父にいい人ができた。それは喜ぶべき事なのだろうが、いまひとつすっきりしない気持ちが残っている。
自分を振り返ってみても、妻のいる男性と付き合い、深みに入り込む一方なのだが、もう後戻りできない、後戻りするつもりもないと考えている。
誠二と 椿 に行った週の金曜日の夜、家に帰ると殆ど同時に父も戻ってきて、すぐに話かけてきた。
「この間、府中に飲みに行ったんだって」
「あら、どうして知ってるの」
「あの店はね、会社の接待か、お馴染みさんしか行かない所なんだよ」
「でも私、お店の人と個人的な話は何もしなかったわよ」
「お店のママは感づいた様だよ」
「どうして分かったのかしら」
「だいぶ前に写真を見せたかも知れないな、行く度にゆりこの話をしているから」
「そうなの・・お父さん、そのママさんと親しいの?」
「いや、特別、それ程でもないけど、それよりどうやってあの店を知ったの?」
「偶然よ、私の友達がたまたま知っていたので、連れていって貰ったの」
「ゆりこが今つき合っているひとかい」
「・・・まあ、そうとも言えるけど」
「そうか、それならいいんだ、それなら・・」
「私の事より、お父さん、そのママさん好きなんでしょう、そうだったら、私に遠慮する事ないんだからね」
「別に遠慮しているわけじゃないけれど、ああいう商売だから」
「「悪い仕事ではないわ、話はしなかったけれど、挨拶に来られて、とても素敵なひとだったわ、いつかちゃんと紹介してね」
「ゆりこの方こそ、早く紹介してくれよ」
「そのうちね、今はまだ駄目」
「何か事情があるの?]
「時期がきたら話すから」
ゆりこはまだ大分先だな、と半分諦めに似た気持ちで考えていた。
翌週の金曜日に誠二から連絡があり、今日家に来れないかと言うのである。
あまり気が進まなかったが、帰りの夜、寄る事にした。
自分を振り返ってみても、妻のいる男性と付き合い、深みに入り込む一方なのだが、もう後戻りできない、後戻りするつもりもないと考えている。
誠二と 椿 に行った週の金曜日の夜、家に帰ると殆ど同時に父も戻ってきて、すぐに話かけてきた。
「この間、府中に飲みに行ったんだって」
「あら、どうして知ってるの」
「あの店はね、会社の接待か、お馴染みさんしか行かない所なんだよ」
「でも私、お店の人と個人的な話は何もしなかったわよ」
「お店のママは感づいた様だよ」
「どうして分かったのかしら」
「だいぶ前に写真を見せたかも知れないな、行く度にゆりこの話をしているから」
「そうなの・・お父さん、そのママさんと親しいの?」
「いや、特別、それ程でもないけど、それよりどうやってあの店を知ったの?」
「偶然よ、私の友達がたまたま知っていたので、連れていって貰ったの」
「ゆりこが今つき合っているひとかい」
「・・・まあ、そうとも言えるけど」
「そうか、それならいいんだ、それなら・・」
「私の事より、お父さん、そのママさん好きなんでしょう、そうだったら、私に遠慮する事ないんだからね」
「別に遠慮しているわけじゃないけれど、ああいう商売だから」
「「悪い仕事ではないわ、話はしなかったけれど、挨拶に来られて、とても素敵なひとだったわ、いつかちゃんと紹介してね」
「ゆりこの方こそ、早く紹介してくれよ」
「そのうちね、今はまだ駄目」
「何か事情があるの?]
「時期がきたら話すから」
ゆりこはまだ大分先だな、と半分諦めに似た気持ちで考えていた。
翌週の金曜日に誠二から連絡があり、今日家に来れないかと言うのである。
あまり気が進まなかったが、帰りの夜、寄る事にした。