nemo 折々の自然

折に触れて観察した自然などの記録

霧多布・野付半島

2010-07-17 00:00:00 | 探鳥記
 ワイバード主催の『エトピリカを求めて ! 歯舞・色丹沖クルーズ』のツアーに参加しました。
 私はBコースで、7月16日から20日の日程でしたが、Aコースは14日から大洗発、Cコースは17日から、そして根室発着コースと四つのコースに
 分かれてのクルーズ参加となっていました。

7月16日(金)東京 : 晴、釧路 : 晴後霧

 羽田空港に集まったのは9名、明日からの連休とあってか、フライトは満席。
 釧路空港では大阪からの参加者8名、そして大洗からの参加者19名が一緒になり、宮島、石田、金原各氏のバード・ガイド(BG)とともに、今
 日の宿『釧路プリンスホテル』へ向かう。
 爽やかな空気に包まれた緑の大地の景観が、東京での蒸し暑さを忘れさせてくれます。

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 空港では晴れていましたが、釧路市内に近づくにしたがって霧が濃くなってきました。
 ホテルに落着いた後、夕食までの時間に釧路川畔まで散歩することにしました。
 『幣舞橋』での夕景が有名なので期待しましたが、残念ながら霧が濃く見ることができませんでした。

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 14.20.羽田空港(ANA743便) → 15.55.釧路空港16.25.(バス) → 17.00.釧路プリンスホテル 

7月17日(土)朝晩 : 霧、日中 : 晴

 今日から探鳥が始まり,先ず『霧多布』へ向かいました。
 途中の湿原で[タンチョウ]2羽を車窓から見ることができました。多分子育て中なのですが、雛は草陰にいるようで、見ることができませんで
 した。
 『厚岸道の駅』でトイレ休憩。私は初めての場所でしたが,厚岸湾を見下ろす高台にあり,展望に恵まれた場所にありました。
     
Img_1245_3【厚岸道立自然公園】
 北海道東部の玄関都市である釧路市の東、釧路町東部の太平洋沿岸部から厚岸町、別寒辺牛川河口
 部・厚岸湖を経て浜中町霧多布へかけての、沿岸に沿って発達する海岸段丘、海食崖、湖沼、湿原
 など、変化の多い地形に恵まれた自然公園です。
 本地域の気候は、夏季は海流の影響で海霧が発生しやすい一方、冬季は、雪が少なく晴天の日が多
 くなります。また、年間を通して気温は低めで、日本でも最も冷涼な気象条件となっています。
 高緯度で冷涼な気候の本地域では、本州では山の上でしか見られない高山植物を海岸草原や湿原で
 手軽に見ることができます。
 本公園は、1955年(昭和30年)に当時の制度である道立公園として指定されたのが自然公園としての
 始まりです。公園の区域は、釧路町、厚岸町、浜中町の3町にまたがって東西に長く広がり、総面
 積は約21,000haです。
 森林、海岸草原、湿原、湖沼等変化に富んだ自然に恵まれている本地域では、ダケカンバ、トドマツ等の針広混交林、ヒオウギアヤメ・センダイ
 ハギ等の海岸性の植物、エゾカンゾウ・ツルコケモモ等の湿原性の植物などの様々な植生が見られます。
 また、多彩な環境に、森林性・草原性の鳥、オオハクチョウをはじめとしたガン・カモ類等の水鳥、タンチョウ、オオワシ・オジロワシ・エトピ
 リカ等の希少鳥類等も分布しており、1年を通して実に様々な野鳥を観察することができます。          【北海道庁資料より】
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 バスは霧多布の街を抜け,『アゼチ岬』へ行くため、高台へ登り始めましたが,霧が次第に濃くなりつつあり、果たして「エトピリカ」がいると
 される小島が見えるのかと気がかりでした。
 台地に上がったところにある『霧多布温泉』でトイレ休憩の後,岬の駐車場に到着。
     *
 バスを降りると、台地状の草原から野鳥の囀りが聞こえてきます。[オオカサモチ]の花の上で鳴いている[オオジュリン](写真は同行のA氏
 撮影)、[シマセンニュウ]などが見られました。
 その先の小島が見える岬の先端へ行くと,島の上部は霧に隠れています。海上にあるエトピリカのデコイ付近を探しますが,残念ながら今日は見
 当たりません。
 東京で現地の情報を確認したところ、観察したとの記録があったので,期待していたのですが……。
 石田BG が[ケイマフリ]を見つけてくれたのが、せめてもの慰めとなりました。
 そのうちに霧が海上にも立ちこめて,何も見えなくなってしまいました。
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  [オオジュリン]       [シマセンニュウ]        [ケイマフリ]

