昨日の夜は船戸与一の小説『山猫の夏』を読み返しておりました。
先日本屋さんで買った本達は今は本棚の中で熟成中。でも早く読まなきゃ。腐っちゃうかも。
『山猫の夏』は「ロミオとジュリエット」に圧倒的な存在感を持つ悪漢を放り込んだお話、と思わせておいて黒澤明監督の「用心棒」でありました。
舞台はブラジルの東北部の町エルクウ。法律よりも町の暗黙の了解が優先される町。
町の二つの有力者の家は長年に渡って対立していて殺し合いが絶えない。
町は二つの家のどちらに付くかで真っ二つに分かれている。危うい均衡状態。
そんな町の二つの有力者の家の一人息子と長女が駆け落ちをする。
そこへ『山猫(オセロット)』と名乗る男が町に現れた。
辛うじて保たれていた均衡が『山猫』によって崩れていく……。
冒険活劇です。
登場人物は男も女もずるくて汚くて醜くて残酷でどうしようもない連中ばかり。
殺人が日常的に行われている町で住民は感覚が狂ってる。
蒸せ返る汗と血の匂いが漂うピカレスクロマン。
でも読後感は爽やかなのです。
面白いですよ。
傑作です。