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2019年1月から、僕とよしこで毎月開催しているトークイベント「月刊おはなし図鑑」。
第31回は、7/21(水)、ぺがさす荘にて、写真家のカンダアキラさんをゲストに、カンダさんのこれまでの活動についてというテーマで開催しました。
詳細は告知に書いてあります。
「【お知らせ】トークイベント「月刊おはなし図鑑」第31回 ゲストは写真家のカンダアキラさん(7/21(水)20:00、ぺがさす荘にて、6人以内、完全予約制)」
終了後のまとめやアーカイブは、こちらからご覧ください。
「トークイベント「月刊おはなし図鑑」第31回 ぺがさす荘にて、カンダアキラさんとトーク、終了しました!」
今回もトークの書き起こしを公開します。
トークイベント「月刊おはなし図鑑」第31回
2021.07.21 ゲスト:カンダアキラさん
ちひろ こんばんは。トークイベント「月刊おはなし図鑑」第31回、始まりました。今日はここ、ぺがさす荘の店主のぺがはるかさんが、お客さんにしれっと交ざっていますね。というわけで、今日のゲストは、写真家のカンダアキラさんです。
カンダ よろしくお願いします。
ちひろ カンダさんは写真家ということですが、他にも色々されてるんですよね。
カンダ そうですね、映像を撮ったりだとか。
よしこ 前にちひろのドキュメンタリーを撮った奇特な方ですよね。
カンダ はい、撮りました。
ちひろ そう、2018年に。
カンダ 3年前。
よしこ 何でちひろにしたんですか。もっといっぱいいるじゃないですか。
カンダ いやいや、一番撮りたかったんですよ。
ちひろ なんか、障害者の表現活動みたいなテーマで、色んな人がいたんですよね。
カンダ そうです。あの時は5人くらい選ばれたんですけど。
ちひろ そうですね。それと、ぺがさんのやっていたバンドの映像も。
カンダ そうですね。ネボラトスというバンドをやっていた時に、映像を担当したというか、2回ほどライブでインスタレーション作品と一緒にコラボして、セッションみたいなことをしていました。
ちひろ え、何年前とかですか?
ぺが 何年前ですかね。7~8年くらい前ですかね。
カンダ 7~8年くらい前ですよね。
ぺが 俺が8歳くらいの時ですね。
カンダ ハハハ!
ちひろ 15歳という設定になってしまいましたけどね。はい、というわけで、映像を撮っていただいたりとか、写真展を見に行ったりしたこともありまして。それと、このイベントに2年前に出てくれた、Tangoさんという方がいらっしゃるんですけど、そのTangoさんと一緒に写真展をやっている縁とかもあって。
よしこ ハハハハハハ!
ちひろ よしこ笑うなよ!あのこれ、意味分からないと思うんですけど、よしこが何で笑ってるのかというと、会場に今Tangoさんがいるんですよ。
よしこ Tangoさんとは、ゲストに出てくれた1年後くらいに何故か仲良くなって、今は枝豆とか玉ねぎをやり取りする仲になりました。
ちひろ 農家の付き合いみたいですね。
カンダ いいですねえ。
ちひろ 今日は色んな人間模様が渦巻いていますね。というわけで、色々な話をしていますが、こんな感じでよろしくお願いします。
カンダ はい。
ちひろ カンダアキラさんは、写真をやったり映像をやったり、色々なことをされていますが、そもそもそういう表現と出会ったきっかけのお話から聞かせてもらってもいいでしょうか。
カンダ そうですね、とても長くなる話になってしまうんですけど。私が表現を始めたというか、表現って色々あるじゃないですか、音楽だとか絵だとか写真だとかありますけど。中学の最後あたりにギターを弾くようになって、遊びで弾いてたんですね。それで高校に進学してから、そういう仲間と知り合って、2人で音楽の作品を作ってみたりしてました。それで、同じクラスだったんですけど、その中にもう一人、れつやくんっていう友達がいて、どうやら話してみたらその人も、ギターをやってると。それで、ちょっと仲良くなって、3人でれつやくんの家に遊びに行こうってなって。それが小須戸にあったんですけど、何度か遊びに行ったりとかして。夜な夜な色んな話をしたり、音楽の話をしたりしている中で、高校3年生くらいの時に、Tangoくんに会って。Tangoくんとれつやくんが、友達だったんですよ。そこで初めて対面しました。
よしこ へえー。
ちひろ なるほど。それがきっかけなんですね。
