緩やかな坂を上っていくと、すぐ右側に、いちばん目立つ美しい建物が目にはいってくる。
入り口に正装の受付が立っているので、ゆりこが調べてみると、結婚式場だった。
「綺麗な建物ですね、僕もこういう所がいいな」
田口も感激しているようだ。
「良太さん、早くいい相手をみつけなさい」
「すぐ近くにいるんだけどな」
「何を言ってるの」
「僕はあなたがいいんです」
「そんな簡単に言うものじゃないわ、まだ知り合って間もないのに」
「関係ありませんよ、私はあなたがとっても気にいったんです」
「単純なのね」
「性格ですから、でもあなたのことは分かってきたつもりです」
[みなみの]の丘に建つ住宅は、庭を広めにとった贅沢な作りも多く、大学の為に出来た町、という説明書きより、高級住宅街の雰囲気が漂っている。
隣りにいる金持ちの御曹司と一緒になれば、此処に住むのも夢ではない。
ゆりこは一瞬その思いを巡らしたが、田口は無論なにも感じていない様で、通りを一歩入った住宅街の中にある目立たないレストランを見つけると、休憩しましょうと言って、先に入っていった。
「こういう普通の家がお店っていいなあ、僕も将来趣味の商売をやってみたいですよ」
「良太さんの趣味って何?」
「意外と渋くて、古い物が好きなんですよ」
「骨董なの」
「特に拘らないんですけど、昔の小物、雑貨、陶磁器、何でも好きです」
「古い場所は、どうなの」
「好きですよ、今住んでいる武蔵境は気に入っています」
「武蔵野のひとね」
ゆりこは、誠二の面影を追い求めた。
しかしすぐに、仕事の話に切り替えていった。
「新しい町にあったキャンペーンをしていく、といっても漠然としていて」
「それを我々で創り上げていくんですよ」
「でも、出来るかしら」
「あなたのイメージでここから発信して行くのです」
入り口に正装の受付が立っているので、ゆりこが調べてみると、結婚式場だった。
「綺麗な建物ですね、僕もこういう所がいいな」
田口も感激しているようだ。
「良太さん、早くいい相手をみつけなさい」
「すぐ近くにいるんだけどな」
「何を言ってるの」
「僕はあなたがいいんです」
「そんな簡単に言うものじゃないわ、まだ知り合って間もないのに」
「関係ありませんよ、私はあなたがとっても気にいったんです」
「単純なのね」
「性格ですから、でもあなたのことは分かってきたつもりです」
[みなみの]の丘に建つ住宅は、庭を広めにとった贅沢な作りも多く、大学の為に出来た町、という説明書きより、高級住宅街の雰囲気が漂っている。
隣りにいる金持ちの御曹司と一緒になれば、此処に住むのも夢ではない。
ゆりこは一瞬その思いを巡らしたが、田口は無論なにも感じていない様で、通りを一歩入った住宅街の中にある目立たないレストランを見つけると、休憩しましょうと言って、先に入っていった。
「こういう普通の家がお店っていいなあ、僕も将来趣味の商売をやってみたいですよ」
「良太さんの趣味って何?」
「意外と渋くて、古い物が好きなんですよ」
「骨董なの」
「特に拘らないんですけど、昔の小物、雑貨、陶磁器、何でも好きです」
「古い場所は、どうなの」
「好きですよ、今住んでいる武蔵境は気に入っています」
「武蔵野のひとね」
ゆりこは、誠二の面影を追い求めた。
しかしすぐに、仕事の話に切り替えていった。
「新しい町にあったキャンペーンをしていく、といっても漠然としていて」
「それを我々で創り上げていくんですよ」
「でも、出来るかしら」
「あなたのイメージでここから発信して行くのです」