【アゼチの岬・霧多布岬】
 霧多布半島の東の端は「霧多布岬」。そして西の端にはここ「アゼチの岬」があります。
 アゼチの岬はビワセ湾に突き出た岬で、小島・ゴメ島・嶮暮帰島を望め、遥かにビワセ湾、浜中湾の海岸線を見渡すことができ、真夏の落日は素
 晴らしいものです。
 アゼチの岬の先から望む小島には、浜中町の鳥[エトピリカ]が営巣します。
 また、かっては霧多布岬から見るゴメ島にも多くの[エトピリカ]が営巣していました。浜中町にはこのような海鳥の聖地となる小さな島、岩が 多く、そのため多くの海鳥が生息しています。
 またアゼチの岬では、昆布盛漁期の晴天の日に一斉に出漁する様子は壮観で互いに競うように轟音を響かせて舟を走らせる様は、海の男の豪快さ
 を感じさせます。                                        【浜中町観光協会】資料より
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 その霧が立ちこめるころに[オジロワシ]が上空を飛翔。やはり風格がありますね。
 [オオセグロカモメ]や[ショウドウツバメ]が多く見られましたが、かってこの場所で見たノビタキやノゴマは確認できませんでした。夏鳥の
 数も種類も少なくなってしまったのでしょうか?

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   [オジロワシ]        [ショウドウツバメ]
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 草花では[エゾカンゾウ]や[ハマフウロ]、それに[オオカサモチ]が目に付きました。

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   [エゾカンゾウ]        [ハマフウロ]        [オオカサモチ] 
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 次いで『霧多布岬』へ。こちらでも海上は霧に閉ざされていました。
 海岸近くの空き地では、今最盛期の昆布干しが各所で見られました。

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 こちらの草原には[ヒバリ]や[カワラヒワ]が観察され,種々な草花が咲き競っていました。

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 岬の真下にある岩礁に[オオセグロカモメ]の雛が何羽か見られました。

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 ここで昼食の時間となり、バスは浜中町の茶内駐車場にある公園に移動して,お弁当となりました。
 この食事中,前方の電線に[ノビタキ]が止まり,ようやく見ることができました。
 さらに上空に[オジロワシ]が飛来、近くの樹に[ハシブトガラ]が動き回っていました。
     
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                          [ノビタキ]     [ハシブトガラ]
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 午後はCコースと合流するため,『野付半島』に向かいました。
 この頃から青空が広がり,眩しいほどの陽光が照りつけてきました。
 バスが『野付半島』に入ると,左手に根室海峡と雲に見え隠れしている国後島,右手に『野付湾』を眺めながら『フラワーロード』を進んで行き
 ます。両側の草原には[ハマナス]や[ヒオウギアヤメ]などが見られます。
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【野付湾】 
 総面積4,800haの、野付半島との間に挟まれた非常に浅い湾で、底には[アマモ]が繁茂しており、白い帆を一杯に広げ、湾内に浮かぶ[ホッカイ
 シマエビ]漁の打瀬船は、初夏の風物詩となっています。
 2005年(平成17年)には、『野付半島・野付湾』の地域が、ラムサール条約に登録されました。
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 やがて合流場所である【野付半島ネイチャーセンター】の駐車場に到着。
 ここでCコースの方々の到着を待つことになりました。
 ネイチャーセンターから見る野付湾には、早くも数羽の[キアシシギ]や[メダイチドリ]の姿が見え、秋の渡りが始まっていることを教えられ
 ました。