カンダ そうですね。それで初対面で話していたんですけど、今まで自分の周りのカルチャーというか、好きなものとかと、まったく全然違う種類の、もうなんか面白いことを、全然知らないものを知っていて、僕はすごくびっくりしたというか、こういう人いるんだと。もうその時すでに写真も撮っていて。夜になったりすると、Tangoくんがカメラ持ってるから、外に撮りに行って、僕らが被写体になったりしていました。それも自分の中ではすごく新鮮で、写真っていう表現方法があるんだ、っていう。それも色んなテクニックがあったりとか、シャッターの開く時間を長くして光を流したりとか、光の軌跡を出したりとか、そういうのを見て、すごいなと思って。
ちひろ すごい方なんですね、Tangoさんは。
カンダ すごいですよ。
よしこ ハハハ…
カンダ そういう出会いがありました。その後、高校を卒業してからは、会うことはなくなったんですね。で、僕自身は、音楽作ったりすることの方が好きだったので、まあそんなたいした音楽は作ってなかったですけど、東京に行ってみたいなと思って。二十歳過ぎくらいに行って、色々やってみたんですけど、やっぱり厳しい世界だったので、挫折して新潟に帰ってきました。
ちひろ ちなみに、その時期もギターはずっとやってたってことですか、中学から高校にかけて。
カンダ まあ、ちょちょらにやってましたよ。そんなに真剣にやってるわけじゃなくて、自分でも作れそうな音楽を簡単なコードで、簡単な曲を入れて、みたいな。その頃、MTRっていう機械があって、多重録音ができるんですけど、それがすごく画期的で、ドラムを入れて、ベース、ギター、ボーカルを入れれば曲になる。それがものすごく楽しくて、そんなことばかりやっていて。その延長線上で東京に行ったけど全然駄目で、すごい才能の人達いっぱいいますから。
ちひろ オーディションを受けたりとかですか。
カンダ 全然そういうのはしない。
ちひろ ライブとかですか。
カンダ ライブはもう、ほんのちょっとしかしないです。曲作りがメイン。新潟にいた時に曲が作れなくなっちゃって、東京に行けば何か作れるかもしれないって気持ちが、なんかあったんですよね。
ちひろ なるほど。
カンダ それで、まあ作るには作ったんだけど、そのあと何も行動することなく燃え尽きてしまって、新潟に帰って来ました。22歳くらいかな。
ちひろ 1年か2年、東京にいて。
カンダ そうですね。そこで、自分は何をすればいいんだろうなって思って、仕事もなかったりとかそういう時期もあって。その時にふと脳裏に、そう言えばTangoくんが写真を撮っていたなというのを思って、あれやってみたいよなって気持ちになって。海の写真を撮りたいなと思って。僕、中学校に入るまで長岡に住んでいたので、海って特別で。
ちひろ 長岡って、内陸のところに住んでいたから。
カンダ そうそう、特別なんですよ。祖母の正月の時とかに見るぐらいで。でも今は近くに住んでるから、すぐ行けると。これを写真に撮ってみたいなと。それは作品としてとかではなくて、自分の中で表現してみたいなって気持ちがあったのか分からないですけど、撮り始めたら、なんか面白くなってきちゃって。
よしこ それを、人に見せようという段階に行くまでって、時間かかりました?
カンダ ああ、多分すごくあったと思いますね。まだ自分の中で楽しんでた。
ちひろ 趣味としてということですか?
カンダ 趣味でやってた。自分がまだどんな写真を好きなのかとか全然分からなくて。撮っても、なんか雑誌で見たような写真だなとか、納得いかないことが続いて。それから、インターネットもその時は普及していたので、色々写真のブログとか検索したりして、いい写真ないかなって。
よしこ 見るんですね。
ちひろ 研究して、こういう写真撮りたいなみたいな。
カンダ 研究みたいな。そうそう、色んな写真撮ってる人がいるから、自分はまずどんな写真が好きなんだろうって探し始めた。
よしこ おおー。逆だ。
ちひろ どういうこと?
よしこ 手塚治虫先生が、手塚先生は漫画ですけど、どうしても他の方の作品を見ると、どこか似てしまうから、何も見るなと。
カンダ ほーう。
ちひろ でも、手塚先生は逆に、漫画を描く時は、漫画以外の色々な一流のお芝居とか一流の美術とか、そういうものに触れろみたいなことも言っていたらしいですね。
カンダ ああー。
よしこ コメントで、「カンダさんはヌードは撮りますか?」って。
カンダ 撮りません。
よしこ ハハハ!
