7/27(月)、イオンシネマ新潟南で「銃2020」を観てきました。
新潟市内ではイオンシネマ新潟南のみでの上映だったようです。
予告編はこんな感じです。
ごく普通の大学生の少年が拳銃を拾ったことで人生が狂っていく「銃」という映画が2018年にあったのですが、今作はその主人公を女性にした作品です。
両作品に共通する登場人物も多く、おそらく同一の世界観で起こった出来事だと思われる映画で、「銃」を観ているとより楽しめるけど、今作単体でも全然楽しめる映画だと思いました。
今作の主人公は、ストーカーに追われて逃げ込んだ雑居ビルでたまたま拳銃を拾った女。
彼女は売春で生活し、電気も止められたゴミ屋敷で暮らす無職の女で、拳銃に惹かれた彼女は拳銃を持ち帰り大切に保管します。
ヤクザ上がりの大家には暴言を吐かれ、隣には貧困な母子が暮らし、拳銃の秘密を握る謎の男に襲われ、さらに拳銃と事件の謎を追う警察にも目を付けられ…それらが少しずつ繋がり様々な事件が連作的に発生、物語が加速していきます。
ヒリヒリした不吉な空気が全編に満ちたサスペンスでした。
暴力、貧困、死など、日常風景のすぐ隣にある不吉な世界をヒリヒリしたタッチで描いた作風が印象的で、一つ一つのシーンが心に刺さるような痛々しいものだったのに、目が離せなくなる魅力がありました。
特に、日南響子さん演じる主人公から溢れる退廃的な色気と拳銃という凶器の不穏さが呼応し、危険な魅力を放っていたと思いました。
また、友近さん演じる主人公の母親が、娘に生きる価値はないと暴力的に押さえつけるタイプの本当に最悪の母親で、そういう背景にある社会の闇も描いていたのも良かったと思いました。
佐藤浩市さんもすごく危険な男が似合っていました。
そんな最低最悪の死と暴力の世界を描きながらも、謎の美しさが全編を支配している映画だと思いました。
世界の底辺で主人公が初めて自分以外の人間について、特に自分よりも若い世代の未来についてを考えるシーンで終わったのも、謎の感動がありました。