寒来光一の日替わり笑話

お笑い作家・寒来光一(さむらいこういち)が、毎日(たぶん?)、笑いのネタをお送りします。

ブラスバンド(笑ートエッセイ)

2010-08-12 00:31:22 | 笑ートエッセイ
 中学1年生の時の担任が、音楽の先生だった。
 ブラスバンド部の顧問も務めており、ちょっと強面で、生徒から
恐れられている存在だった。

 入学もまもないある日のこと、その先生にこっそり呼ばれ、こう
言われたことがある。
「ブラスバンドをやってみないか?」
「うーん、考えておきます」。
生意気にも、あいまいな返事をし、結局入部しなかった。

 あの時、もし入部していれば? 今ごろになって、こう考えるこ
とがある。
 ひょっとして、オーケストラの一員として、活躍していたかもし
れない。または、日本を代表するソリストとして、世界各地を駆け
巡っていた可能性もある。
 あの時、どうしてもっと強く勧めてくれなかったのだろう。
 若き才能の芽がふくらみ、花開くチャンスを奪われてしまったの
だ。オレの青春時代を返してくれ!

 などと妄想をふくらませながら、過去を振り返ることができるの
も、あの先生のおかげである。
 心より感謝申し上げたい(自慢するわけではないが、今もって演
奏できる楽器は、ただの一つもない。
 冷静に考えると、あの時入部していても、きっと落ちこぼれてい
たことだろう)。


   散歩している時に、小さな子猫がへいに駆け上ろうとしましたが、
   ジャンプ力が足りずに落下。
   親猫の成功例ばかり見ている目には、少なからずショックでした。
   でも、ああやって地道に努力を重ねて、成功するようになるのだ
   なと、謙虚な気持ちにさせられました。 
コメント
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