ちひろ カンダさんは風景がメインですよね。
カンダ 僕は、ストリートスナップがメイン。街に出て写真を撮る、気になるものを撮る。
ちひろ それで、色んな写真をネットで検索して。
カンダ はい、ネットで検索して、たまたま新潟で活動している安藤さんという方のブログに出会って。
ちひろ さっきお話聞きましたけど、安藤喜治さんですよね。新潟絵屋で、一昨年(2019年)展示をやってた。
カンダ はい。その方の写真に、僕、すごい衝撃を受けたというか。それを見て、自分もこういう写真撮ってみたいなと思って。もう、ひたすらそれを練習というか、同じように撮るにはどうすればいいか、もうその人と同じカメラを買ったりとかして、撮ってました。
ちひろ いいですねえ。安藤さんも新潟の街角とかを撮る方ですよね。
カンダ そうですね。光と影をすごい大事にされてて、コントラストの面白さというかカッコよさ。
ちひろ そういうのを意識されたりして。
カンダ そうですね。そんな感じで写真を始めました。
ちひろ 最初は写ルンですとかでやってたけど。
カンダ そうですね。
ちひろ 安藤さんと同じカメラ買ったりとかして。
カンダ はい。
ちひろ それはまだ、人に見せたりとかはしてなかったんですか。
カンダ まだしてなくて。だけどある時から、ちょっと納得のいくものができてきたのかなっていう気持ちがどこかであって。それで、その頃ブログを始めて、それも安藤さんとまったく同じブログを使って。
よしこ すごい好きですね。
カンダ そうなんですよ。同じブログを使って、発表し始めた。発表というか、まあ、投稿ですね。誰も見てないですけど、自分では結構楽しかった。そういうことがありました。
ちひろ それは、20代の頃。
カンダ 20代後半ですね。28とか29とか、そのくらいだったかな。で、そのあとに、また別で、自主映画を撮っているという友達がいて、その友達がゾンビ映画を撮るから、ゾンビとして出てくれないかと言われて。
ちひろ あれ、それ見たかな…「HATED」ではなくて?
カンダ それと違いますね。もっと前。
ちひろ あ、さっきお話していた、高波さん。
カンダ 高波さん、タカナミーノって名前で。
ちひろ そこにゾンビの役で。
カンダ ゾンビの役で出演して、やってたら面白いなと思って、こういう世界もあるんだなとまた気付いて。ちょっと自分もカメラ持ってたけど、映像、動画を撮れる機能も付いてたから、これちょっとやってみたいなと思って。それでネットで検索して、どうやったら映画が撮れるだろうかとか、脚本ってどうやればいいんだろうとか、色々探して。それで作り始めたのが30歳くらい、2010年くらいだったと思います。
ちひろ なるほど。じゃあ今から10年前くらいですね。僕が出会う前ですね。
カンダ そうですね。
よしこ え、そんな前から知ってるの?
ちひろ 2013年か14年くらいには知り合ってましたよね。
よしこ へえー。
カンダ そうですね。多分、演劇とか。
ちひろ 演劇とか、あと多分このあと説明が出てくると思うんですけど、復興チャリティ的なイベントで。
カンダ そうですね。
ちひろ あと、中央ヤマモダンとコラボしたり、
カンダ そうですね。震災があって自分が何もできなかったもどかしさがあって。その頃、自主映画を撮ってたので、自主映画を撮ってる仲間達で何か一つのイベントを作って、チャリティ形式で義捐金を送れることができたらいいなっていうイベントを作ってみて。多分、2013年だったと思います。
ちひろ 多分、僕それを見て、そこで出会ってるのかな。
カンダ あ、そうかもしれないですね。古町のちず屋っていうところでやったんですけど。
よしこ うどん屋で。
カンダ うどん屋の2階で。10分以内の短編映画を、一つのテーマに絞って、「走る」というテーマで、みんなそのテーマに沿って作品を上映するっていうことをやりました。その時に、中央ヤマモダン、新潟のコント集団がありまして。私はその以前からファンだったんですけど、何度か行っていたので。そこで中央ヤマモダンと、あんもさんという新潟で活躍しているイラストレイターの方がいて、ヒッコリーとかで作品を売ったりしている。そこで、中央ヤマモダンの脚本で、あんもさんの絵でアニメにして、一つの作品を作る。それを上映して。それが結構面白くて、今後もやっていこうってことになって、その後また何個も作っていって。それを三条のカンテツ座という、その頃あった小さい映画館で毎月上映してくれるっていうことで、そこで上映を始めたんです。
ちひろ シリーズ化して、いっぱいありますよね。
カンダ そうですね。
ちひろ 確か最初が「走る」で、次が「桐島、部活やめるってよ」ってタイトルの、元の「桐島」の小説とか映画とかとは一切関係ないめちゃくちゃなストーリーなんですよね。
カンダ あれはYouTubeに出すのも、その頃「桐島、部活やめるってよ」が流行っていたので、検索にかけると出てくるっていう意図があって。
ちひろ なるほど。
カンダ 再生回数が伸びました。
ちひろ あれだけ異様に多いですよね。
カンダ そうそう。
ちひろ YouTubeでも見られますよね。
カンダ YouTubeでも見られるので、「ヤマモダン アニメコント」って入れると色々出てくると思います。もしよかったら面白いので見てみてください。
ちひろ 僕も確か2013年に、カンダさんが作った中央ヤマモダンのアニメが上映された上映会に行ったんですけど、それが面白くて、そのあとYouTubeで公開されて、僕の友達の間でも面白いって言ってる人がいたんですよ。その年に、中央ヤマモダンのコントがGOLDEN PIGSのYellow Stageであって、見に行ったんですけど、ヤマモダンの代表の山本さんが、アニメのコントとまったく同じコントを実写でやるということをやっていて、すごく面白くて笑ってしまいましたね。
カンダ ハハハ!いやー、あの人はすごいですよ。
ちひろ だって、アニメも同じ人が声を出してるわけだから、絵でやってたことを人間が本当にやるっていう。ちなみに、ちょっと戻りますけど、自主映画を撮ってたっていうのは、完全に独学なんですか?
