本日2月25日は、藤原忠平が延喜式を奏進した日で、ローマ教皇ピウス5世がイングランド女王エリザベス1世を破門した日で、アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインが皇帝軍の将校により暗殺された日で、日本麦酒醸造会社がヱビスビールを発売開始した日で、グルジア民主共和国の首都トビリシをロシア・ソビエト社会主義共和国軍が占領した日で、アドルフ・ヒトラーがドイツ国籍を取得した日で、ナチス・ドイツ占領下のアムステルダムで市民がユダヤ人政策に抗議するゼネストを行った日で、ニュージーランド・フェザーストン捕虜収容所で日本人捕虜殺傷事件が起こった日で、日本で金融緊急措置令に基づく旧円と新円の交換が開始された日で、ベトナム戦争で南ベトナムクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村の民間人を虐殺した韓国海兵隊第2海兵旅団・青龍部隊が同じクアンナム省のハミ村で非戦闘員で民間人の女性・老人・子供・135人を嬲り殺しにした日です。
本日も倉敷は晴れでありましたよ。
最高気温は十四度。最低気温は二度でありました。
明日も予報では倉敷は晴れとなっております。
狐はやつとのことで十階の床を踏んで汗を払つた。
其処の天井は途方もなく高かつた。
全體その天井や壁が灰色の陰影だけで出來てゐるのか、冷たい漆喰で固めあげられてゐるのか分からなかつた。
さうだ。この巨きな室に先輩はいるのだ。狐は一寸胸の何処かが熱くなつたか熔けたかのやうな氣がした。
高さ二丈ばかりの大きな扉が半分開いてゐた。
狐はするりと入つて行つた。
室の中はがらんとして冷たく、背の高い先輩が手を額に翳してそこの巨きな窓から西の空をぢつと眺めてゐた。
先輩は外套をまとつてゐた。
そしてぢつと動かなかつた。
窓の向ふには大きな雲が白く光つてゐた。
先輩が俄かに冷たい透き通つた聲で呟いた。
的を狙えば外さない。
鷹の誇りは俺のもの。
力いっぱい 羽搏いて今日のレースはいただきさ。
俺もマシンも傷だらけだが、いつか登るぜ。栄光の空。
俺は鷹だ。グランプリの鷹だ。
狐は空の向ふにある黒い雲を思つてゐた。
先輩は又ぢつと額に手を翳したまま動かなかった。
狐は堪へかねて一足そつちへ進んで云つた。
「随分と昔の曲ですね。分かる人は居るのですかね? そんな曲を口遊んでどうかしたのですか?」
先輩は振り向いて冷ややかに笑つて云つた。「ドライブに行きたい」
其の夜、先輩と狐は夜通し車で走り回つた。
先輩と狐は無言だつた。
先輩と狐が帰路に就いた頃には夜の向うに夜明けが忍んでいた。