世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

十字架上のキリスト

2013-12-29 05:25:24 | 虹のコレクション・本館
No,45
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ、「十字架上のキリスト」、17世紀スペイン、バロック。

昨日と同じ理由で、磔刑図を探した。この図はたくさんの画家が繰り返し描いているが、なかなかにむずかしい。
むごたらしく描きすぎ、見てはいられないような図もたくさんある。だがこのスペインの画家の絵は、比較的穏やかに見ることができる。

この図を見て、自分も痛みを感じられないようなら、人間はどこかで感受性を拒否していると言える。

磔刑の図は、男というものが、敗北と関係なく生きることはできないということを、教える。

どのような美しく正しい男でも、暴虐の嵐の前に、こうならざるを得ないという経験を、一度はしなくてはならない。それが男というものだ。

これから永遠に逃げ続けていくことは、男にはできない。馬鹿が負ける痛みが嫌で、言と策を弄して逃げる奴ほど、汚い衆愚に逃げ、男を腐らせる。腐った男ほど、世界を荒らし、暴虐を撒き散らすものはない。暗黒とは、衆愚のことだ。

キリストは復活することはできない。死なねばならないからだ。暗黒の衆愚に挑戦し、自分の光を貫いて死んでこそ、男は真に光るものとなる。

これが怖くては、永遠に男にはなれない。

磔刑図は、男の紋章だ。



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