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エクスペリメント/THE EXPERIMENT +オリジナル「es[エス]」

2010-11-23 14:08:27 | 劇場&試写★5



ドイツ映画「es」(02)のハリウッドリメイク。
エイドリアン・ブロディ×フォレスト・ウィテカーのオスカー俳優対決!

新聞広告で集められた被験者を「看守役」と「囚人役」に分け、模擬刑務所で過ごさせると人はどう変化する?
アメリカの大学で実際に行われた実験を題材に描くスリラー。


「エクスペリメント」=実験。

「es」は公開前の試写で観た後、すぐDVDでまた1度観て以来何年ぶりに観直してからリメイクに挑んで正解☆
当時、手に汗握って入り込んでしまった映画で、単館扱いのドイツ映画ながらも日本でも話題になった。

来月公開☆試写にて鑑賞。先に観直したおかげで比較出来て面白かった~。
リメイクって個人的には好きじゃない。
もちろん完璧に同じにすればいいものとは思ってないし、
オリジナルの「es」については、すごく面白かったけど映画として傑作!とまではいかない。
今回オリジナルとどう変えたか、どこまで似てるか 感想交えてちょっと書いてみようかな。

実際の実験がベース
1971年、アメリカのスタンフォード大学 心理学教授フィリップ・ジンバルド博士は、
普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動しようとすることを証明しようとした実験を行った。
14日間、研究室内につくった監獄で看守役と囚人役に分かれ演じること。
次第に被験者は役割に応じて変わっていく。
結局わずか6日で中止せざるを得なかったこの研究はスタンフォード大学監獄実験として知られる。

本作は、TVシリーズ「プリズン・ブレイク」の脚本・監督ポール・シェアリングがメガホン。



2002年 オリジナル「es」DAS EXPERIMENT/THE EXPERIMENT

タクシー運転手兼記者の男タレクはある日、こんな実験者募集の新聞広告を目にする。

《被験者求む。》
・拘束時間:2週間   ・報酬:4000マルク
・応募資格:不問   ・実施場所:大学内模擬刑務所

その実験とは大学の地下に作られた擬似刑務所で20人の男達を
「看守」と「囚人」に分け、それぞれ与えられた役になり切り2週間生活するというものだった。
タレクは、2週間で4000マルクという高報酬と、刑務所の囚人の疑似体験という実験の特殊性が良い記事になると思い、
実験の様子を秘密裏に取材し、録画する為の超小型カメラを眼鏡に仕込み実験に参加する。
実験1日目は看守・囚人双方ともに軽い冗談を飛ばし合い、実験を楽しんでいたのが
些細な出来事をきっかけに両者の関係は徐々に悪化、やがて事態は悲惨な状況へと変貌をとげていく、、、。

監督は「ヒトラー最期の12日間」や「インベージョン」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。

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同じ金額貰えるなら絶対 看守役がラクで役得でしょ
いや私、別にsってワケじゃありませんが。
この高級バイト、最初の振り分けが運命の分かれ目。
看守役の人は家に帰れるようだったし、お酒飲んだり 囚人に対して威張ってるだけだしー。


二つを観ての感想 ネタバレあり

オリジナルを再観して改めて思ったのは、どれだけ本当にこんな風に
看守役のものたちが 悪い人間になったのかという疑問に思う程、
そこまでやらなくても!とか、そこまで囚人たちに冷たい仕打ちをするほどか?という思いが。
おしっこを一人だけじゃなく何人もがかけたり、夜中に消化器浴びせたり。
本当に短期間でそんな風に変貌しちゃうものなのか?という意味でも興味深いんだけど。



主演は映画「ラン・ローラ・ラン」「素粒子」のモーリッツ・ブライプトロイ。


ウェイトコントロールして挑んだエイドリアン・ブロディ、
コメディからシリアスもの、シャマランものまで幅広いチョイスが素晴らしい☆


こちらオリジナルの看守組リーダー。
この人のキモさがとても良かったんだけど


こちらリメイクは御存知、フォレスト・ウィテカー 
タレ目だから人が良さそうな役から、
左右の目が違ってるからよく見ると怖い。威張り散らす役も似あうよね。
怖いんだけど、気持ち悪さがないの。
そういう意味で、なーんか味がない。オリジナルの人が良過ぎたからミスキャストに感じちゃったな。


オリジナルでは、一見普通の、エリートで苦労もしてこなかったけど人に認められたい欲求が強い男が
ぶち切れていく怖さも描かれてたけど、
リメイク版では フォレスト・ウィテカーの頭があまりにすぐにイカレてしまった。


キレるキッカケになる台詞、「オマエ、臭いぞ」という言葉はリメイク版には一切ない。




単に囚人の中でリーダー的存在で率先して反抗するというくらいで
とくに伏線がないから、そこまでトラヴィスに対して狂ったような態度をとるのが極端に思えちゃう。
グループに分かれて派閥化すると、自然にリーダーが出来てくるというけど
完全に他の看守の皆さんは アミン化したバリスの言いなり状態で酷い仕打ちをする。


