
8月29日(木)から9月1日(日)にかけて、新潟大学に演劇大学という催し物がありました。
これは、プロの劇作家、演出家、俳優、評論家の方々を新潟大学にお招きして、様々な講座・ワークショップなどを行うものでした。
全国的に開催されているらしいですが、新潟での開催は初めてということ。
企画していただいた皆様、ありがとうございました!
僕は9月29、30日の二日間だけ参加してきました。
最初に受講したのは、演劇評論家の村井健さんの講座「日本と演劇のロシアの歴史」
世界の演劇の中心とも言うべきロシアと、日本の演劇との関わりとは?
今まで触れたこともない分野であったので興味がありました。
講座では、江戸末期から現代にかけて、ロシアの演劇と出会った日本人の活動を、順番に紹介していく村井さん。
ロシアで演劇を学んだり、現地で劇団を立ち上げるなど精力的に活動をしていた日本人がこんなにいたことを初めて知りました。
というのも、村井さん曰く、ロシアは世界の演劇の中心的存在であり、世界的な演劇人はロシアに留学しているとのこと。
演劇人でありながら、全然演劇について勉強していない俺にとって、大きな発見でした。
しかし、講義を受けながら、どうしても疑問に思ってしまうことがありました。
それは、こんなにロシアの演劇と関わって来た日本人が何人もいるのに、どうしてその関係が全然知られていないのだろうか?ということ。
ロシアが世界の演劇の中心地であるなら、もっと知られていてもいいのでは?
俺が演劇について全然勉強してないから知らないってだけなのかな?
そんな風に思ってしまったんですが、どうやらそれにはちゃんとした理由があるようです。
それは、村井さんが言うには「日本の演劇は世界から遅れている!」ということ。
その代表的な例が、ロシアのスタニスラフスキーという人が作り出した「スタニスラフスキー・システム」というもの。
スタニスラフスキー・システムは世界で演劇を志す者の基礎となっているが、日本ではこれが驚くほど普及していないという話です。
例えば海外では、スタニスラフスキー・システムは体系化され、演劇を学ぶ者の指針となっているそうです。
そのため、ヨーロッパでもアメリカでも中国でも韓国でも、演劇を学ぶものは全て大学へ行き、学問として演劇を学ぶらしいんですね。
日本で公務員になるように、大学で演劇教育を学んだ者の中で、大きな劇場の支配人と特別な契約を結んだものだけが舞台に立てるとのこと。
つまり、海外では、演劇は学問の一つとして成立しており、役者は選ばれた能力のある人間だけがなれる職業なんですね。
しかし、日本にはこのような体系的な演劇教育というものが存在せず、それが日本の演劇が世界に遅れを取る原因となっているとのこと。
日本の文化・教育に対する国の取り組み方のの弱さをうかがい知ることが出来る、と村井さんはおっしゃっていました。
またこれは、そもそも日本の演劇人口の少なさが原因であるということも出来ます。
演劇人口が少ないため、誰でもなろうと思えば舞台に立てます。
そして、体系的な演劇教育がない分、それぞれの劇団が独自の演劇論を持っているんですね。
ここでもし、一人の劇団員がロシアに留学して得た知識を劇団に持ち込もうとしても、異物扱いされるのではないか?
そしてこれは、組織に従うという、日本の会社のルールと全く同じではないか?
つまり、日本特有の閉鎖性が、文化の広がりの妨げになっているのではないか?とも村井さんはおっしゃっていました。
「日本とロシアの演劇の関わり」を学んでいたと思ったら、結果的に「日本とロシアの演劇の関わりの薄さ」を知ってしまったじゃないか!
村井さんの講義を受ければ受けるほど、日本の演劇の弱さばかりが見えてきてしまったじゃないか…
嗚呼、このままでは日本の演劇の未来は暗いのか…
その時、村井さんが突然語り出した!
村井さん「日本の閉鎖性、文化に対する国の取り組みは、日本は世界に比べて非常に遅れています。
じゃあ、そのために何が出来るのか!?」
突然声が大きくなる村井さん。
村井さん「自分の人生の中で、自分の生きる役割は何なのか、それを知らずに死んでいく人は、全体の9割です。じゃあまずは、自分にどんな役割があるかを考えてみればいいんじゃないか!」
な、なんか村井さん突然すげーいいこと言い始めたーーーー!!
村井さん「プロの役者を目指すも良し!ロシアに留学して演劇を学んで日本に伝えるのも良し!そうじゃなくても、地元で面白い演劇を地道に作り続けるのだっていいんです!道なんかいくらでもあります!」
村井さん、突然の熱血展開だ!!
村井さん「じゃあ自分はどうやって演劇と関わるのか?自分に出来ることは何なのか?自分にはどんな役割があるのか?それを探して行こうよ!」

ウォーーーーーーーー!!
(懐かしい写真使って見ました)

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(最近の写真使って見ました)

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(みんなの写真使って見ました)

ウォーーーーーーーー!!
(友情出演・坂田坂田(劇団カタコンベ))
という訳で、日本の演劇の現実を突き付けられた後で、最終的に村井さんに背中を押していただく結果になりました。
そう、演劇評論家の村井さんは、講師としても物凄いやり手であったのだ…
ありがとうございました!
