10月4~6日の三日間にかけて、シアターent.で公演していた、JOKER『ゴーストハウス』
僕は10月4日(金)に見てくれました。
昨年の公演『JOKER』が面白かったので、楽しみにしていた俺。
内藤くん、高田真衣さん、中央ヤマモダンの江尻さんという、個性的な客演も楽しみでした。
この公演は前売り/当日のチケットは同じ料金だったんですが、その代わりに前売り特典としてペンライトのプレゼントがありました。
一体、何故ライトなのか…?と思っていたら、その答えは開演前に明らかに!
「ゴーストハウス」はお化け屋敷を舞台にした演劇だったんですが、開演前になんとステージにお化け屋敷が出現!
席に座る前に、ペンライトを片手に持ってお化け屋敷が体験できるのだ!
ステージを取り囲むように暗幕の裏側を通ると、そこはお化け屋敷に。
出現するのは、メイド服でスプレーを噴射してくるもりこさん、井戸の中から顔だけ出してるさっきー、「明日死にますよ!」と言いながら突然出現するもっつぁん…
が、そんな中、最も輝いてたのはあの男…そう、島村哲平さんである。
島村さんはお客さんが入ってくるなり「いらっしゃいませー!」「足元お気を付けください!」「ご自由にお座りくださいー!」と凄まじい勢いでびっくりさせながら、客席誘導を行うという一石二鳥!
開演前のこういうサービスは素直に楽しい。
唯一の心配事は、開演前からこんなに飛ばして、島村さんの体力は持つのだろうか…!?
ところで、このゴーストハウスの最前列の客席には、「スペシャルシート」なるものが存在していました。
ここに座ると、役者が公演中にいじってくるらしいのだ。
ちなみにこの全員のサイン入りの紙は、記念にもらえるらしい。
島村さんに勧められるがままに座ってしまった俺、果たしてどうなるのだろうか…
という訳で、ここからは感想などを書いて行きます。
まず、一番良かったところは、役者の皆さんが非常に楽しそうなところ。
ギャグ漫画から飛び出してきたかのような濃いキャラばかりでした。
素晴らしいのが濃いキャラたちが一人として方向性が被ったりせずに、バランスよくそれぞれの個性を発揮しているんですね。
また、この作品はコメディーなんですけど、笑いの方向性がそれぞれ違っていて、そこのバランスも良かったです。
これは高田一樹さんの脚本・演出を見るといつも思うことですが、一樹さんは役者の個性を引き出すのがとても上手い。
多分、そういうのが好きなんだと思います。本人も「今回は究極の当て書き」ですって言ってたし。
そして、これは客演の三人に関して強くそう思いました。
まず内藤くんは、肉体を駆使したキレのある動きで笑いを取るのがとても上手い。
アメリカ帰りという設定で、突然アメリカンジョークを言い出すわ、ハリウッドっぽい派手な演技をするわで、それこそギャグアニメの動きをそのまま人間が演じてるようでした。
そんな内藤くんは、ことあるごとにスペシャルシートに座った俺に絡んできたではないか!
スペシャルシートっていうから誰が絡んでくるのかと思いきや、全部内藤くんだった!これじゃスペシャルシートって言うか内藤シート!
高田真衣さんは、内藤くん演じる社長の秘書という役なんですが、この役がミニスカートでメガネをかけていて、見るからにエロい!
そしてしゃべり方から立ち振る舞いまで、全てが無駄にエロい!
しかもドMという設定で、鞭を持っては「叩いて!」って…そこまでやったらもう笑うしかないよ!
真衣さんは6月の劇研詩舞で見た時に、とても色気のある演技をする方だと思ったんですが、本作ではその演技力と色気をいい意味で無駄使いしていて、そこが非常に突き抜けていて良かったです。
そして中央ヤマモダンからの客演の江尻さん。
普段から何だかとらえどころのないシュールな笑いを得意とする江尻さんですが、本作でもその雰囲気は健在でした。
「何がやりたいんだよ!」な笑いが、じわーっとくる感じが心地よかったです。
そしてギャグ以外のちゃんとした演劇の部分では、江尻さんがふわっとした、しかし、しっかりとしたキャラクターがいい味を出し、物語を引き立てていました。
余談ですが、後から一樹さんから聞いた話で、江尻さんの台詞は全て脚本通りに読んでるだけなのに、何故か江尻ワールドな面白さになってしまうらしいです。
素晴らしい個性です。
JOKERのオリジナルメンバーも、いい意味での悪ふざけが去年の「JOKER」より加速しているようで嬉しかったです。
例えば、暴走キャラ島村さんの暴走シーンが約3倍に増えていたり、何となくエロかったもりこさんは、露骨に巨乳を強調したメイドという分かりやすくエロいキャラになっていたり。
何がすごいって、もりこさん、自分の巨乳を自らネタにしてるからね。
そして対照的にさっきーさんが露骨に貧乳を気にしてるというキャラで…ちょっと、女優に何やらしてんすか!?