元記者の主人公と同室の軍人はクリスチャン・ベルケル。「イングロリアス・バスターズ」にも出てました~
二人の仲間としての連帯感が良かったのに、リメイクではその設定はナシ。
オリジナル版。

一度逮捕歴のある怖そうな兄ちゃん(クリフトン・コリンズ・Jr)になってて、
いてもいなくてもいいくらいのキャラになってたのが残念。

オリジナル版で、友達も身内もとくにいなくて、主人公タレクがかばっていたシュッテという年配の男に替わり


夢見がちな病気の男が。
この男が、倒れてインシュリンを必要とすることで、看守の一人に協力してもらう事に。


恋人の設定。   
オリジナル版ではかなり重要な役。
ある時、車の事故で知り合った女性と恋に落ちてその晩連れて来てあっという間に寝てるのは
すごい唐突だし、その後 勝手に家に入り込んでるのにもびっくり。
この女性は 面会のシーンにも登場。
リメイク版では 女性とは 仕事が解雇になってデモ行進をしてる際に知り会って意気投合。
すぐに家に来て恋人になる。
「LOST」のマギー・グレイス。 
その後、最後のシーンでしか出番はなく こっちでは別にいらなかったんじゃ?と思えるくらいの存在になっちゃってました。


ほかに、キャラでは なりきりプレスリーがいないし、研究側の人間とのやりとりが殆どない。
博士出て来たけど大した役割なし。「LOST」のフィッシャー・スティーヴンス。



研究側が事前にインタビュー形式でカメラ目線でどうして受けたかなど個人的に質問のシーンは同様にあり。

この実験はどうなるのかの予測はついていながら、暴力に発展しても止めない。
その状況下で人はどういう反応をとるかという実験なのに、オリジナルのようにモニターでチェックしてる姿もでてこない。
カメラだけが映されてて看守がチェック。
オリジナルではいた、女性の助手も出て来ないから その辺り随分変えてた。

オリジナル版

オリジナルでは「トワイライト」シリーズのイケメン、カム・ジガンデイを投入。

一番疑問に思ったのが このイケメン看守が、一人の囚人にアレを要求する場面。
執拗にやってたのが気になる。
2週間の実験でしかも高額の報酬をもらうバイトなんだから、なにもそんなところでわざわざ男に絡んで
迫らなくてもって思えて仕方なかった。
ちょっと我慢すればすぐ出て好き放題出来るのに変なの。
まあ、オリジナルで なりきりプレスリーが助手の女性を犯そうとするのも極端ではあったけど。


便器を服で拭くのが水に顔つっこまれるに変わってたとか、
(「ト~イレット、ト~イレッーット」って狂ったウィテカー、怖い。)
記者という設定じゃないから小型カメラをメガネに仕込むのもなしとか、
閉じ込められる時に入ってた道具の違いとか、
(というか、オリジナルで一番つっこみたかった あんなところにドライバー入ってるわけないでしょ)

そんな感じで細かく挙げたらいくつか変えてる箇所はあるものの、基本的な流れは同じ。
ただ2時間の映画を20分短くして、97分という短さが観やすいと言えば観やすいし、
物足りないといえば物足りない。

決定的に変えちゃってたのがラスト近くの実験中止になる部分。
いきなりドアが開いて さぁお帰り下さいとなり 報酬貰えずに終る、だったら面白いのに
って思ったら
普通に皆外に出されてバスが来て、皆一緒のバスに載り報酬をちゃっかり受け取って無言で帰宅
ってなってたのがつまんなかったな~。

そしてラストカットは、待ってた女性と一緒にいるシーンで終り。



これだったらよほどキャストが好きな人が観るか、
わたしみたいにオリジナルが楽しめてて、今回どう変えてるのか気になった人にはいいけど

これだけ観るんならDVDでオリジナルの「es」の方を観てといいたいな~。
全く「es」を知らずに観たらそれはそれで面白かったと思えるのかも知れないけど。



2001年 オリジナル版「es」  
8/10(82点)

2010年 リメイク版「エクスペリメント」
5/10(57点)


でも、どちらも決して後味よくないし(というか悪い) こういうの受け付けられない人にはおすすめできません~

与えられた役目をこなさなくてはいけない時、人間はその状況に応じてどのように順応し、
精神的にはどのように変わっていくのか。

ドキュメンタリーではないし、もちろん映画としての脚色たっぷりだけど
興味ある方にはオススメです
(その場合「es」をどうぞ)




職を失ったばかりのトラヴィスは、日当1,000ドルという高額な報酬に惹かれて、大学で行われる期間2週間の実験に参加することに。
その実験とは、被験者となる24人の男たちが刑務所と同じ環境下で“看守役”と“囚人役”に分かれ、それぞれの役割に従って行動するというもの。
トラヴィスはじめ囚人役となった男たちは、面白半分に看守役を挑発するなど最初はリラックスした様子だった。
一方、実験前にはトラヴィスと和やかに言葉を交わしていた男、バリス。
看守役に選ばれた彼は、刑務所の秩序を守るべく、次第に囚人役の男たちに対して高圧的になっていくのだが…。

公式サイト
THE EXPERIMENT   2010年   アメリカ   97min
12月4日より、ロードショー