カンダ 完全に独学でしたね。
よしこ 撮れるんだ。
カンダ 撮れます。もうインターネット探せば、色んなことが今って調べられるし。映画風にするにはどうすればいいのかとか、シャッタースピードも普通の映画って1秒間に24フレームが入ってるんですけど、ちょっとカクカクするんですけど、それがちょっと映画っぽくなるとか、色々あるんですけど。
ちひろ そうか、アナログの技術にあえてデジタルから寄せていくのか。
カンダ そういうことです。一眼レフ特有のボケを使えば、例えばビデオカメラで撮るよりもきれいな映像が撮れるというか、映画風の映像が撮れるっていうのもあったし。それでちょっと色々作ってみたりしましたね。
よしこ メインで使ってるお気に入りカメラって何ですか?
カンダ ああー、今は映像を撮るのは、パナソニックのGH4っていうカメラですけど、まあ写真も撮れるんですけど、映像に特化したカメラです。
よしこ 写真の方は?
カンダ 写真もそれで今まで撮ってて、最近は違う、ちょっといいやつを買いました。
ちひろ 僕はいくつか見たんですけど、カンダさんが作った短編映画が、古町で流れていたことがありましたよね。
カンダ そうですね。古町の6番町の上の画面だと思うんですけど。
ちひろ そうです。大きいスクリーンで、たまにNegiccoのMVとかも流れるんですけど。
カンダ ああ、途中で流れましたね。古町インディーズ映画祭。古町6番町で何かしてほしいって話があったのかな。ちょっとあんまり覚えてないんですけど。
よしこ 何だかんだやってますね。
カンダ やってましたね。
よしこ 私、何もしないで生きてきたので。
カンダ いやいや。発信ってどういうことなのか、僕もよく分からないんですよ。
よしこ 絵を描いたり、写真を撮ったりするけど、誰にも見せずにネットにもほぼ載せずに。
カンダ ああ。でもそれ見たい人はいっぱいいるんじゃないですか。それは見てみたいですよ、色んなものを。それは恥ずかしさで見せたくないという感じなんですかね。
よしこ なんか、日常すぎて載せてないというか。描いたり撮ったり。
カンダ そういう行為が日常だから、載せたくない。
よしこ 載せたくないわけではないんだけど。
カンダ 躊躇してしまうんですかね。でも、日常って一番面白いですよね。
よしこ そう。例えばTwitterで流れてくる、お洒落なご飯屋さんじゃないやつが見たい。
ちひろ 「映え」ではないやつが。
よしこ そう。みんなの普通の毎日のご飯が見たいんだけど、出てこない。
カンダ そういうのいいじゃないですか。
よしこ 自分は雑な飯とかを。
カンダ いいですねえ。
ちひろ ほら、ここにカメラマンが評価してますよ。
カンダ いやいや、そんな。
よしこ みんなお洒落なものばかり食べて、そんなわけないだろと。
ちひろ カフェのお洒落なケーキとかばかり見せたがるけど。
よしこ そう。毎日あんなもの食べてるわけじゃないじゃん。それじゃないやつが見たい。
カンダ それは分かります。写真も、きれいなものを撮ろうと思えば、そこだけ切り取って撮れますから。その周りにはもしかすると、洗い物が雑に置いてあったりだとか。でも僕もそっち側の方が興味ありますね。生活感っていうのが。
ちひろ 確かに、「映え」みたいなものを狙いすぎると、生活感がなくなりすぎて、ちょっと違和感があることもあるのかもしれないですね。
カンダ まあ、それも作品として成立しているのであれば、いいと思いますけど。
よしこ 作品って何だろうね。
カンダ そこなんですよ。作品って何なんだろうと。結局、自分で撮っていいって思ったものって、写真に限ると、伝わらないんですよ、多分。伝わるものじゃないと思うんですよ。イメージじゃないですか。例えば海の写真を撮ったとしますね。自分はこの海がきれいだと思って撮ったから見てよと思ったとしても、そうするとそれを見た人によっては、例えばよしこさんが海で溺れた経験があったりとかすると、その写真を「うわっ」と思う、ということもあると思うんですよね。
