6月1日(日)の夜、新潟のシネ・ウインドで映画「5つ数えれば君の夢」を見て来ました。
「おとぎ話みたい」の注目の若手監督、山戸結希さんが、東京女子流を主演に撮った映画です。
僕は山戸結希監督のファンですが、東京女子流についてはあまり詳しくない、という状態で見に行ってきました。
が、これが予想以上に衝撃的な映画だったので、感想書いていこうと思います(ギリギリネタバレしない程度に)。
山戸監督を知ったのは、昨年のMOOSIC LABという映画のイベントの一つとして「おとぎ話みたい」を見てからでした。
MOOSIC LABとおとぎ話が好きだからという理由で見たんですが、これがあまりに素晴らしい映画で僕は山戸監督のファンになってしまったのでした。
「おとぎ話みたい」は、ダンサーになることを夢見る女子高生が先生に恋をする、という青春映画です。
田舎に住んでいるせいもありダンスに対する理解者が周りにいない主人公は、ダンスや芸術の知識が豊富な先生と出会い、恋をするわけです。
彼女は先生との出会いを運命の恋と勘違いしてしまうのですが、それは十代の女子にすごくありがちな痛々しい姿をだったりする。
彼女が夢を見る姿はすごくキラキラしている反面、そういう痛々しさは物凄くリアルに描かれます。
また映画の中では主人公が自分の心境を語るモノローグが多様されているんですが、これが結構独特な文学的表現なんです。
けど、その文学的なモノローグが、十代の女の子の危うい感じと妙に相性が良かったりする。
で、ラスト付近になると物凄い長いモノローグがあり、そして全てを超越するかのような圧倒的なダンスシーンが登場します。
このダンスを見た瞬間、あまりの美しさに何だかよく分からないけど感動してしまったんですね。
あの、女の子の青春は美しく見えて実はすごく痛々しいものである、けど本当に美しい瞬間は本当にまぶしいくらい圧倒的にの美しい!っていう。
そんな、女の子の美しいけど痛々しい、けどやっぱりすごく美しい!っていう瞬間を切り取るのが、本当に見事だなあと感動したのでした。
そんな前作「おとぎ話みたい」を見て山戸監督すげーなーってなった俺は、今作の「5つ数えれば君の夢」もすごく期待していました。
で、見た感想ですが、なんていうか色んな意味で予想の斜め上というか、山戸監督の表現がよりパワーアップした印象を受けました。
まず、一つ目の女の子の可愛さっていう点に関してはそこは東京女子流ですからね、やっぱ5人ともすごい美少女です。
5人は女子高(多分結構なお嬢様学校)に通っていて、5人それぞれの生活が描かれます。
一人だけの園芸部で友達は少なく、毎日花壇の手入ればかりをしているサク(山邊未夢さん)
そんなサクに興味を持ったのは、一年前にミスコン優勝するほどの美少女なのに、決して周囲に溶け込まないりこ(新井ひとみさん)
一年前のミスコンでりこに優勝されたことを根に持っていて、今年こそはと意気込む宇佐美(庄司芽生さん)
宇佐美の友人でいつも一緒にいる都(小西彩乃さん)
そして、そんなミスコンを取り仕切るしっかりした委員長(中江友梨さん)
5人ともキャラが立ってます!
そんな5人がそれぞれ夢に向かったり人生に迷ったり友情を築いたり恋をしたりキラキラした青春を送る!のですが…そう簡単にはいかない!
これが本当すごいなあって思うんですが、すごい美少女たちのいかにも楽しそうな青春を描いているのに、どこからともなく漂う謎の不穏な予感…
いや、前半はほとんどそういう描写は少ないんですが、映画中盤くらいになると予感は確信に徐々に近づいていき…うん、やっぱりね!
それが、パワーアップしてる点の二つ目、女の子の痛々しさ描写です。
前回は主人公一人だけでしたけど、今回は5人が主人公だから痛々しさも5倍!
しかも誰かが誰かに嫉妬してたり、執着していたり、男に振り回されたり、えっ女の子同士なのにそんなこと言っちゃうの!?な展開まで。
一人一人が抱える「闇」の部分がより濃く深く描かれていた気がします。
映画だから誇張してる部分もあると思いますが、まあ5人ともそれなりに狂ってましたね。
(特に一番マトモな顔した委員長、アンタ多分一番狂ってるよ!)
狂ってると言えば、「おとぎ話みたい」で登場した異様に文学的なモノローグですが、今作ではそれもパワーアップ。
なんと今作ではモノローグに止まらず、普通に会話の中にも登場するのですよ。
だから「日常会話でこんな言葉使う奴いるわけねーだろ!」とツッコミたくなる気持ちもゼロではないですが…だがそれがいい!
