8/19(木)、シネ・ウインドで「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」を観てきました。
美甘進示さんの広島での被爆体験を、娘の美甘章子さんが記録し、その様子を映画化。
「はだしのゲン」で見たような原爆投下後の惨状をドラマと実際の映像で表現し、時に目を背けそうになるけれど背けてはいけないと言われているようで、短い中に想いの詰まった映画だと思いました。
美甘進示さんのインタビューの様子は英語で話す役者さんによって再現され、当時を再現したドラマには英語の字幕が付き、広島の現実を世界に伝えるという強い意志を感じました。
1時間くらいの短さだし多分すごく低予算な映画だと思いますが、実際の被爆体験をリアルに再現するドラマにはかなり力が入っているのを感じました。
進示さんが、被爆して死にかけた父とともに地獄のような被爆地を彷徨うという、とにかく過酷な惨状を伝える中、味噌汁をくれた人や倒れていたら座布団をくれた人など、助けてくれた人達の存在がすごく印象的でした。
戦争や核兵器という人間の過ちに苦しめられる現状だからこそ、人間の助け合いという希望が際立つし、進示さんの心に強く残ったんだなあと思いました。
終盤、進示さんは父の死後、家の跡地で亡くなった父の時計が、原爆投下時刻である8時15分で止まったままになっているのを見付け、それを国連に寄付します。
しかし、なんとその時計は盗まれてしまったそうなのです。
娘の章子さんは怒るのですが、進示さん(ここでは再現映像ではなくご本人登場)が、「人を怒ってはいけない」と語ります。
いや、ご自身も被爆し、お父さんも亡くなり、その形見であり戦争の貴重の記録でもある時計が盗まれたのに怒らなくていいんですか!?と思ったりもしましたが、「人を怒ってはいけない」という言葉には、戦争体験者、被爆者だからこその争いを恐れる気持ちがこもっていて、重みを感じました。