老い

昼間母から着信があった。




『オマエさぁ………
悪いんだけどお母さん携帯変えに行きたいたから、付き合ってよ。』




………とのことだった。



以前から母はそんなようなことを言ってはいた。


なので、

「この際だからスマホデビューしてみたら？」

……などと私は母に勧めていた。
実家に行った時などは母はよく私のスマホでYouTube動画などを観ていたりした。
自分でウェブ検索など母はしたことがないので、私がその都度教えるような形だったが、「自分で持つようになれば、そのうちに覚えるっしょ。」………などと軽く考えていた。









そして本日、二人でショップへ。







整理券をもらい、用件を店員に告げた。

『らくらくスマートフォンを見せてほしいんですけど。』



しばらく店内に展示してあるガラケーやスマホを物色してみたが、今年73歳になった母。
いままでパソコンなども勿論イジッたこともない。

私も今ではブログを書けるぐらいにまでにはスマホを使えるようにはなったけれど、決して詳しいわけではない。
四苦八苦しながらなんとか元カノに教えてもらいながら覚えたものだ。
アカウント、スワイプ、タブ、暗証、認証、パスワード、etc…………





『うーん。。。

いくら"らくらくフォン"とはいえ
どう考えても現在一人暮らしをしている母にはリスクが高すぎるような気がする。。。』







そう思い、隣にいた母にどうするか聞いてみると



『お母さん、写真がキレイに撮れてメールと電話が出来ればいいわ、やっぱし普通のヤツがいい。』



………と言ってくれたのでホッと胸を撫で下ろした。(￣▽￣;)💨






「なんにでもチャレンジ。」
そういう意気込みは確かに大事だと思う。
だが、スマホに変えてみて苦労し、嫌気が差してまたガラケーに戻す人もたくさんいるらしいし、母も御多分に洩れずそうなってしまうような予感がしたので、ガラケーの最新機種で折り合いをつけてもらった。


キャリア各社もシニア層の新規開拓を目論んでいるのか


『🎵いつでもゆーめを～』


とかいうCMも観てはいたので、「オフクロも大丈夫かな？」……などと思っていた。

だが実際に

「じゃー、あとは一人で頑張ってみて。」

………とはとても言えるような感じではなかった。






その時ふと感じた








………老いたな、オフクロも。




……と。







その後、母と二人でファミレスで夕食。


新しい携帯を喜んでいじっていた母はカメラで私を撮っていた。

『お、スゴい！前のよりキレイに撮れる。見てみコレ。』


………と、新しく変えた携帯を手渡されたので見てみる。




…………
…………
…………



『うーん。。。確かにキレイに撮れてはいるけど………



誰だコレ？』







………そこには普段見慣れていない

"写真に写った私自身の姿"

があった。





『ハァ。。。
老けたな、オレも。』








…………わりー、オフクロ。
どうやら老けたのはオフクロだけじゃなかったみたいだわ
(－－)💧