
6/27(土)、シネ・ウインドで「わたしは分断を許さない」を観てきました。

監督の堀潤さんの新聞のインタビューも掲載。

さらに、僕は行けなかったのですが、初日の6/20(土)には堀潤監督の舞台挨拶があり、サインもありました。
予告編はこんな感じです。
元NHKのアナウンサーで現在はジャーナリストの堀潤さんが、日本や世界各地を自ら取材し監督したドキュメンタリー。
香港の民主化デモの若者、ヨルダンの難民キャンプで父親がシリアに拘束された家族、日本の東日本大震災の被災者の方、辺野古の基地建設反対運動にかかわる方など、一人一人に目を向け、当たり前だけどニュースで目にする社会問題もその中で生活している人々のいる出来事なんだと身近に感じました。
冒頭からして、香港の民主化デモの現地に、堀潤さんが自らマスクを装着して取材しているのですが、現地にいるからこそ、例えばデモを鎮圧しようとする警察の過剰な暴力性などが伝わってきました。
それは、ニュースを見ているだけでは分からないほどの恐怖を感じる映像で、もうこの時点ですごいドキュメンタリーだなと思いました。
そのあと、堀潤さんのナレーションが入るのですが、大きな主語(国家など)で社会問題を語ることは危険である、真実を見極めるには主語を小さくする必要がある、という言葉が印象的でした。
そして、この言葉に従い、この映画が全体的に、あらゆる事件やニュースも、実際に現地に行って一人一人に取材していくものになっていて、それが大きな魅力になっていました。
例えば、カンボジアでは貧富の差が激しくなっているという話は初めて知ったのですが、実際に現地に行くと大型の高級ホテルやショッピング街が立ち並ぶ一方で、郊外にはスラム街のような町が残っているという現状が伝わってきました。
そして、カンボジアの高級リゾートには国外からもセレブが集まってくるのですが、その一方で貧困層の子供達は彼らセレブの人達が集まる場所に現れてお金をもらって生きているという現状もあり、セレブの人達が投げたお金を子供達が拾いに行く、という光景を見た時は衝撃的でした。
日本国内に関しても、日本の入国管理局が入国者を長期間拘束している、という問題を受けて入国管理局まで行くのですが、もちろん中に入ることはできずに外からカメラで映す、という場面も。
これも、日本のメディアがまだまだそこまで取材せずに、世の中でもそこまで知られていない問題を、ちゃんと取り上げようという気持ちが伝わってきました。
他にも、福島は東日本大震災の被災地は様々なメディアが取材していますが、この映画では現地の人に直接インタビューして、「過去にあるメディアが被災地を取材しに来たが、取材に使った傘を現地に捨てて行った」というなかなかショッキングな声を届けています。
しかも、実際に捨てて行かれた傘がそのまま残っていてそれもカメラで映しているのですが、現地の人の声を届けることの他に、堀潤監督のメディアというものに対する姿を問いかけを感じるようでした。
そもそも、「わたしは分断を許さない」というタイトルがからも分かる通り、格差社会や国家や民族や思想で対立が起こるこの時代に、現実を取材して発信することで世界を変えていこうという強い意志を全体的に感じる映画でした。
そう考えると、取材先のシリアで拘束され、日本では大きなバッシングも起こった安田純平さんにも、一人のジャーナリストとしてしっかり取材してその声を届けていたのもすごく大きな意味があると思いました。
正直、堀潤さんが5年かけて日本国内や全世界を取材したという映画なので情報量がすごく多いし、しかもそれが劇映画ではなくドキュメンタリーなのですべて現実なんだよな…と胸に突き刺さるものになっていて、一度見ただけではすべてを受け止めるのは難しい映画だと思うんですよね。
なので、そういう意味でも今後何度か繰り返し見ていきたい映画だと思いました。(なので、またどこかで上映してほしいですね)