秋の味覚、王者は「松茸」であると認めざるを得ない。
子供の頃、郷里の山奥で見た松茸は、もはや辺りの山中では見ることができない。
料理人の作る松茸料理は素晴らしい。
縦に割いた松茸を炙って醤油でいただくのもいいし、土瓶蒸しが嬉しい。
見て楽しみ、香りを楽しむ料理、日本の伝統的な文化だと思う。
夏が終わり、地上の植物が豊穣の時を待ちかねてステージに登場する。
秋刀魚が美味しくなったのはつい数週間前からだが、スーパーの食品売り場で旬を感じるのは悲しい。
ちょうど頃合いを見計らったかのように「かぼす」が育ってくるのも自然の取り計らいか。
ある日突然、地上に落下を始める「栗」の存在も、キングの次くらいに嬉しい。
青いイガが瞬時に紅葉して口を開いたかと思うと「実」が落ちる、「ドサッ!」という音とともに秋を告げる、毎日、、
自然薯のツルが天をめがけて伸びているその間に「むかご」がつく。
大きなものでは「そら豆」大の粒がツルの間に点在するのは、実に日本的、ひょうきんで微笑ましい。
かくしてうっとおしい夏が終わり、冴え渡る空の下、秋刀魚を焼きながら「かぼす」を取りにいく。
「むかご」を入れた栗ご飯を用意すれば、やれ今年も秋がやってきたかと安堵する。
葡萄が熟すのもこの9月、完熟すれば青春の美しい乙女のよう、触れなば落ちん、かぐわしき芳香を放つ。
葡萄を取り置いて発酵という儀式を行う欧州の文化も気になる。
レモンやライム、柑橘類が育ってくるのも秋口以降だ。
柿が色づいてきて、見逃せば落下して虫の餌食。
イチジクも機械的に熟してはハチと虫の標的になっている。
特段美味ではないかもしれないが、この甘みがワインに合うし、ハムなどとの相性もいい。
自然の恵み、日本的なもの、限りなく日本的なものとは、「自然の恵み」ではないか。
冷たい空気の間を冴え渡る金木犀の香り、
美しい人とともに感じる秋の気配、、
そんな夢を見ながら秋の味覚セットを考える、、
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