ゆりこは、誠二から絵を貰ったお礼としてコスモスを撮りに昭和記念公園を訪れた。
何ヶ所かあって全部見て回るのは結構大変だが、やはり北側のコスモスの丘が、名前の通り丘一面に咲き揃い見応えがある。なだらかに下って見える場所が一番気に入って、そこだけで20枚以上撮った。
井坂と会う様になって、以前の夢は全く見なくなっている。義理とはいえ父の夢を見るというのは普通ではない。それから逃れる為に余計井坂に傾倒していきたい気持ちが強くなっているのだろうが、それならそれで構わない、と今は思っている。
井坂の生活の中に割り込んでいくとこの先どうなっていくのか、複雑な関係の主役になって周りから冷たい視線を浴び、嵐に耐えていく覚悟は、そこまでは出来ていない。でも彼もまたゆりこに強い想いを持っている、それは間違いない。
コスモスの咲き揃っている中の細い道を家族連れが楽しそうに歩いている。自分もああいう生活がいつ頃くるのだろうかと、ゆりこは憂いを含んだ目で追っていた。
同じ日、井坂は妻の敦子が最初に入院していた病院を訪ね、そこで一番長く勤めている看護士に会っていた。妻の症状をできるだけ知りたい、と今入院している病院からの紹介状を持参したので快く応じてくれた。
聞いた話を基に調べていくと、敦子の実家があった豊島区椎名町から池袋に近い病院の精神科に、15才の時初めて通ったのが分かったのである。
ゆりこに後押しをされ、調査に積極的になってきたが、やはり昔から病気の兆候があったのだ。
井坂は早速ゆりこに連絡を取り、翌日会う約束をした。
ゆりこは自宅に近い側での人目を避ける為、桜ヶ丘公園でも聖跡記念館のある前で待ち合わせる様にした。
記念館辺りは大きな雑木林に囲まれ遠景は殆ど見えない。
ゆりこが鬱蒼とした中を急ぎ足で歩いて行くと、井坂が熱い眼差しで待っていた。
何ヶ所かあって全部見て回るのは結構大変だが、やはり北側のコスモスの丘が、名前の通り丘一面に咲き揃い見応えがある。なだらかに下って見える場所が一番気に入って、そこだけで20枚以上撮った。
井坂と会う様になって、以前の夢は全く見なくなっている。義理とはいえ父の夢を見るというのは普通ではない。それから逃れる為に余計井坂に傾倒していきたい気持ちが強くなっているのだろうが、それならそれで構わない、と今は思っている。
井坂の生活の中に割り込んでいくとこの先どうなっていくのか、複雑な関係の主役になって周りから冷たい視線を浴び、嵐に耐えていく覚悟は、そこまでは出来ていない。でも彼もまたゆりこに強い想いを持っている、それは間違いない。
コスモスの咲き揃っている中の細い道を家族連れが楽しそうに歩いている。自分もああいう生活がいつ頃くるのだろうかと、ゆりこは憂いを含んだ目で追っていた。
同じ日、井坂は妻の敦子が最初に入院していた病院を訪ね、そこで一番長く勤めている看護士に会っていた。妻の症状をできるだけ知りたい、と今入院している病院からの紹介状を持参したので快く応じてくれた。
聞いた話を基に調べていくと、敦子の実家があった豊島区椎名町から池袋に近い病院の精神科に、15才の時初めて通ったのが分かったのである。
ゆりこに後押しをされ、調査に積極的になってきたが、やはり昔から病気の兆候があったのだ。
井坂は早速ゆりこに連絡を取り、翌日会う約束をした。
ゆりこは自宅に近い側での人目を避ける為、桜ヶ丘公園でも聖跡記念館のある前で待ち合わせる様にした。
記念館辺りは大きな雑木林に囲まれ遠景は殆ど見えない。
ゆりこが鬱蒼とした中を急ぎ足で歩いて行くと、井坂が熱い眼差しで待っていた。