夕飯までは時間があったので、ロビーの近くで見かけたカフェにいってみることにした。
自慢のコーヒーという看板につられて入ったが、確かにこだわっていて、最初はブラックのまま運ばれ、頼むと砂糖とミルクを持ってきてくれる。
気に入っておかわりをしてしまった。
客は誠二だけだったが、飲み終わるころ女性が1人入ってきた。
長い髪は金髪にちかい染め方で、小柄だがとても目立ってアーティストの雰囲気が漂う。
きっと歌い手だろうと直感で決めていた。
30分程すると、女性が表に出ていったので、誠二も夕暮れの写真を撮るつもりで急な坂道を降りだした。
この辺りで1番高い場所にあるホテルなので、とても眺めが良い。
樹齢何百年にもなるだろう大きな杉の木がある神社に着くと、そこから山間に囲まれた小さな町並みが見下ろせて絶景だった。
夢中になって新しいデジタルカメラで何枚も撮って杉の木の下に戻ると、石畳のようなものがあり、そこに金髪の女性が座っていた。
通り過ぎようとすると、
「いい景色ですね」
と話しかけてきた。
「さっきホテルのカフェにいらしたでしょう?」
「僕のこと気づいていたのですか」
「だって他に誰もいなかったから」
黙っているときつい印象だが、笑顔は無邪気な可愛さがあった。
「ここ、小説で有名な場所ですよね」
「そう、あなたが座っている所に美しい芸者さんが座っていたのです」
「ここが・・私じゃ随分違うわね」
「あなたもここによく合いますよ」
「私なんか、こんなで・・」
「歌の仕事をしているんでしょう?」
「わかりますか、そうよね、普通じゃないから」
「そんな、素敵ですよ、僕はそう思います」
「ありがとうございます」
「お名前は?」
「沙織っていいます」
「僕は井坂誠二です」
「井坂さんはサラリーマンなんですか?」
「いや、今は無職です」
自慢のコーヒーという看板につられて入ったが、確かにこだわっていて、最初はブラックのまま運ばれ、頼むと砂糖とミルクを持ってきてくれる。
気に入っておかわりをしてしまった。
客は誠二だけだったが、飲み終わるころ女性が1人入ってきた。
長い髪は金髪にちかい染め方で、小柄だがとても目立ってアーティストの雰囲気が漂う。
きっと歌い手だろうと直感で決めていた。
30分程すると、女性が表に出ていったので、誠二も夕暮れの写真を撮るつもりで急な坂道を降りだした。
この辺りで1番高い場所にあるホテルなので、とても眺めが良い。
樹齢何百年にもなるだろう大きな杉の木がある神社に着くと、そこから山間に囲まれた小さな町並みが見下ろせて絶景だった。
夢中になって新しいデジタルカメラで何枚も撮って杉の木の下に戻ると、石畳のようなものがあり、そこに金髪の女性が座っていた。
通り過ぎようとすると、
「いい景色ですね」
と話しかけてきた。
「さっきホテルのカフェにいらしたでしょう?」
「僕のこと気づいていたのですか」
「だって他に誰もいなかったから」
黙っているときつい印象だが、笑顔は無邪気な可愛さがあった。
「ここ、小説で有名な場所ですよね」
「そう、あなたが座っている所に美しい芸者さんが座っていたのです」
「ここが・・私じゃ随分違うわね」
「あなたもここによく合いますよ」
「私なんか、こんなで・・」
「歌の仕事をしているんでしょう?」
「わかりますか、そうよね、普通じゃないから」
「そんな、素敵ですよ、僕はそう思います」
「ありがとうございます」
「お名前は?」
「沙織っていいます」
「僕は井坂誠二です」
「井坂さんはサラリーマンなんですか?」
「いや、今は無職です」