12/13(月)、シネ・ウインドで「アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映」を観てきました。
手描きのアニメやストップモーションアニメ、またはその組み合わせで表現される、古典や昔話、能や狂言、落語、童話、さらには現代社会の風刺などの世界。
人形浄瑠璃から紙芝居から絵本まで、あらゆる面白さが満載でした。
川本喜八郎監督5作品
「花折り」
和尚さんから桜の木の枝を折るなときつく言われていた小僧さんが、山伏たちの酒に釣られて酔っぱらい、まんまと桜の木の枝を折られてしまうという、人間の間抜けさをユーモラスに描いた狂言を、人形劇アニメによって表現。
「鬼」
病床の母を持つ兄弟が山で狩りをしていると鬼に襲われ、その腕を斬ると、なんと鬼の正体は母だった…という今昔物語の物語を、人形浄瑠璃のような美しい人形劇アニメで表現。「花折り」同様、日本の伝統文化をアニメで見事に表現。
「詩人の生涯」
安部公房原作の、貧困に襲われる町が雪に埋もれていくという終末感の漂う物語を、陰鬱とした雰囲気満載の手描きのアニメで表現。
「道成寺」
若く美しい僧侶に恋をした女性の愛憎が、彼女を火を吐く竜の姿に変えるという能の有名な物語を、人形劇アニメで表現。
「火宅」
2人の男性に求められ、精神を病んで亡くなったあとも、地獄で炎に焼かれ続けるという「大和物語」を原作とした物語を、絵と人形劇を組み合わせた独特のアニメで表現。人形の表情が切なさを醸し出す。
岡本忠成監督5作品
「チコタン ぼくのおよめさん」
小学生の男の子が大好きなチコタンに恋をするという物語を、子供のクレヨンの絵のようなアニメで表現した可愛らしい作品…かと思いきや、突然の悲劇が、前半の明るさと対比され重く残る。
「サクラより愛をのせて」
満員電車の中でマナーの悪い客をやっつけるという、毒のある物語を、妙にポップでコミカルな手描きアニメと、関西弁の落語の軽快な語りで表現。風刺&ブラックユーモア満載。
「虹に向かって」
川を挟んだ村同士で恋に落ちた男女が、やがて川に橋を架けて村が一つになる、という壮大な昔話を、美しい人形劇アニメで表現。感動的です。
「注文の多い料理店」
宮沢賢治の有名な童話を、独特の不気味なタッチのアニメで表現。原作には細かく書かれていない料理店内の設定を、自由な解釈によって今まで見たことのない「注文の多い料理店」に。原作の不気味さをよく表現していたと思います。
「おこんじょうるり」
寝たきりの元イタコの老婆の元を訪れた狐が、老婆を元気づけるために浄瑠璃を披露するという、心温まる絵本を人形劇アニメ化。伝統芸能である浄瑠璃のアニメ的表現であり、原作絵本の温かさをそのまま表現したような人形の動きに心が動かされる。