寒来光一の日替わり笑話

お笑い作家・寒来光一(さむらいこういち)が、毎日(たぶん?)、笑いのネタをお送りします。

じゃんけん(笑ートエッセイ)

2010-12-02 00:38:10 | 笑ートエッセイ
 新聞に、じゃんけんのことが載っていた。ある学者が、1万1千回
の統計で調べてみたところ、グーを出す回数が一番多かったそうであ
る。
 なぜだろうか?

 日本人は、割に建前を気にする方だ。パーのようなあけっぴろげな
ポーズや、チョキのような人に向かってピストルを突きつけるような
仕草には、抵抗を覚えるのかもしれない。
 その点、グーの形は、バッチリ決まっている。そのこぶしの主が、
いかに強い意志の強さを持っているかを、物語っているようだ。これ
で負けたらあきらめもつくという潔さがにじみ出ている。ここ一番と
いう時にこそ、グーで勝負したくなるのも無理はない。
 この誘惑から逃れ、毅然としてチョキもしくはパーで勝負するのは、
よほどの勇気が必要となるのだ(特に、パーを出して勝ったりでもす
れば、いったいどんな非難を浴びせられるか分からない)。

 しかし、勝負は勝負である。ルールさえ守っていれば、後はどんな
せこい手を使ってもいいと考える輩も増えている。
 したがって、グーを出す確率が高いという報道に接すれば、当然の
ことながら、この連中はなりふり構わず、パーで勝負してくるに違い
ない。

 そうなると、ここである問題が生じてくる。冒頭に紹介した「じゃ
んけんでは、グーを出す確率が高い」という情報がかえって仇となり、
実際には「パーを出す確率が高い」結果をもたらす。
 すると、グーを出して負けた人から、新聞社に抗議が殺到する。こ
のような最悪のシナリオも、予想されるのである。

 その場合、新聞社は、「先日の報道により、グーを出す人の割合が
減り、パーを出す人の割合が増えてきました。結果的に、混乱をもた
らし、関係者に多大なるご迷惑をおかけしたことを、心よりお詫び申
し上げます」というお詫び記事を出さざるを得なくなるだろう。

 ところが、話はそれだけでは終わらない。この記事が掲載されるや
いなや、パーを出す人の割合が減り、勝ちにこだわる節操のない人が
こぞってチョキを出すようになるだろう。
 ここまでくれば、もうしめたものだ。グーを出す連中は、これまで
どおり、自らの意志の強さを示しながら、勝利の美酒に酔うことがで
きるのである。



   リバーウォーク内の北九州市立美術館分館で開かれている、「レ
   ンブラントと珠玉の王室コレクション」(12月5日まで)。
   日曜日に行ったのですが、あまりの人の多さに挫折。
   今日の11時ごろ再度出かけましたが、平日というのに大混雑で
   した。今までで最高の入場者かもしれません。
   なかなか見応えのある作品ばかりで、大満足です。 
           ↓
    http://kmma.jp/exhibition/now.html
コメント
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