ちひろ 同じ作品なのに、人によっては美しいと思ったり、嫌だと思ったり。
カンダ そうそう。青春をそこで過ごしていた人は懐かしいと思ったりとか、本当に見る側の心によって全然作品が変わってくるので。なので、私達が撮る写真というのは、自分の意図というのはほぼ伝わらないものだと思っているので、それはもう委ねるしかない。
ちひろ ああ、それ僕も似たようなことを考えてたことがあって。僕、障害者アート、アールブリュットと呼ばれたりするものが好きで、そういう人達の作品展を見に行ったことがあるんですよ。やまなみ工房っていう障害者施設の人達が色んなアート作品を、リハビリの一環みたいな感じで作っていて、それが高く評価されているというのがあって。それがすごく気になって見に行って。
よしこ 俺も障害者だぞと。
ちひろ そうそう。でも俺も障害者だけど、俺の絵はたいしたことないみたいな気がして、あの人達の作品の方がすごいみたいな気がしたんですよ、その時に。じゃあ、自分の絵とあの人たちの絵は何が違うんだろうと思って。俺の絵はアートじゃないけど、あの人達の絵はアートだみたいに思っちゃって。正直に、施設長がゲストでいらしていたので「アートとアートじゃないものの違いってあると思いますか?」と聞いてみたら、「そんな違いはないんですよ。それは見た人がそれぞれ決めることなので」みたいなことを言われたんですよ。それに、ちょっと似てるなと思いました。
カンダ ああー。
よしこ アートが何かもよく分からないんですけど、未だに。
カンダ 難しいですね。
よしこ なんだろう、ムカつく奴がアーティストを名乗ってると、本当に胸倉掴んでビンタしてやりたくなるよね。あれ何なんだろうね。
ちひろ それはあれでしょ、作品を作るというより、カッコ付けた肩書きとしてアーティストを名乗ってる人がムカつくってことじゃないの。
よしこ ああー、うん。ムカつく。
カンダ その作品がムカつくわけではなくて、作ってる人がムカつく。
よしこ そうですね。アーティストを名乗ってるいけすかない奴が、ムカつくんですよ。ハハハ!大体黒縁眼鏡をかけてて、大体無造作に髭を伸ばしてるんですよ。
ちひろ いるねえ!あれ?ぺがはるか…?
よしこ いや、あそこまでいくと、ちょっと髪長すぎるんだよ。アーティストを気取ってる奴はもうちょっと違う。
ちひろ 確かに、あそこまでの髪の長さになったら…
ぺが ほぼ浮浪者みたいなものですよ。
ちひろ なんか、ヒッピーみたいですよ!
よしこ あそこまでいかないの、アーティスト気取りは。いるでしょ。
ちひろ いる。いるねえ。
よしこ そう。ああいうのは、私、信用してないから。
ちひろ ちょっと待ってよしこさん、カンダさんの話がどこかに行っちゃったよ。
カンダ いいんですよ。これは大事な話だと思うので。
よしこ カンダさんはわりと穏やかな人ですか?
カンダ 自分でもちょっと分からないですね。何かあったら怒るかもしれないですけど、怒ることはあまりないですね。
よしこ 私も怒ったことあまりなくて、子供いるんですけど、ほぼ怒ったことなくて。でも、アーティスト気取りのおっさんはムカつく。
ちひろ 多分、よしこがムカついてるアーティスト気取りのおっさんの話は、この「おはなし図鑑」を始める1~2週間前に、2人でやったツイキャスの中で話してたんですよ。2019年の1月に。
よしこ いや、あの人は髪がない。
ちひろ その人はハゲてたらしいけど。気になった方は、それを探し出して見てみてください。ちょっと待って、カンダさんの話は!?
カンダ 私はいいんです、いいんです。でも、その話は気になりますね。
ちひろ いいんです、いいんですって、ゲストですよ。いいんですか?
カンダ ハハハ!いやいや!
ちひろ 要するに、よしこさんが絵の勉強をしようと思って、絵の学校に通ったら、そこの先生がよしこさんのストーカーみたいになって…
よしこ もういいよ!
