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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

韓国のキム・ギドク監督が描く東日本大震災。シネ・ウインドで『STOP』観て来ました!

2018-03-22 13:18:37 | Weblog
書き残していた映画の感想をまとめて書いていきます。





まずはこちら、3/13(火)にシネ・ウインドで観て来た『STOP』。





予告編はこんな感じです。



韓国の鬼才と言われるキム・キドク監督が、日本の東日本大震災での原発事故を描いた映画です。
韓国の監督の映画ですが、日本で撮影され、日本の俳優さんたちが日本語で出演しています。

物語は、福島の原発の近くに住んでいたある夫婦が、東日本大震災を体験するというシーンからいきなり始まります。
震災に襲われるや否や、政府の機関と思われる謎の組織が夫婦のもとを訪れ、原発事故による放射能汚染があるので問答無用で退去を余儀なくされることに。

映画の開始数分で間髪を入れずにここまで一気に描かれるのは、さすがに映画だからこその急展開だとは思いますが、実際に被災された方が感じた混乱や理不尽さを表現しているのだと思いました。
あの時代、実際にどういう被害が起こっているのか、どうすればいいのかを一つ一つちゃんと説明されたり理解する間もなく被害に襲われたり、退避区域圏内に住んでいた方は退去を余儀なくされたり、そういうことが起こっていたんだと思うので、その混乱を映画的に表現しているのかなと思いました。

その後、夫婦は東京に引っ越すものの、出産が近付くにつれて妻の不安が大きくなっていくのを、夫は励ますという生活を送ります。
そんな中、またしても二人のもとを謎の組織が何度も訪れ、妊娠中の妻から奇形児が産まれるから中絶を迫ってくるのです。

最初は、夫は「謎奇形児が生まれるわけないだろ!」とあくまで謎の組織に抵抗し、妻の出産を促します。
そして、夫は妻を安心させるために、被災地の福島へ旅立ち、きれいな自然の撮って来ようとするのであったが…

立ち入り禁止の柵を乗り越え被災地の放射能汚染区域に入り込んだ夫が見たものは、廃墟の中で苦しむ妊婦を発見!しかも奇形児を出産するところを目撃してしまうのだ!
あまりにショッキングな光景を目にしてしまった夫は逃げるように東京に帰り、人が変わってしまったかのように妻に暴力を振るったり、妻を縛り上げたりしてしまうのであった…

さらに夫は「この原発事故が起こったのは東京の人間が電気を使い過ぎたせいだ!」と極端な思想を持つようになり、東京の街中で「電気を消せ!」と叫んだりと行動もエスカレート。
さらに、同じ考えの持ち主と出会い、なんと東京への送電線を破壊してしまおうという過激な行動に出るのであったが…

いや、確かにこの映画で描かれているのはあくまでフィクション、現実では有り得ない物語です。
しかし、東日本大震災が起こった直後に政府にしろ東電にしろTwitterにしろ何にしろ、何を信じればいいのか分からなかったあの時代の混乱をつい7年前に経験した身からすると、あながちただの非現実的な物語とも思えないという、あの時代の雰囲気を如実に表していた映画だったと思います。
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