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古賀茂明 日本はもはや稼げる国ではない

2023年10月12日 | 生活

 割り切って「人材加工立国」「出稼ぎ立国」を目指すべき

AERAdot2023.10.10

 日本中のあらゆる分野で人手不足が深刻化している。

 物流業界では、2024年問題が深刻だと騒がれる。モノの移動だけではなく、バスの運転手の不足で、各地で路線バス廃止や減便が加速し始めた。

 もっと心配なのは介護業界だ。50年度に介護士が122万人不足し、400万人の介護難民が生まれるという試算(第一生命経済研究所の星野卓也氏)があるが、これは数字だけの問題ではない。60代後半のある精神科医は、

「我々の世代は、認知症が酷くなって病院や介護施設に入らざるを得なくなったら、最後はベッドに縛りつけられたまま死ぬと思った方がいいぞ」と私に語った。今でも民間の精神科病院では、人手不足が原因で拘束を認める基準が事実上どんどん緩められているが、それを加速するしか手がないというのだ。高齢者にとっては、お先真っ暗な話だ。

 地方選出の国会議員と話すと必ずと言って良いほど、地元では人手不足で農業が崩壊寸前だという話が出る。外国人労働者が少しでもいなくなったらとても存続できないと心配する。

 建設、幅広い分野の製造業、飲食、宿泊、小売、ありとあらゆる分野で人が足りない。少子高齢化がその最大の原因だ。

 それを克服しようとして、自民党政権下では長年少子化対策が掲げられているが、何の効果もなく、22年の出生数は初めて80万人を切り合計特殊出生率も過去最低水準となった。子供を産む年齢の女性の絶対数が激減しているので、どんなに頑張っても、出生数が増えるところまでは当面の間到達できない。

 これまでは、女性や高齢者の就業率(働く人の割合)が高まることで、少子高齢化による労働力不足が緩和されてきたのだが、これも限界に近づきつつある。

 出産を機に退職する女性が多く、子育て世代の女性の就業率が大きく下がるいわゆるM字カーブが日本では欧米諸国に比べて顕著だったが、今やそれもかなり解消された。女性就業率はイタリアなどよりかなり高くなっていて、米国を上回っている。スウェーデン、ドイツなどに比べるとまだ低いので、若干の向上はありうるが、大きく上がると期待するには無理がある。

 また、高齢者についても、全雇用者に占める65歳以上の割合は、22年に過去最高を更新し、10.6%。米国7%、ドイツ4%などに比べてかなり高い。

 一方で、意外なことに70歳以上の賃金は、過去10年で9%も減少している。ということは、無理に働いている人が多く生産性が上がらないので、企業が賃金を上げられないということを意味する。60歳以上の労災死傷者数(新型コロナ感染を除く)が22年には5年前の26%増の38千人になったことも相当無理に働いている人が多いことを示唆している。もちろん、生きがいのために働くという人もいるし、今後ロボットの普及で高齢者のサポートが可能になるという話もあるが、高齢者の就業率を上げて労働力不足を補うのはそろそろ限界だと考えるべきだろう。

 こうして見てくると、国内の労働力不足を国内で解決するのはほとんど無理だということがわかる。日本は移民を受け入れる以外に生きていけない国になったのだ。

 これに対して、政府は、依然として、本格的な移民受け入れという建前は取っていないものの、背に腹は代えられないということで、人身売買との批判が絶えない外国人技能実習制度の廃止を含め、技術移転ではなく、人手不足対策を主眼とした新たな制度を設ける方向だ。

 ただし、日本政府が、事実上の移民受け入れに舵を切りつつある中で、実は、将来的に外国人が日本に来て働いてくれることはなくなるのではないかという懸念も強い。

 強制労働、さらには現代の奴隷制とまで言われる技能実習制度の悪評は、SNSでアジア諸国に広まっている。さらに悪いことに、円安により日本での賃金が大きく目減りしているため、外国人にとって日本は働く場所としての魅力を失っているのだ。

 先週のコラムで指摘したとおり、円安を止める力は今の日本にはもうないと考えると、外国人に選ばれない国になるという懸念は日に日に強まっていると考えなければならない。

 人手不足が解消するとしたら、円安がさらに進み、物価が急騰して消費が激減することで、モノもサービスも売れなくなり、それによって人がいらなくなるか、円安を止めるために金利を思い切り上げることで、経済活動を急激に冷やして景気後退するという二つの道しか思い浮かばない状況だ。

 さらに、その先にはもっと深刻な問題が見えてくる。

 それは、外国人が来てくれないだけでなく、日本の若者が大挙して海外に出て行き、さらにはもう帰ってこないという事態だ。

 報道されているとおり、ワーキングホリデーを活用したカナダ、オーストラリアなどへの出稼ぎが増えている。また、すでに寿司職人などの日本脱出ブームが始まり、寿司職人養成学校も大盛況だ。美容師やネイルアーティストなどの海外脱出も少しずつだが始まった。風俗業でもブームになりつつあるそうだ。

 日本人の手先の器用さや細部へのこだわり、謙虚さ、そして低賃金でも文句を言わず働くこと、遅刻・無断欠勤や薬物使用、周囲への迷惑行為が少ないことなどは、日本人には当たり前でも、海外の雇用者側には極めて魅力的な特質となる。

