1/18(火)、ユナイテッド・シネマ新潟で「こんにちは、私のお母さん」を観てきました。
幼少期から失敗続きで母親に苦労をかけてばかりの主人公は、母と共に交通事故に遭ってしまい、病室で瀕死の母を見守っていると、突然20年前にタイムスリップ。
そこで自分が生まれる前の若い頃の母と出会い、仲良くなって母を幸せにしようと奮闘するが…という、笑いも感動も満載の、まさに中国版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
冒頭から失敗続きの主人公の生い立ちをコミカルにテンポよく描きつつも、同時に主人公の劣等感も伝わってくるから感情移入してしまい、さらにそんな主人公を年老いても温かく見守る母親の優しさを観ていると泣けてくる。
そんな感じで、様々な感情を揺さぶられながら見ていると、突然の事故で母は瀕死に、そこからの突然のタイムスリップという、どんどん物語が予測も出来ない展開をし続け、グイグイ引き込まれていきました。
20年前の母との出会いやすれ違いや成りすましの会話の一つ一つがテンポよくコミカルに描かれ、そこで母を幸せにするために奮闘するエピソードの一つ一つもコミカルで笑えるし、さらに母と共にバレーボールを頑張るという突然のスポコン展開まで登場。
とにかくあらゆる方面から全力で笑わせてくる映画でした。
かと思えば、途中から母を好きな金持ちの男性が現れ、主人公は2人を結婚させようと奮闘するが、それは自分が生まれてこないことを意味する。
そこで起こるエピソードの一つ一つも作り込まれたコントのようで本当に笑えるのですが、でも同時に母の結婚相手が変われば自分が生まれてこなくなると分かりながら、それでも貧しくて自分が苦労をかけた母の人生を変えて幸せにしたいという主人公の気持ちに本当に泣けてしまう。
これ以上は伏せますが、最後まで見ると、母親に迷惑ばかりかけてしまったと後悔している主人公に対して、母親は主人公を生み育てたことを本当に幸せだと思っていたことが伝わり、そこに感動してさらに涙。
親に対する感謝と後悔、有難さと申し訳なさの混じった複雑な気持ち、僕もすごく分かります。
そもそも本作は、中国の喜劇女優ジア・リンが、自ら監督・主演を務め、自分の母親の実際のエピソードを元に描いたものであるということで、映画の最後に劇中の爆笑エピソードの元ネタとなったジア・リンの生涯が紹介されます。
だからジア・リンが、本当に母親に対する感謝の想いを表現するためにこの映画を作ったんだなあ…ということが伝わってくる。
些細なエピソードの一つ一つも今の自分に繋がっていて、一見後悔や申し訳なさを感じるような失敗であっても、それがなければ自分は生まれて来ていない。
タイムスリップというSF設定を利用して、自分の家族の物語を描くのはまさに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ですが、その物語を応用して、自分の過去と向き合い、自分の親と向き合う体験を描いた、監督の自伝的、私小説的映画だと思いました。