ちひろ じゃあ、カンダさんの話に戻ろうか。映像を作ってた時に、あんもさんと知り合い中央ヤマモダンと知り合った縁で、写真や映像じゃなくて別な芸術活動も始めたということもうかがったんですが。
カンダ ああ、インスタレーションみたいなことですかね。そうですね、あんもさんの繋がりで色々な人を紹介してもらって、ヒッコリースリートラベラーズの「春山登山展」という春にするアートイベントがあって、今はもう終わってるんですけど。
ちひろ ありましたね。今はもう終わってますよね。僕も行きました。
カンダ こんなに新潟で色んなことやってる人がいるんだなと、新鮮な気持ちがあって。それで、その次の年から、ちょっと自分もこういうことをやってみたいなと思って、話をしてみたら、参加しますかということで、参加させてもらいました。そこで一つの部屋を借りて、ここ使っていいですよ、何でもしてもいいですよということで。
よしこ 何でもしてもいいの?
カンダ 一応、企画は話さないといけないので。そこで、インスタレーション、空間を使った作品というか。また写真とも全然違って。その時は、私もともと夜の写真を結構撮るんですけど、暗闇が結構好きなんですよ、それで、部屋を真っ暗にして。その時の作品はビニール傘を50本…70本くらいだったかな、それを全部積んで、その中にプロジェクターを入れて、そこにラジカセも入れて、光がポン、ポンと光るたびに、しずくがポチャン、ポチャンと鳴る作品を作りました。
ちひろ 俺、見に行ったな。どこでやったんだっけ。
カンダ 蔵織の2階ですね。
ちひろ 春山登山展、僕も好きだったので、いつか頑張ってここに出たいなと思っていたら、気付いたら終わっていたという。
カンダ そうなんですよ。まあ、そういうのもやってみたりしたら、こういうのも面白いなと思って。それでその後、「水と土の芸術祭」とかも始まったりして、そこでも色んなインスタレーション作品もあって、そういうのにも出会ったりとかして。そこでまた色んな繋がりができて、絵を描いてるワタナベメイさんと、インスタレーションで水と土の芸術祭で出展されていたKikikoというグループの小出(真吾)さん、その方はヒッコリーでその頃働いていたんですけど。その3人で、アナログっていうアートユニットを組んで。
ちひろ 3人で、医学町ビルで展示してましたよね。
カンダ そうですね。
ちひろ 2016年くらいに見に行った記憶があって。面白かったです。穴の中を覗くと、何かが見えるみたいな。
カンダ はい。ちくわが動いていたり。
ちひろ あと、入口の隅の方に作品があって、部屋の反対側から望遠鏡で見るとその作品が巨大に見えるとか。あと、覗くと窓の外の風景が映ってるとか。
カンダ そうですね。そういうギミックというか、不思議な感じを作ってみたりとか。で、そこで知り合って、「大地の芸術祭」の一環である、雪アートプロジェクトっていう、越後妻有でやったんですけど。
ちひろ あ、大地の芸術祭は、わりと夏とかにやるけど、その一環で冬にするっていう。
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カンダ そうですね。そこに参加させていただいて、レコードが500枚くらい、雪の上に刺さってるっていう作品です。
ちひろ レコードなんですね。これは「アナアキ」っていう作品なんですか。
カンダ そうですね。本来ここに雪が降り積もって、下に影ができるんですけど、それが穴のように見えるというものにしたんですけど。
ちひろ なるほど。
カンダ でも、雪が降りませんでした。
よしこ 残念でしたね。私も、五泉だったかな、村松だったかな、雪灯篭を何百個も並べて、その中にろうそくを入れるというのを手伝ってたんですけど、降らない時もありましたね。
ちひろ 天候はね。
カンダ 自然はやっぱり。
よしこ お天道様には敵わないからね。
カンダ 敵わないですよね。でも、それもやっぱり一つのテーマではあったと思います。その、雪というものの。
ちひろ 確かに、野外作品は、100%コントロールすることができない面白さがありますよね。
カンダ そうですよね。
よしこ できないからいい。
ちひろ 写真とかもそうじゃない、雲の形とか毎回変わるっていう。
カンダ そうですよね。これに携わってる時に、一緒に出ていた前山忠さんという方、元新潟の前衛アーティストのGUNというところにいた人でした。
ちひろ あの、長岡で雪に絵の具をぶちまけて巨大なアート作品を作ったという。
カンダ そうですね。
ちひろ GUNすごい好きで、7~8年前に長岡の県立近代美術館でGUNの展示に行ったんですよ。
カンダ やってましたよね。
よしこ そういうところに全然行かないんですけど、行った方がいいのかな。
カンダ 行くと面白いですよ。全然自分が見たこともないようなところに行けるので。
よしこ ちひろはすごい行くけど、私全然行かないよね。
