舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

誰も傷付けない普遍的な面白さは難しくても、それを目指す気持ちは大切にしたい。

2022-01-09 23:18:52 | Weblog
1/9(日)、この日は砂丘館に新春の神楽を観に行きたかったのですが、予約が埋まってしまっていたので、喫茶店でダラダラしていました。
そこでなんとなくTwitterを見ていると、BSNラジオ「スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ」に関するこういうお知らせを目にしたのです。



1/2(日)の放送は僕も聞いていたのですが、収録日が年末だけど放送日がお正月だから出演者全員でお酒を飲んでお正月気分を出そう!という企画を放送していました。
これがBSNラジオで問題となり、しばらくは休止して再放送を行うとのことです。

最初に自分の気持ちを正直に書いておくと、僕はササダンゴさんが好きで普段から「チェ・ジバラ」を楽しく聞いていましたが、確かにこの日の放送はいつもに比べて面白くはなかったです。
ササダンゴさんはラジオでもプロレスでも、何かトラブルが起こったと思ったら実はそれが全部仕込まれたネタで最後に意外なオチで笑わせる、みたいな手の込んだ笑いを得意とする方なので、今回もそうなのかな…と思ったら、まさかの最後は酔っ払ったササダンゴさんが寝てしまうというオチで、「そんなのアリかよ!」と思いました。

しかし、再放送はあるとはいえ放送休止を知った時、果たしてそこまでするほどの問題なのだろうか…と思った自分もいました。
例えばこれが差別やいじめ、デマやフェイクニュースなどを助長する内容だったら問題ですが、基本的に「自分が面白いことをしているだけ」のササダンゴさんの笑いは、好き嫌いはあるとはいえ、そこまで問題なのだろうか…

すると知り合いから「放送局は社会の公器として誠実性は求められるべきなので、酩酊した状態で自制心を欠いた出演者を放送することは放送倫理に抵触するという考えは適切だ」という意見をもらい、確かにそうだよなあ…とも思いました。
また、だとしたら事前に放送内容をBSNがチェックして内容の変更を求める、みたいなことは出来なかったんだろうか…とも考えてしまいました。

そう考えると、BSN側とササダンゴさん側の、事前の連絡や打ち合わせが適切に行われていなかったことが一番の原因なのではないだろうか…とも思えるので、やっぱり何かを表現する上で事前の打ち合わせってすごく大切だし、それが公共放送なら尚更だよなとも思いました。
そして何より、これでBSNに対してであれササダンゴさんに対してであれ、過剰にバッシングするような人が出てこないことを願うばかりです。



さて、ここまでは、「チェ・ジバラ」についての自分の考えをまとめたものです。
ここからは、この一件を受けて、自分の活動について考えたことを書いてきます。というわけで、ここからが僕の本題です。



自分は過去、トークイベントをまだ始めたばかりの頃に、泥酔した友人をゲストに呼び、90分下ネタをしゃべってもらう、というトークイベントを面白がって開催したことがあります。
そして、その内容が一年後に両親に見つかって「恥ずかしいことはやめろ!」と本気で怒られ、そこで初めてちゃんと自分が人前で何かを表現する時に伴う責任を自覚し、どんな面白さを表現するべきなのかを真面目に考えるようになった、という経験があります。

はっきり言っておきますが、この一件に関してゲストの友人は何も悪くなく、反省すべきはイベントの主催者としての自分の考えの浅はかさです。
なので、今回のチェ・ジバラ騒動は他人事とは思えないんですよね。

僕のトークイベントは観客もネットの視聴者も少なかったから炎上どころか話題にすらなりませんでしたが、もし僕にもっと知名度があったらどうなっていたか分からないと思うんです。
だから「面白ければ何をやっていい」わけでは決してないと今では思っているし、見る人を不快にしないため、関わった人達に迷惑をかけないための、最低限の意識は持っていないといけないよなと今では思っています。

とはいえ、何かを表現するという行為は、そういう失敗も含めた様々な経験を重ねないと、成長もできないしいいものを生み出せすこともできない、とも思うのです。
実際、僕の活動って全部が試行錯誤をしながらの実験的なものだし、これ以外にもたくさんの失敗や反省があるし、でもその体験から得たものは本当にたくさんあり、それが今の自分に繋がっています。

だから、何もかも規制するのではなく、表現者は失敗をした時にしっかり反省してその後に活かしていくこと、そして、周りは批判しつつもそういう反省とやり直しの可能性を潰さずに落ち着いて見守ることが大切なのかなと思います。
だから自分も、何事も失敗したら素直に反省できる人間でありたい、そして誰かの失敗を過剰に叩いたりしない人間でありたいと思います(だから、「チェ・ジバラ」も過剰にバッシングするのではなく、もっといい番組を作ってくれる日を落ち着いて待とうと思います)。



それともう一つ思ったことは、「誰でも楽しめる、誰も傷付けない普遍的な笑いの難しさ」ということです。
お笑いも一つの表現である以上、芸人さん(ササダンゴさんはプロレスラーだけど)が新しい表現に挑戦するのは当然だと思うし、僕はお笑い芸人ではないですが過去にはコメディ演劇もやっていたし、今でも一応表現者の端くれではあると思うので、気持ちは理解できるんです。

