水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <46>

2024年08月03日 00時00分00秒 | #小説

 %-&-$地点はЙ3番星人が乗り移った[憑依した]鳩山と老婆だけが分かる地点で、地球上に生きる普通人間には分からない地点だった。地球上に生きる普通人間から見れば、%-&-$地点は世界地図には存在しない地点だったのである。Й3番星人が乗り移った[憑依した]鳩山と老婆は確認を終えると霊安室を出て署長室へ戻った。署長室には庭取副署長や手羽崎管理官、それに口橋、鴫田の二人の刑事の四人がいた。
「署長、ご説明を…」
 庭取が状況説明を求めた。
「いやなに…そう大したこっちゃないんですよ、庭取さん」
「と、申されますと…?」
「ははは…すべてが何もなかったってことです」
「すると、捜査本部は?」
「解散します。ミイラが消えて存在しない以上、捜査の必要性は消えましたから…」
 口橋は黙って鳩村の説明を聞いていたが、だったら、今までの俺達の捜査は何だったんだ…と、少し怒れていた。
「人騒がせな一件でしたね、署長…」
 手羽崎が美味そうな両腕を擦りながら、静かにひと言、口を挟んだ。
「ええ、訳が分からない一件でした」
「捜査本部の解散は?」
「今日はもう時間が遅いですからやめましょう。明日、朝一に招集して下さい…」
「分かりました…」
 庭取は手帳にメモ書きすると、連絡のため署長室から首を前後ろに振りながら鶏のように消えた。^^


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