのだろうと、ベンチに座って待っている彼女の姿を思い浮かべた。
なだらかに登って聖ヶ丘橋の見えるベンチに、いつものゆりこがさくらの木を眺める格好で座っていた。
ゆりこは考え事があると必ずここに来るが、満開の桜の木の下で親子3人が楽しそうに語らっているのを眺めていた時は、自分には当分縁のない世界だと諦めの気持ちでみていたのを思い出す。
視線を感じて振り替えると、誠二が微笑んで立っていた。
「久し振りだね」
「誠二さん・・変わりない?」
「うん、これからの事はまだ固まっていないけど、だいぶ絞れてきたから」
「そう、よかったわ、私誠二さんに随分負担をかけさせてしまったから」
「そんなことないよ、負担なんて」
「でも遠回りさせたのよ」
「そんな、それよりも何かあったの?」
「ええ、父がね、具合が悪くなって」
「入院したの?」
「まだだけど、お医者さんはできるだけ早く入院した方がいいって」
「僕でも役にたてれば、何でも言ってね」
「大丈夫よ、飲み過ぎだから」
「府中にはよく行ってるの」
「あの椿はたまにだけれど、いろいろなお店にいってるらしいわ」
「府中の顔だね」
「そのお陰で面倒な事も起きてしまって」
「事件にでもまきこまれたの?」
「いえ、そうじゃなくて自宅の件なんだけど」
彼女の歯切れが悪くなってきた。
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