夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

アイ・ウィル

2014年12月08日 | 音楽


ビートルズファンには、ジョン派とポール派がいるようだ。
ある酒席で「ポールの方が歌が上手い、ジョンはどうも」とおっしゃる方がいたが、味わいが違うというのが正しい。

デビュー前とはメンバーを代えたもののあの4人が歴史を変えたし、歴史を創ってきたことは間違いない。
ジョンの楽曲には説得力がありロマンチシズム満載で、ポールのそれはリズミカルでわかりやすい。

ハワイ出身の盲目のミュージシャン、ショーン・イシモトのステージを見たとき、若いのにビートルズは一通りおさえているらしいと感じた。

コード進行とメロディは、諳んじていても歌詞はなかなかすべてを正確には歌えないもの。
リクエストがあると点字で書かれているらしい歌詞カードを手指で探り確認してから演奏を始める。
バッキングを手伝うマシンらしきものも使ったかもしれないが、視認できない状態でリクエスト曲を演奏しながら歌う様に驚いた。

エレキ・ギターを膝の上に置き、左手でフレットを押さえながら右手でピッキングする。
あたかもスティール・ギターを弾くように、エレキ・ギターを弾くのは、ポジションを眼で確認できないからこその策だろう。
ピアノを弾くように左手が動きメロディが奏でられる。

そのショーンが歌うポールの佳曲「I Will」が素晴らしい。

「I Will」は、69年のホワイトアルバムに収録されていたようだ。
当時リンダにお熱を上げていたポールが作ったということで、ストレートな恋心が伝わって来る。

「君に会った時から僕はもう夢中さ、、」

ポールがギターを弾いて、ベースを口でレコーディングしている。
ジョンがなんとボンゴか、パーカッションを叩いて、ジョージは別のレコーディングをしていて参加していないとか。

簡単そうに聴こえるこの曲を69テイク録って、67テイク目を採用したそうな。
すごい。
気の弱い人間なら10テイクもやればエンジニアに申し訳なくて「もういいです」と言いたくなってしまう。

改めてこの楽曲の魅力をポールとショーンとで比べてみれば
循環コードの進行の上に駄目押し確認するかのようなリズムのポールに対し、ハワイらしく流れるようなリズムを展開するのがショーン。
そしてコードの変わり目にスケール練習のようなフレーズを入れてさらに滑らかさを強調している。

考えてみればハワイ音楽の魅力はゆったり感と軽快なリズムにある。
ポールがストレートに恋を歌い上げるのなら、爽やかにハミングするかのように歌うのがハワイアンスタイルか。

アコースティック・ギターで弾いたのかウクレレで弾いたのかわからないが、ポロポロンと流れるショーンのフレーズは聴いただけで
ビートルズへの愛情とリスペクトを感じる。





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