舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「ベルヴィル・ランデブー」観てきました。

2021-12-15 23:30:16 | Weblog




シネ・ウインドで「ベルヴィル・ランデブー」を観てきました。

ツール・ド・フランスの試合中にマフィアに誘拐されてしまった孫を救出すべく、おばあちゃんは大海原を自力で越えて大都会ベルヴィルへ。
台詞はほぼなく、極度にデフォルメされたキャラクターとアクション、スウィングジャズの音楽が鳴り響き、ブラックユーモアも満載でシュールな雰囲気ですが、心温まるアニメでした。

冒頭、とあるスウィングジャズのライブの場面から始まるのですが、極度にデフォルメしたアニメ表現がもはやドラッギーとも言えるほど炸裂し、またとにかくドギツいブラックユーモアが満載で、とにかく「何じゃこりゃ?」といきなり驚かされる。
…と思ったら、それは、幼いシャンピオンと、そのおばあちゃんが二人で見ているテレビの中の映像。

おばあちゃんとシャンピオンは二人暮らしで、おばあちゃんが無口なシャンピオンのために自転車を買ってあげると彼は大喜び。
場面が変わると時が経ち、大人になっても相変わらず無口なまま、自転車選手になったシャンピオンを、おばあちゃんがコーチとして支えています。

この場面も、自転車を漕ぐというアクションのアニメ的なデフォルメの仕方も、おばあちゃんの練習後の孫の支え方の一つ一つも、とにかくユーモア満載でぶっ飛んでいます。
とはいえ、子供時代から大人になるまでずっと、自転車好きな孫を支え続けてきたおばあちゃんが、練習でも試合でもよきコーチとして頑張る姿が微笑ましい。

が、シャンピオンはツール・ド・フランス中に、突然マフィアに誘拐されてしまう。
ここでのマフィアのデフォルメ表現もすごいです。

誘拐された孫を追っておばあちゃんは、まさかの方法で命懸けで大海原を超えて大都会ベルヴィルへ辿り着く。
ここでも、大海原のアニメ表現の迫力が凄かったです。

全体的に台詞が少ないですが、言葉より行動!と言わんばかりにどこまでも孫を探し続けるおばあちゃんからは必死さが伝わってきます。
ピンチの時もアイディアで切り抜けていくおばあちゃんの行動力が凄まじい。

しかし、ベルヴィルの街で途方に暮れていたおばあちゃんを、3人組の魔女のような女性が助けてくれるのですが、実はこれが、冒頭に登場したテレビの中で歌っていた、3人組の歌手なのです。
そういう意味での伏線回収もしっかりあるし、おばあちゃんと3人組の出会いの場面では、しっかり音楽が重要な鍵として登場し、一瞬で「ああ、あの時のジャズのテレビの3人組か!」と分かる。

そして、3人はおばあちゃんを助けてくれるわけですが、何しろ魔女なのでキャラが濃い。
何より登場する小ネタの一つ一つとにかく毒が強いのですが、でも3人の行動の一つ一つにユーモアが満載で惹き付けられました。

特に、ノリで3人組とおばあちゃんが、4人で一緒にライブに出てしてしまう場面の「それを楽器に!?」という展開も本当に面白くて、本当に引き込まれました。
なんていうか、おばあちゃんの行動力と、3人組のユーモラスなところが、見ていてポジティブな気持ちにさせられるので、孫がマフィアに誘拐されるという深刻な事態にもかかわらず、きっと大丈夫、という前向きさが映画全体に満ちている。

一方、シャンピオンはマフィアから、まさかの利用のされ方をしてしまっているのですが、それがまさに金持ちの道楽のために搾取されているという感じで、金持ちへのブラックでドギツイ風刺が効いていたと思いました。
もしかしたら、この表現は実写でやったら残酷すぎて見るに堪えないものになるかもしれないのですが、アニメだからこそブラックな「ギャグ」として表現できたものかもしれません。

で、そこからの、おばあちゃん達のシャンピオン救出劇はまさかの超展開の連続で、最終的にマッドマックスのようなカーチェイスまで発生、どういう頭していたら思い付くんだ!?ってアイディア満載のテンポのいいアクションにどんどん引き込まれました。
ただ、終わり方がちょっとしんみりするというか、最後まで見ると、この映画が監督がおそらく家族への愛を込めて作ったんだなと伝わるラストになっていて、切なくも温かい余韻が残る映画でした。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ちひろdeアート2021」チラ... | トップ | 6studio.「ロクスタ.ためにな... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事