夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

月と六ペンス

2015年02月21日 | 日記・エッセイ・コラム



画を描いていたころ、モームの「月と六ペンス」を読んだ。

家庭と仕事を捨てて画家を目指した彼はタヒチに向かう。
たどり着いたタヒチはもはや楽園ではなく母国の、人間の手の入っていた現実を見る。

都会の喧騒を避けさらに奥へ入った彼は島の娘たちとの触れ合いを画にしたためる。
物理的なパラダイスに失望した彼は、娘たちの心に宿る美を描こうとした。

「月と六ペンス」とは、パリの娼婦たちのしたたかさとタヒチの娘の素直さの対象かもしれない。

楽園に暮らす彼は文明社会の母国に経済的な支えを求める。
画家としての成功と経済的な安定を求める悲痛な訴えはやがて宗教画のような傑作を生む。

「ヘタウマ」とも言えるかもしれないゴーギャンの画がつい先日数百億円で落札された。
そう、芸術の価値とは、ゼロか数百億円かもしれない。

価値を見出した者にとっては全てを投げ出しても欲しい。
価値を認めない者にとってはただのキャンバス素材でしかない。


楽園タヒチからの発信、音楽的には長い間閉ざされていたような側面もあった。
同じような古い音源がジャケットを変えて繰り返し商品化されがっかりするといった図式という意味でである。

しかし元来持ち合わせている才能を表現してそれをハワイアンが受け入れる時代がやってきた。
アレンジといい、楽曲の完成度といい素晴らしい。

タヒチは気になる。

ゴーギャンならずとも夢を探しに行きたくなる何かを持っている。






Tapuari'i Laughlin - "Tapa'o no te here"


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