舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

チェルフィッチュ『女優の魂』観て来ました!(美術手帳も買いました!)

2013-08-02 23:43:29 | Weblog


美術手帳を買って来ました。
でもこれ、実は2012年2月の美術手帳なんです。

そんな一年以上前の美術手帳を何故敢えて今買って来たのか。
その理由とは…





チェルフィチュ岡田利規さんの小説「女優の魂」載っているからだ!
7月31日(水)、りゅーとぴあでチェルフィッチュ「女優の魂」を観劇した後、受付で売っていたので思わず買ってしまいました。





現在、ツアー公演中の、チェルフィッチュ「女優の魂」
新潟では7月30日(火)、31日(水)の二日間にかけて新潟市りゅーとぴあで公演を行っていました。

この演劇はそもそも、岡田さんが昨年、美術手帳に掲載した小説をもとに作ったものらしいです。
美術手帳への掲載ということで、芸術論、演劇論が満載な作品です。

しかし、小説をを書いた時点では舞台化する予定は全くなかったようです。
それを、最近になって舞台化したら面白いじゃないかと考えて、今回の「女優の魂」の公演に至ったということです。



演劇「女優の魂」は、佐々木幸子さんという女優さんの一人芝居でした。
面白かったので、小説も読みたいなと思い、美術手帳を買いました。

観劇後、美術手帳の小説「女優の魂」を読んでみて、びっくりしました。
なんと、小説「女優の魂」の文章は、演劇「女優の魂」の台詞と一言一句、全く同じだったのです。

確かに、小説「女優の魂」は主人公である女性の一人称で書かれた文章でしたから、そのまま役者が読んでも自然と言えば自然なのでしょう。
実際、「女優の魂」は女優さんが観客に語りかけるような演技がたくさん見られました。

それにしても、小説の文章をそのまま全て台詞として(リーディングとかではなく)、舞台化するのは、かなり挑戦的な試みだったんではないでしょうか?
実際僕は観劇してみて、「何だこの全く見たことのない世界は!?」って衝撃を受けました。



その理由の一つが、岡田さんの書く文章の言葉選びのセンスにあると思います。
読んでみて分かったんですけど、岡田さんの文章って純粋に面白い!

絶妙に言語野を刺激する単語のチョイスと言うか。
あとしゃべるような流れるような文章が、読んでいて、自然に脳内再生されてしまう。

でも多分、人が小説のために書く文章と、演劇のために書く台詞とでは、やっぱり書き方が普通は違ってきてしまうと思うんです。
「女優の魂」の小説ももともと演劇のために書かれたわけじゃないってくらいだから、いわゆる「小説の文章」なんだと思うんですよね。

で、これをそのまま一人芝居の台詞として使って見たら…それが何とも斬新で面白い新世界だったんですよね。
小説を演劇に"そのまま"持ってくることが、こんなに斬新なのか!という発見がありました。



この斬新さなんですが、多分それは言葉の面白さだけじゃないと思います。
それは多分、一人称を話すのが文章だけなのか、本当に人が話しているのか、という単純な違いにあると思います。

…えっと、「女優の魂」まだツアー公演が終わっていないのでネタバレしない程度に書いていきます。
(まあ、もともと美術手帳に載っちゃってるし、チラシに載ってるあらすじ程度の情報で書いて行きます)

この「女優の魂」は、死んでしまった女優が舞台上で、生前の自分についてや、演劇論を、ひたすら語り続ける話です。
この、死んだ人間の視点で物語が進行するってのが、ミソだと思うんです。

突然ですが小説って、あり得ないことを起こせますよね。
それはフィクションという意味だけじゃなく、例えば「女優の魂」みたいに、主人公の死が、死んだ主人公の一人称で書かれるみたいなこと。

冷静に考えると、「えっ、じゃあこれ誰が書いてるんだよ!」ってなるアレです。
でも、小説だと、そういう表現もよく使われるので、わりと自然に受け入れてしまう。

でも、これが演劇となると、なんか、すごく妙な違和感があるんですよね。
「私は死にました」←じゃあお前誰だよ!っていう。

いや、これは、舞台に幽霊が出て来るってのとは違うんですよ。
幽霊ってのは、生き残った人間が見てしまうものですけど、そうじゃなくてこれは、完全に死んだ人間の視点で物語が進む。

そういう、小説だと自然に流してしまう表現を、演劇にそのまま使った時の絶妙な違和感。
それが、この作品を魅力的にしていたというか、僕の中での大きな発見でした。



いやー、すごい演劇との出会いでした!
チェルフィッチュさん、新潟公演行っていただき本当にありがとうございました!






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