だからと言って、攻めすぎた過激な笑いをすれば時に人を拒絶し、場合によっては人を傷付けてしまう。
逆に万人受けする無難な笑いを狙いすぎて、面白くなくなってしまっては元も子もない。

ちょっと話はそれますが、最近、「前提となる情報や感覚を共有してないから笑いが分からない」という体験が増えたなと思います。
例えば問題の「チェ・ジバラ」の飲酒放送も、「お正月に飲酒して宴会する」という習慣がまったくない自分には全然ぴんとこない内容だったのですが、でもSNSでは「面白かった」という感想が散見されたので、やっぱり笑いはそもそも人を選ぶ文化なのかもしれません。

「分かる人のツボ」をピンポイントで突くような笑いは、分かる人にはたまらなく面白い一方で、僕みたいな「その笑いの意味が分からない人間」には何も伝わらないこともある。
個人的には、最近バラエティ番組が、普段からバラエティ番組を見ている視聴者(例えばM-1や紅白やオリンピックはマスト)、を前提としたネタが増えた気がしていて、普段からバラエティを見ない自分がたまに見ても面白さが分からないネタが多く、ますます見なくなっていくわけです。

お笑いが、「普段からお笑いを見る人」ばかりを前提としたネタばかりになり、見る人と見ない人、分かる人と分からない人の差が広がっていく、それはちょっと寂しいと思ってしまう自分がいます。
新しい面白さに挑戦し、同時に誰もが楽しめる普遍性もある、そんなちょうどいい笑いが理想だと僕は思うのですが、それは難しいのでしょうか。

ところで、僕は昨日1/8(土)に、活弁を観てきたのですが…
辻凪子さん&大森くみこさん出演!活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行」を観てきました!

これが本当に心の底から面白くて、客席では大人も子供も大爆笑していて、活弁ってこんなに面白いものだったのか!と心から感動する、という体験がありました。
また、100年以上も前の映画でも、今見ても本当に面白いので、こういう時代を超越した普遍的な面白さってあるんだなあと、それも感動しました。

また、今日1/9(日)には普段から好きで聞いているラジオ「あ、安部礼司」のオンライン特別企画「ABETube」を見ていたのですが、そこで配信された生ラジオドラマがめちゃくちゃ面白かったんですよね。
普通の毎日を大切にしようという「あ、安部礼司」らしいストーリーも良かったのに加え、映像配信だからこその朗読劇的な演出も凝っていて、何より役者さん達が勢揃いしてみんなで面白い番組を頑張って作ってる姿に本当に感動したんです。

そう考えてみると、「誰も傷付けない普遍的な笑い」は難しいのかもしれないけれど、現にこうやって実現させている人達がいるわけで、決して不可能ではないよなと思うんです。
例えば、伝統芸能である落語や狂言、テレビのドリフのコントや吉本新喜劇、子供も大人も楽しめるアニメや特撮など、普遍的な面白さを表現している文化は実際あるわけで、それは本当に凄いことだと思うし、そういうものが長年愛されるのも納得できるなあと思うのです。

で、やっぱり自分はそういう面白さの方が好きだし、自分がイベントを開催する時も、難しいとしてもそういう特定の狭い界隈ではなく幅広い人に楽しんでもらえるような普遍的な面白さを追求していきたいです。
例えば昨年、元毒殺テロリストのイチロウさんが始めた「ロクスタ.ためになる話」という、音楽を中心したエンターテインメント業界で活躍してきた人達おゲストに招いたトークライブは、どんなにマニアックな話題も決して内輪受けにならず、そのゲストの人を知らない人が見てもちゃんと面白いしためになる内容になっていて、同じトークイベントの主催者として、すごく勉強になったし、こういう面白さを目指したいなあと思いました。





というわけで、今年も「月刊おはなし図鑑」をますます面白いトークイベントに出来るように頑張っていきたいです!
今年最初の回は、1/15(土)に出来心のオダニハジメさんをゲストに行うので、遊びに来てください!(最後は宣伝!)

詳しくはブログに。
【お知らせ】トークイベント「月刊おはなし図鑑」第37回 ゲストは出来心のオダニハジメさん(01/15(土) 19:00、ぺがさす荘にて、10名以内、予約制)



ところで、この土日で僕は、年末年始に録画した番組や、見逃した番組を配信を使って見まくって過ごしていました(「アーヤと魔女」「魔女見習いをさがして」「ワルイコあつまれ」「ギョギョッとサカナ☆スター」「土方のスマホ」「幕末相棒伝」などなど、どれも面白かったです!)。
そんな感じで、とにかくここ最近はいい作品をインプットばかりしているのですが、そろそろちゃんとアウトプットもしたいところですね…

というか、今年の目標は毎日創作活動を続けることだったのに、全然してないじゃないか…!!
でも、自分の創作活動について真面目に考えて気持ちをこうしてブログにまとめたので、今回はこれでよしとします!!





そんな感じの日曜日でしたが、今週も無事に日曜日のカレーを食べることが出来ました!
これからも頑張っていきましょう!
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