…って思ったら二人とも普段から自らネタにしているから、一樹さんが脚本にそのネタを使ったとのこと。
二人とも体張り過ぎですよ!
体張り過ぎと言えば、やっぱり開演前から暴走し、本編でも主に3ヶ所で暴走する島村さんも大分体張ってましたね。
そして笑ったのは、島村さんの暴走シーンのあとに、さっきーの暴走シーンも出て来たこと。
これはある意味ファンサービス的なシーンだと思うんですが、ここ最近に見たさっきーの中では一番好きだったかもしれないです。
あと、一樹さんともっつぁんは派手なボケは少なかったものの、会話等で確実に笑いを稼ぎ、あと脚本の後半から強くなってくる物語の核となる部分も好演していたと思います。
そう、この作品のすごいところは、こんだけバカバカしいのに、最後は結構感動できちゃうという点。
という訳で、役者の話を延々としてきたんで、脚本に関する話でもしていこうと思います。
「ゴーストハウス」の脚本って、いい意味ですごくB級映画っぽかったと思います。
普通に考えたら要らないシーンなのに、面白いからというだけで超下らないシーンが次々と登場して、しかもそこにすごい情熱が注がれている。
例えば、よくある会話のすれ違いネタ、ありますよね。アンジャッシュがよくやるやつです。
あれってかなり技術を要する表現だと思うんです。
で、ゴーストハウスにもすれ違いネタたくさん出て来るんですが、それが何て言うか…いちいち下ネタなんですよね。
例えば、息子が誘拐された話を、息子(チ○コ)を手術で取った話と勘違いするとか、どんだけ下ネタなんだよ!っていう。
いや、あれだけ見事なすれ違いネタ考える技術があるのに、それをものすごくバカなことに使うという…
もう、頭がいいんだか分からない!
と、こんだけバカなことをたくさんやっておきながら、話の後半では二つの驚きがあります。
一つ目は、叙述トリックとしての驚き。
キャラクターが全員人間だと思って見てると実はその中に幽霊が紛れてて、もう一度見ると会話が成立してないってやつ、あるじゃないですか。
ホラーということなんで、絶対やるだろうなあって思ってたらやっぱりやりました!
誰が幽霊かなあ…って思って見てたら、予想外に幽霊が複数人いてびっくりしました。
しかも、幽霊が見える人と見えない人がいる、しかも見えない人でもある状況が整えば見える、というかなりややこしい設定があるので、まず分からないと思います!
そして二つ目の驚きは、何だかんだで感動できちゃうという驚き。
直前まで散々バカなこと、ゲスなことをやっておいて、最後は物凄くストレートな感動、そして切なさが味わえます。
もう公演終わってるんで普通に書いちゃいますが、この作品は潰れかけの遊園地が買収されそうになって、右往左往する従業員、っていうのが表向きの物語。
が、後半で判明するもう一つの物語は、従業員の中の一人(もっつぁん)は実はすでに死んでいて、この思い出の遊園地から成仏できない呪縛礼となっていた。
そして、遊園地の経営者(一樹さん)は、この幽霊となった友人を成仏させるために一人の女性(江尻さん)を呼んでいた。
その彼女こそ、彼がずっと思いを伝えられなかった相手であり、その想いを遂げさせることで友人を成仏させようとしていたのであった…
…って何だよこの切ないストーリーは!
前半のギャグ満載のシーンは一体何だったんだ!
…って言いつつ、このシーンでしっかり感動できたのは、やっぱり役者の力だと思います。
ギャグに全力になるように、ちゃんとストーリーに対しても全力で向き合っている演技が良かったと思います。
特にラストの江尻さんともっつぁんのシーンの切なさは非常に良かったです。
二人ともとてもいい役者。
それにしても、江尻さんやたら可愛かったなあ。
本公演の一番の収穫かもしれないですね。
という訳で、色々面白かった点を書いていたら、かなり長くなったので、ここからは箇条書きで行きます。
・後半からの展開がやや強引、急展開すぎて分かりにくかったかな…
(が、二回見れば分かるレベルだと思う。リピーターを増やすという点ではすごく良かったと思うが、一回しか見ない人が大半だし、分からなかったって人もいたと思う。)
(ま、そんなん考えなくても笑えればいいじゃん!って考えで見れば面白いんですけどね。)
・役者のキャラクターが、いつものあのキャラって感じで新鮮味が少なかった。また内輪ネタも多かったと思う。
(まあ、これはファンサービスって点で考えることもできるので一概に悪いとは言えないけど)
気になったのはこの二点くらいですかねえ。
まあ、いろいろ書いちゃいましたけど、何だかんだで、俺はJOKER好きですよ。
そもそもJOKERは劇団というより、エンターテインメント集団ですからね、こういうお祭りみたいな公演は素直に楽しいです。
お疲れ様でした!
次回も楽しみにしていますよ。