舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

受験だけが勉強じゃない。学校をサボって初めてシネ・ウインドに観に行った「珈琲時光」のこと。

2023-01-14 22:05:09 | Weblog
1/13(土)、14(日)とセンター試験こと全国共通一次試験が行われるわけですが(僕はこれが同じものだということを結構最近まで知らなかった)、そのせいかテレビのCMも受験生を意識したものが多く、Twitterでも受験生を応援する投稿をする人が多かったです。
せっかくなので受験に対して自分が思うことを書いていこうと思いますが、言うまでもなく僕は受験や学歴社会が嫌いなひねくれた人間なのでストレートに「受験生がんばれ」みたいなことなんて書きませんよ!

10代の頃、実は僕は勉強は結構好きでそこそこ楽しんでいたのですが、受験勉強はまったく手も足も出なかった子供でした。
知識や教養を身に着けて新しい世界を知ることは純粋に面白いと思っていたのですが、将来の選択とか成績とか試験でいい点数を取るテクニックとか、受験の話題になると本当に気持ち悪くなって拒否反応を示してしまう人間でした。

当時は気付いていませんでしたが、これ明らかに当時から発達障害の症状だと思うんですよね。
自分は精神科での知能検定の結果、知能指数の中で「処理」という能力だけ著しく低かったんですが、同じように、学校の勉強はできても、その知識を将来のために役立てる、将来の目標に向かって行動する、みたいなことはずっと苦手でした。

しかも、当時はまだ自分が発達障害だと気付いていなかったので、自分の受験に対する苦手意識を理解することもできず、言葉に出来ない生きづらさを常に抱えていました。
自分が理解できないことを家族や先生が理解できるはずもなく、周りが受験が近いんだから勉強を頑張れ!みたいに応援されるのもさらにプレッシャーでした。

しかも学校の友人達も、それまでは学校が嫌だと言っていて親しみを感じていたのに、受験の時期になるとこぞって勉強を始めるから、勝手に仲間だと思ってのに裏切られたような気持ちになり、孤独を感じていました。
とにかく、受験の時期は何もかもが窮屈で居心地が悪かったので、大人になった今でもこの季節になると嫌な気持ちを思い出すし、受験生を応援するようなCMを見るだけで不快な気持ちになります。

中学時代の高校受験もかなりつらかったですが、それ以上に高校は日常的にテストの成績や順位、大学進学や将来の話ばかりしてくるいわゆる進学校だったので、3年間本当に窮屈な居心地悪さを感じていました。
それに加えて僕は部活もやっていたのですが、そこも全国を目指して過酷な練習をしろ!みたいな超体育会系で休みもないブラックな部活だったので、とにかく勉強と部活に振り回されてやりたいことが何もできない3年間でした。

もしもあの時、自分が意志ややりたいことをしっかり確率できていれば、勉強や部活で何を言われても気にせずに自分の好きなことができたと思うのですが、まだそういう自分を確立することもできなかったので、とにかく周りに流されていたのが本当につらかったです。
もっと言うと、高校時代の自分は、自分の好きなことをやりたいという気持ちを殺して周りの価値観に従ってつらい思いをすることが「正しい」と思い込んでいたので、頑張れば頑張るほど生きづらくなっていくという、地獄のような毎日でした。

そんな高校生だったので、3年生になって部活がなくなり、さらに受験対策のために普通の授業もなくなった時は、やっと自由な時間が増えた!やっと好きなことが出来る!という気持ちでした。
そして、受験勉強が嫌すぎた僕は、受験対策の授業が出欠を取らなかったのをいいことに、授業に出ずに自転車で新潟市内を走り回ったり、ビデオ屋に行って見たい映画を借りて見たりしていましたが、中でも近所の公民館の図書館は学校がつらい自分の大切な居場所で、読書ばかりしていました。

そして、何一ついいことがなかったような気がしている高校生活の中でも、7.13水害のボランティアに行ったことと、学校の受験対策の授業をサボって初めてシネ・ウインドに行ったことは、今の自分に繋がる大切な体験になっています。
7.13水害のボランティアに行っていなければ、去年、関川村のボランティアに行くことは出来なかったし、あの時初めて行ったシネ・ウインドに大人になって通うようになり映画からたくさんのことを学ぶことが出来ました。





初めてシネ・ウインドで観た映画は、忘れもしません、一青窈さん主演の初主演作「珈琲時光」でした。
どうしても見たくなり、高校3年生、受験直前の2005年の1月に、授業をサボって雪の中見に行ったのですが、今思えば授業をサボって映画を観に行く、という体験がしてみたかったのかもしれません。

僕はそれまで映画と言えば、金曜ロードショーでやっているハリウッド映画が日本のドラマの劇場版、それと東映まんがまつりくらいだったので、いわゆるミニシアター系の映画自体を観たのがほぼ初めての体験で、めちゃくちゃ感動したのを覚えています。
中でも一番感動したのは、派手な物語は何もないのに、ただ日常を淡々と丁寧に描いていく、そういう映画を初めて見たことでした。

一青窈さんが演じる主人公は、一人暮らしの売れないフリーライターで、妊娠していて、貯金もないのにシングルマザーになろうとしています。
彼女のことを密かに好きな浅野忠信さん演じる親友や、彼女の出産や将来を心配する両親も登場するのですが、そこで何か物語が展開するわけではなく、あくまで彼女の日常を淡々と描いていきます。

うまく言えないのですが、テストの成績や順位や偏差値、大学受験や将来の話ばかりの高校生活に窮屈さを感じていた自分は、将来が何も決まっていない不安定な人生でも毎日を淡々と生きていくことを描いた「珈琲時光」に妙に救われたんです。
いい将来を目指さなくてもいい、頑張らなくてもいい、毎日をしっかり生きていればそれでいい、みたいなメッセージをあの時の自分は「珈琲時光」から受け取ってしまい、それは今でも自分の価値観のかなり重要な部分を作っている気がします。

映画の話が長くなりましたが、何が言いたいかというと、自分の人生を変えるような大切な体験は勉強だけじゃないよ、ということです。
日本では勉強というとどうしても学校でするもの、受験のためにするもの、という印象が強いですが、本当は勉強ってもっと広い社会勉強、人生勉強のことだし、大人になっても毎日学ぶことはたくさんあります。

僕にとって学校をサボってシネ・ウインドに行ったことがそうであるように、何がその後の人生に役立つか分からないし、学校の授業だけではなく、自分の世界を広げること、視野を広げることのすべてが勉強です。
そして、勉強は決して受験を突破するためのテクニックではなく、その先の人生でも毎日の生活の中で体験するすべてが勉強です。

そして、学歴社会の中で生きていると、どうしても受験は合格が成功で不合格は失敗とか、学歴がある方が偉いとか思ってしまいますが、全然そんなことないですからね。
どういう道を選んでもどんな結果になっても、全部がちゃんと自分のためになるのが人生なので、受験生も受験しない人も安心して自分の人生を進んでほしいです。

いやー、つい数年前まで受験が嫌いすぎて受験生に対する悪態ばかりついていた僕も、まさかこんな風に若者を応援する言葉を言えるようになるとは…
これも成長、これも毎日の人生勉強の成果ですね…

そして、僕はこういう大切なことを色々な映画から学んだと思うんですよね。
だから、やっぱりあの時、学校をサボってシネ・ウインドに「珈琲時光」観に行って良かった!(「珈琲時光」はDVDのレンタルなどもしているので興味ある方は見てみてください)
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