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【野付半島地区】
 【野付風蓮道立自然公園】のうち、標津町茶志骨から野付崎に至る延長約26kmの日本最大の規模を持つ鉤状の分岐砂嘴で形成された野付半島と  それに抱かれる野付湾からなり、景観の特徴として、海と陸とが一体となって、水平的で広大な景観を創出しています。
 野付湾側のなだらかな斜面や『トドワラ駐車場』より先の砂丘列の上は、北海道の海岸景観を特徴づける原生花園が広がり、春から秋まで色とり
 どりの花が目を楽しませてくれます。
 また、野付湾内側の海と接するあたりは、満潮時には海水が入り込む砂泥質の塩湿地が広がっており、[シバナ][ヒメウオシゲ][アッケシソ
 ウ]などが生育しています。
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 Cコースのバスとともに野付半島の先端近くにある駐車場へ移動し,そこから今来た道を戻りながら原生花園を探鳥することになりました。
 
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 先ず驚かされたのは,[ヒオウギアヤメ]の大群落でした。目の前見渡す限りの紫の花に圧倒されました。
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 ここでも[オオジュリン]と[シマセンニュウ]が目立ちましたが、その他[ベニマシコ]や[ノゴマ]などが我々を喜ばしてくれました。
 野付湾の浅瀬には[トウネン][キョウジョシギ][ハマシギ]などの数が次第に増えてきて、時折それらが集団で飛翔する姿も見ることができ
 ました。秋の渡りが本格化しつつあるようです。
 また、[アカアシシギ]が2羽飛来して近くの杭の上に止まったので、カメラの一斉放射を浴びていました。
 [オオジュリン]の巣立ち雛が、小さな灌木の枝に頼りなさげに止まっている可憐な姿も見ることができました。

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    [ノゴマ]          [アカアシシギ]        [ベニマシコ]
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【トドワラ・ナラワラ】
 野付半島の曲がり目の所、森林が繁茂した「オンニクル」という所があり、トドマツやミズナラの大木が森林をつくっていますが、地盤の沈下に より海水が入り込み、塩湿地と接している所では、すっかり枯れてしまった木々が並んでいます。
 [ナラワラ]はミズナラの、[トドワラ]はトドマツの枯れた木々の立ち並ぶ所です。
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 かくして今日の探鳥を終え,バスは根室へと向かいました。
 途中,車窓左手にかって何度が来たことがある『春国岱』が見えてくると、[タンチョウ]2羽を確認。
 その先の『道の駅・スワン44ねむろ』でトイレ休憩する頃から,再び霧が出てきました。

Img_1270【野付風蓮道立自然公園】
 北海道東端の根室海峡側の根室市と別海町、標津町にまたがって広がる、面積11,692haの自然公園
 で、1962年(昭和37年)に指定されました。
 日本を代表する砂嘴の野付半島、広大な海跡湖である風蓮湖、温根沼、長節湖を中心として,砂丘
 およびそれらを取り巻く森林や湿原など、広大で、水平的な北海道らしい荒涼とした北方型景観が
 特色です。
 本公園は野付半島地区と風蓮地区の2つに分けられます。



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 霧で薄暗くなった『根室グランドホテル』に到着。
 夕食の際,明日からのクルージングにアドバイザーとして乗船される、海鳥研究の権威である北海道大学水産学部の小城春雄名誉教授の紹介とご
 挨拶がある。
 食事は名物の[花咲ガニ]が一杯の他、魚中心の料理に満足する。
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 夕食後、明日からの船中での軽食を用意するため,ホテルの近くにあるコンビニでパンや果物などを調達。

 8.00.ホテル発(バス)→ 8.55.厚岸道の駅9.10. → 10.00.霧多布温泉10.10. → 10.20.アゼチ岬11.05. → 11.20.霧多布岬11.45. → 12.05.
 茶内駐車場(昼食)12.45. → 14.20.野付半島ネイチャーセンター14.45. → 14.50.野付崎(探鳥) … 16.15. → 17.50.道の駅・スワン44ねむろ
  18.00. → 18.30. 根室グランドホテル 泊




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1 コメント

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楽しみにしていた旅行記がアップされ、いろいろ学... (Ama)
2010-07-26 13:28:15
楽しみにしていた旅行記がアップされ、いろいろ学びながら追体験しています。ただキョロキョロ歩いていただけで、何も知りませんでしたから。
クルーズの部がまた楽しみです。
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