ちひろ 何か一緒に行ったよね。蜷川実花だっけ。また絶妙なところに行ってしまった。
よしこ 私は好きじゃないねえと言って帰った。
カンダ なんか好きそうですけど。
よしこ 好きじゃないんです。でも、あの人が自分を被写体にして撮った写真は良かった。それ以外は好きじゃないです。あの、撮れたと撮ったは違うじゃないですか。撮ろうと思って撮るものと、あ、これよく撮れた、というものは違うじゃないですか。
カンダ ああ、なるほど。面白いですね。
よしこ 熱帯魚の写真があったのが決定的に嫌いだった。カラフルな魚なんですけど、元はその魚、白いんですよ。人工的に針で穴を空けて着色してる魚なんですけど。確かにカラフルなんですけど、人工物なんだよなと思って。
ちひろ それがアジアの市場の写真かな。多分わざとあれ撮ってるんだよね。わざと毒々しくして。人形工場の人形の首がひたすら並んでるのとか。多分わざとそういう毒々しいのを撮ってて、熱帯魚とかも。で、話を戻して。
カンダ そうですね。それで、GUNの前山さんと出会って。その後、ゲット・ムーギャラリーでアートウォッチングという、色んな造形だったりインスタレーションだったり、そういう人達が集まって、自分達の目線で面白いものを写真に撮って、展示しようというものを始めて、それを毎年やってたんですね。そこで、Tangoくんに再会するわけですよ。
ちひろ そこにTangoさんがやってきたのか。
カンダ そして、そこで立ち話をしていて、久し振りだなって話をしていて、今度何か一緒にやろうよって話になって、あ、いいねえってなって。そこで、今活動しているLIGHTが始動したわけです。
ちひろ カンダさんと、Tangoさんと、Mizusawaさんの3人。それはいつぐらいですか?
カンダ 初めは、2016年ですね。
ちひろ さっき、お話をちょっと聞いた時に、そういえば中央ヤマモダンの山本さんと、FM KENTOでラジオをやってたこともあったねという話になって、それが「神山薬局のポイント5倍デー」というコントのラジオなんですけど、それが2016年だったということがさっき調べたら出てきて。それは、そのあとですか?
カンダ あとくらいだと思います、同時かな。
ちひろ じゃあ、初めてLIGHTが始動して。
カンダ そうですね。そこに、デザインを全部やってくれているKawataさんという方と、安達さんという方と、一緒になってチームを組んで、一緒にやってますね。
よしこ こういうの(冊子)のデザインですよね。
カンダ そうですね。
ちひろ 冊子を作るのと、展示をするのと、どちらもやろうみたいな。
カンダ そうですね。冊子を作って、それに合わせて展示をやる。
ちひろ 年に2回くらいやってますよね。
カンダ 年に2回やってました。最近はコロナの影響でちょっと1回中止して、また8月末にはやる予定なので、展示もしようかと思ってるので、是非。
ちひろ 日程はまだ決まってないですか。
カンダ 日程は…
Tango 8月28日から、9月5日。8日間かな。
カンダ 8日間ですね。ただ今、ちょっとコロナがまた心配になってきたので、実際どうなるかはちょっと分からないですけど。ただし、その無料の写真集は必ず発行しますので、その時また配ると思います。もしよかったら手に取ってみてください。
ちひろ はい。LIGHTでも、さっき言ってましたけど、一貫してストリートスナップですよね。
カンダ そうですね。
ちひろ 僕も何回か行ったんですけど、展示の仕方も面白いなと思って。
よしこ あ、床に置いたり。
ちひろ そうそう。床に四角い台みたいなものがいっぱい置いてあって、その上に写真があって、その間を歩きながら見ていくみたいな。
カンダ はいはい。
よしこ あれ好きです。
カンダ ありがとうございます。嬉しいです。
ちひろ あれも、人によって展示の仕方を変えてるんですか?
カンダ 3人それぞれ場所を決められていて、そこで自由に展示するということになってます。
よしこ 何回切って、例えば(シャッターを)100回切ったら、そのうちの1枚はあります?
カンダ ああ、納得のいくものというか。それはもう、分からないんですよね、本当に。釣りみたいな感じで。
よしこ あれを見た時に、ここに並べられてる写真、この枚数出すのに、この人何回撮ったんだろうとか思って。
カンダ 多分、1000枚以上は撮ってると思います。
ちひろ じゃあ本当に、何十枚、何百枚に1枚みたいな世界なんですね。
カンダ そうですね。
ちひろ あの、万代の、意外とここ万代だって言えば分かるけど、ここの写真撮る人あんまりいないよね、みたいな写真とかを結構撮られてて、そういうのは面白いなと思いました。
カンダ そうですか。ありがとうございます。
ちひろ ラブラって分かるけど、裏から撮ってたりとか、駐車場のビルの光が映ってとか、そういうの、面白いなと思いました。
よしこ 匂わせみたいな?