 海外は日本よりも物価が高く、言葉の壁や文化の違いもあり、それなりに苦労はあるだろうが、何よりも賃金が高く、英語が学べる。さらには、労働時間が短く休暇も取れる。そして、セクハラ・パワハラが日本よりも少ないと言われる。

 今後、SNSで成功例が広まると、どこかの時点で、若者の大量海外流出が始まる可能性がある。若者人材空洞化の懸念が現実味を帯びてきた。

 そこで思い出したのが、ある在米の日本人経営者の話だ。

 彼によれば、日本の電気工事士、配管工などがアメリカで働けば、数千万円の年収を得られるのは確実だという。

 人手不足は日本に限ったことではない。多くの先進国で同様の問題が生じ、賃金の急上昇とインフレの原因になっている。特に、工事関係の技能工が足りないそうだ。

 ニューヨーク郊外などでは、電気や水道・下水などの故障を修理する業者が不足している。アメリカの戸建住宅は、日本よりも故障・不具合が多いという。

 ニューヨーク郊外在住の日本人の悩みは、まず、修理代が非常に高いこと。日本の数倍は当たり前。しかも、修理を頼んでも対応が遅い。これも人手不足が最大の原因だ。さらに、修理をして1年もしないうちに同じ箇所で故障が生じることがよくある。それでも、他の業者がいないので、また同じ業者に頼まざるを得ない。

 そうした業者が、年収数十万ドル(数千万円)稼いでいるという話を聞いたとき、彼らの苛立ちは頂点に達する。日本の工事業者がアメリカに来れば、もちろん、年収数千万円は固い。日本人の丁寧な仕事を見れば、引く手数多だろうという。

 その話を聞いて、私は、個人営業の日本の電気工事業者に聞いてみた。彼らの多くは、大手電力会社や建設業者の下請けで仕事をすることが多く、収入はかなり少ない。ある業者にアメリカで働きたいとは思わないかと聞いたら、できることなら行ってみたい気はするが、「英語ができませんからね」という返事だった。

 もちろん、アメリカで仕事をするには、ビザの問題もあり簡単ではない。しかし、技能工がいないために、住宅建設コストが非常に高くなり、しかも工期が遅れる傾向にあるということは、経済にとってマイナスだ。カナダでも、建設関係の専門職が不足して工事が滞っていると米ABCニュースが伝えていた。

 そこで誰でも考えるのは、日本から、優秀な電気工事士や配管工など、欧米で不足している専門技術者を「輸出」する人材紹介・派遣業を始めることだ。語学の問題は、欧米の専門家を招聘して事前に最低限の日常会話と専門用語の勉強をさせて解決する。受け入れ国の出入国管理当局と建設業監督当局と日本政府が交渉して、協力の取り決めを行えば理想的だ。

 そう言うと、日本も工事関係の専門職が不足していると反論する人がいるだろう。しかし、足りないなら普通は賃金が急上昇するはずだが、いまだに諸外国に比べて非常に低い賃金しか払えないのだから、海外でもっと良い機会があるのなら、それを活かす方が本人の幸せのためだ。日本の専門学校を卒業したら、アメリカで働くというコースがあっても良い。

 日本の若者を外に出すだけだと限界があり、また日本の産業に打撃かもしれないので、それを緩和するために、外国人労働者を大量に招いて専門技術を習得させたのちに、その一定割合を海外に「輸出」するということが考えられる。

 住宅建設などでは、日本人のように真面目で信頼できる技術者がいたら、発注者はどんなに心強いか。Built by Japaneseというブランドを確立することもできそうだ。

 不謹慎かもしれないが、人材をモノに例えると、日本の専門技術者は競争力がある製品のようなものだ。

 途上国の労働者や日本の中高生は、製造業で言えば原材料。それを訓練して高度専門人材に仕立て上げるのは、原材料を加工し付加価値をつけて製品にするのに似ている。日本では人材に投資してもリターンが少ない。それならば、高付加価値製品を輸出するのと同様に、高付加価値人材に投資して輸出する。「人材加工貿易」というイメージだ。

 もちろん、「品質管理」は重要だ。輸出される人材は、高く評価される技能工で、器用さ、正確さ、丁寧さ、粘り強さ、誠実さなどの特質を備えていなければならない。

 モノと違って、その人材の能力が発揮できて非常に高い対価を得ることで、より人間的な生活ができるということなら、普通の貿易よりさらにメリットがある。

 人材を日本につなぎ留めるのは難しい。それならば、割り切って、人材加工立国、さらに、日本人の若者が家族に仕送りする出稼ぎ立国も同時に目指す。ベストではないが、人材流出を嘆くだけというよりはマシかもしれない。

日本はどのような立国を目指すべきか?


いやはや、なんともの話である。
その可能性は十分すぎるほど考えられる。
でも、その前に「自公」政権を捨ててほしい。
手遅れになる前に!

昨日は記事を更新できずすみません。
両親の最後の(?)法事が札幌であったので行ってきました。
両方の叔父叔母もいなくなりました。

夜は子供と孫が集まって「誕生会」をしてくれました。
来年は「後期高齢者」です。
夕食前のお茶。
法邑(ほうむら)で・・