舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

結婚に不倫、そして修羅場、笑い事じゃないのに笑える、男女のドタバタコメディ。「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」観てきました。

2020-03-09 23:02:28 | Weblog


3/9(月)、ユナイテッド・シネマ新潟で「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」を観てきました。
新潟市内では、ユナイテッド・シネマ新潟とイオンシネマ新潟南で上映していました。





予告編はこんな感じです。



太宰治の未完の遺作「グッドバイ」を、ケラリーノ・サンドロヴィッチが舞台化、それを成島出監督が映画化したものです。
舞台は戦時中の日本、主人公の田島はエリート編集者だけど優柔不断で、弱気なダメ男なのに何故かモテまくって愛人が大勢います。

ある日、彼の妻が疎開先から戻ってくることになり、すべての愛人と別れなければいけない事態に。
そんな中、知り合いのキヌ子が、普段はバリバリ労働者で金にもがめつい女だけど着飾ると物凄い美人になるということに気付いた田島は、キヌ子に金を払う代わりに妻に成りすましてもらい、愛人達と別れようとするのだが、次から次へと思わぬ事態が…という男女のドタバタコメディです。

結婚に不倫、そして修羅場、本人にとってはまったく笑い事じゃない出来事も、物語にするとコメディなんだよな。
もちろん主人公の計画通りに一つも物事が進まないどころか、どんどん悲劇が加速していくのに、何故か笑えるんですよね。

エリートなのにだらしなくてモテるのに気が利かない田島、金にがめついのに妙に人情深かったり普段の行儀の悪さと着飾った時の貴婦人のような美人さのギャップも面白いキヌ子。
そんな二人を演じた大泉洋さんと小池栄子さんが、とにかくドンピシャでハマっているのです。

そんな凸凹コンビが、一癖も二癖もある女達の色恋沙汰に巻き込まれたり、かき乱したりする、そのやり取りを見ているだけで面白いです。
しかし、物語が進むにつれて、少しずつ二人の関係性そのものにも変化が生じていきます。

今までは、金を払ってキヌ子を頼る田島、田島を利用し翻弄するキヌ子、というだけの関係だったのが、少しずつ気持ちが近付いていくような感じがあります。
なんというか、いわゆるラブコメディと呼ぶには笑いの一つ一つがスラップスティックでややブラックなのですが、物語が進むにつれて二人の人間臭さ、味わい深さがどんどんにじみ出ていく感じがするのです。

でも、物語の終盤で、とある悲劇が起きて、ああ、笑わせて笑わせて最後は泣かせる系か…と思いきや、そのさらに後であるどんでん返しがあります。
ネタバレになるので書きませんが、それまで制御していたであろう感情が爆発するような、まさにクライマックスに相応しい展開で、ある意味ここが一番滑稽で笑える部分でもあるのですが、でもその滑稽さすらも人間の持つ愛おしさのように思えて僕は感動したし、僕はハッピーエンドだと思いました。

この映画、文学的な感情描写と、演劇的な絶妙に誇張した演技、そして映画ならではの嘘というか「そんなバカな!」って展開が連続する脚本という、文学と演劇と映画それぞれの良さが絶妙なバランスで混ざってた映画だと思ったんですよね。
冷静に考えたらあり得ないというか、全然リアルじゃない、あくまでフィクションですよ!コメディですよ!って感じの物語なのに、登場人物たちの人間臭さはすごく生々しいというか、本当に絶妙なバランスで面白くなっていた映画だと思いました。

まあ、太宰治が原作で、ナイロン100℃の劇作家で演出家でもあるケラリーノ・サンドロヴィッチさんが舞台化したものが元になっているからなんでしょうけど、そこにさらに、奥寺佐渡子さんの脚本の力が大きいと思うんですよね!
奥寺佐渡子さんは、マジで日本に必要な脚本家だと思いますし、これだけの才能をまとめ上げた成島出監督も今までノーチェックだったんですけどこれから注目したい監督の一人だと思いました。
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