ちひろ 匂わせっていうんじゃないけど。万代だって分かる人は分かるだろ?みたいな。
カンダ ハハハ!なんか、細い道を入っていくのが好きで、散歩が好きというか、路地裏とかもすごい好きだし、入った時にいつもと全然違う景色があると、ここすごいきれいだなとか。
よしこ 新しいカメラを買った時に、よくそういう細い道に行ってました。
カンダ ああ、新しいカメラを買って本当に撮りたくて。行きたくなりますよね。
ちひろ それで、残りが10分切ってしまったので、せっかくなので最後に、最近6月末で閉店してしまったBOOKS f3という、写真集をメインで販売していた本屋さんが沼垂にあったじゃないですか。あそこにはよく行かれていたんですか?
よしこ そりゃ行くべ。
ちひろ あの、よしこさん!そりゃ行くべじゃなくて!行ったんですか?って聞くことで、トークを引き出すんでしょ!
よしこ ハハハ!
カンダ 僕、でも、そんなに行ってないんですよ。
ちひろ ほら!意外と違う答えが返ってきたりするでしょ!
よしこ ハハハ!
カンダ そんなに行ってないっていうのは、新潟でそういう写真集を売っているというのはすごい大事なところだし、店主の小倉さんもすごい知識もあるし、自分が写真を撮っててやっぱり途中で自分の写真が分からなくなってくることとかよくあって、そういう時にふとお店に行って聞いてみるんです。それで話をして、そうすると色んな写真集を、これどう?とか、面白いよ、とか、的確なやつが来るんですね。これすごいですね!って。
よしこ 調剤薬局の人みたいですね。
カンダ 調剤薬局ですね。でも、非常に的確なんですよ。それで僕、写真集ってあんまり見なくて、知識も全然ないし、BOOKS f3で色んな写真集を見せてもらったりして、それでどんどん変わって行ったってところはありますよね。やっぱり人の写真集を見て、写真集の見方だって分からなかったし。写真って実際、すごく難しいじゃないですか。文章があるわけでもなく、イメージのみで物語が進んでいくので。この読み方っていうのも人それぞれだし。でも、自分の中で何か、理由って見付けると思うんですよ。これはどういう内容なのかなとか、違うかもしれないですけど。そういう作業も面白いなという風に思ったのもやっぱり、f3があったからだと思いますし。まあ色々、LIGHTでも、最初に発行した時に展示をさせてもらったりとか。
ちひろ 販売もしてましたよね。
カンダ そうですね。写真集を作った時に、販売もさせてもらいました。
ちひろ 閉店してしまったのも。
カンダ そうですね。ちょっと自立しなきゃいけないかなと思ってます。
ちひろ そういう拠点みたいなのは大事だったんでしょうね。
カンダ そうですね。写真を好きな人達がやっぱり集まって来たりして、そこでやっぱり出会いもあったりだとか。
よしこ Tangoなんて泣いちゃったんじゃない。
Tango マジでさ。
ちひろ Tangoさんはお客さんなんだけど、出ます?
Tango ハハハ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/b9/469ab7794ecdf6c11326c69860fce640.jpg)
ちひろ じゃあ、この話を最後に。「NIIGATA NATIVE NAVIGATE」っていう、これをさっきいただいたんですけど。
よしこ これはどこに行くと手に入りますか?
ちひろ f3では完売しちゃったんですよね。
カンダ そうですね。
Tango どこかで委託して販売してるところで残ってるところでしか、今はもう買えない。
ちひろ f3が終わる時に作った冊子なんですか。
Tango まあ、最後に向けて作ったっていうより、コロナになって、人々が町に出られなくなって。
ちひろ なるほど、それで町の良さを外に出られなくても伝わるようなものを作るっていう。お客さんが教えてくれました。
Tango ハハハ!そんな感じじゃなかったっけ。まずウェブサイトからできたの。
カンダ うん。ウェブサイトに掲載されたものに、色々加えて。
Tango 色んな人がどんどん書いていって。
ちひろ コラムを載せていく中に、写真も載っていて、そこにTangoさんでありカンダさんも。
Tango そうだね。写真は、本当に最後なんだよね。冊子ができるにあたって、最後の最後に写真をのっけて。
カンダ そうですね。
ちひろ なるほど。というわけで、気付けばもうすぐ終わりになりました。最後はTangoさんも話してくれて。
Tango すみません。
カンダ いやいや、ありがとうございます。
ちひろ というわけで、カンダさんありがとうございました。なんか、こういう話をじっくりしたのは。
カンダ 初めてですね。
ちひろ そうですよね。ドキュメンタリーを撮っていただいたところから、こんなところに繋がっていくっていう感じで。今日は本当にありがとうございました。
カンダ こちらこそありがとうございました。