あの異様に文学的な長台詞を聞くと「ああ、山戸監督の映画を見ている!」という気持ちになります。
あの長台詞から発せられる痛々しさが、やっぱり見ていて気持ち悪いんだけどそれがすごくいいんですよね。
冷静に考えて全然リアルな会話じゃないんですが、見ていると妙に納得してしまうあたり、さすがだと思います。
さらに、女の子が集団になった時に起こり得るやつと言えば…そう、組織的ないじめですよ!
そんな訳で、楽しい文化祭の水面下では女の子同士のドロドロの人間関係が構築されていくわけです。
女の子の微妙なバランスで成り立っている人間関係がどんどんおかしな方向に転がって行くので、何だか凄い不安定な気持ちに襲われ続けます。
でも、だからこそ次の展開が気になってスクリーンから目が離せなくなってしまう…というまま、映画はクライマックスへ…
クライマックスではまたダンスシーンがあるんですけど(山戸監督ダンス好きだな)、これはもう自分の目で見て確かめてくださいとしか言えませんね。
ダンスのクオリティも、それまでの色々を超越するかのような展開も、突然のぶっ飛んだ演出も、全部含めてまさに圧倒的という感じ。
見る、というより、体験する、というのに近い。
なかなか衝撃的な体験ができると思います。
という訳で色々と衝撃的な映画だったんですが、見終わった後で思ってしまったのはですね…
「山戸監督、アンタ、ド変態だろ!」ってこと。
本当は「おとぎ話みたい」の時から薄々感づいてはいたんですが、今作を見て確信しました。
いや、褒め言葉以外の何物でもないです。素晴らしい才能だと思うし、次回作が出来たら間違いなく見に行くと思います。
それにしても、東京女子流のアイドル映画だと思って見に来た女子流ファンの皆さんはびっくりしたんじゃないでしょうか?
って思ったら、たまたま同じ回を見ていた女子流ファンの知り合いは、すごく複雑な顔で「いやぁ…尖ってたなあ~!」って言ってました。
僕は女子流に関しては、「はなかっぱ」の主題歌を歌ってた人達だよね、って程度の知識しかなかったんですが、見る目変わりましたね。
いやー、こんなすごい映画、よく演じきったと思いますよ!
(でも、もし自分が女子流のファンだったら映画に女子流が出てるってだけで感動できたかもしれないので、ちょっと惜しいことしたかなって気持ちはあります。
前回のおとぎ話の時が、そういう意味で感動していた部分があったので。)
という訳で、東京女子流のファンは新たな一面が見られると思うし、女子流に興味ない人もアイドル映画って敬遠するのは勿体ない映画だと思います!
まあ、人を選ぶ変な映画だとは思いますが、僕はすごくいい映画だと思うので、是非ともスクリーンで体験して欲しいです。
シネ・ウインドの看板娘にお願いして、上映後にこんな両手に花な写真を記念撮影をさせてもらいました。
新潟のシネ・ウインドでは6月9日(金)までやってます!みんな是非見てきてください!
そして松本では6月9日(金)に芸術館で上演され、東京女子流と山戸監督の舞台挨拶もあるそうです。
うわー、行きたい!松本の人、是非とも行って!
てか、松本シネマセレクトの方から「もう松本の演劇仲間に個人個人にプッシュして下さい。お願いします。松本風土得意の観もしないで『アイドル映画』って感じで、何か松本のみんな反応ないです。ヤバいです。泣きたくなります。」って言われたんで、ブログにて思いっきり宣伝してみましたが…
これでどうでしょう…?
「松本で映画「5つ数えれば君の夢」-「東京女子流」舞台あいさつ&監督トークも」
予告編
私、『5つ数えれば君の夢』Blu-rayブックレットを担当しております、長井と申します。
映画をご覧になって頂き、また、ブログにて当映画のことを取り上げてくださいまして誠にありがとうございます。
実は、今秋に発売されますBlu-rayの特典ブックレットでは、映画の反響をまとめたものを掲載したいと考えております。
公開後、「人の感想が気になる」という旨の感想が方々で目立ち、
あらゆる視点からの感想をまとめたものを掲載できれば、という意図でございます。
そこで、このブログ記事も拝見させて頂き、
是非とも上記意図の元、文章を掲載させて頂けないか、とご相談したく、ご連絡致しました。
全文掲載ではなく、部分抜粋という形を取らせて頂ければ、と思います。
そして、重ねてのお願いになってしまい、大変恐縮なのですが、nagai.eiga@gmail.comまでご回答いただければ幸いです。
ご検討のほど、何卒、宜しくお願いいたします。