上の写真=受賞したメトロコマース支部組合員に花束が贈られました
東京東部労組メトロコマース支部が第29回多田謡子反権力人権賞を受賞!
人権を守る活動に尽力した団体や個人を表彰している多田謡子反権力人権賞の第29回受賞者の一つに非正規労働者への差別をなくすために闘っている全国一般東京東部労組メトロコマース支部が選ばれ、2017年12月16日に東京・連合会館で開かれた受賞発表式に同支部組合員4人が出席し、「尊厳を取り戻す闘いをこれからも進めていきたい」と今後も闘う決意を語りました。
発表式で登壇した4人は、2009年の組合結成からストライキや座り込みなどさまざまな闘いを振り返りつつ、「あきらめずに闘ってきて良かった」と受賞に感激した気持ちを述べました。支援者からはお祝いの花束が贈呈されました。
彼女たちは、これまでの自分の人生でいかに「表彰」から縁遠かったかを口々に語りました。同じ東京メトロ駅売店で働く正社員は永年勤続や定年時に感謝状が会社から贈られますが、彼女たち非正規労働者には何もありません。組合員が定年退職した時にも、正社員には支給される退職金は1円ももらえず、ねぎらいの言葉も花の一輪すらもありませんでした。
それが理不尽な非正規差別と闘うことで表彰を受けたのです。とくに同支部が起こした非正規差別なくせ裁判は東京地裁で今年3月に不当判決が出ました(現在、東京高裁で係争中)。勝った闘いではなく、いっとき「負け」てもなお不屈に闘い続ける彼女たちの姿勢がたたえられました。
同支部とともに受賞したのは、在日中国人2世としての民族意識を原点に平和・人権のために闘ってきた徐翆珍(じょ・すいちん)さんと、沖縄で反基地闘争を長年続けている伊波義安さんです。
徐さんは、1971年に働いていた私立保育園が大阪市に移管されることに伴い国籍条項を理由に解雇されたが、闘って撤回させたことを振り返り、「保育園にいる被差別や在日朝鮮人の子どもたちが差別に向き合う力をつけてほしかった。それが闘いのエネルギーだった」と語りました。
さらにヘイトスピーチや憲法改悪の動きについて、「旧植民地の在日外国人に対する差別が民衆レベルで高まっている。日本の戦後処理のあり方が問われている。自分には選挙権も国民投票権もないが、それでも多くの犠牲の上にできた憲法は日本人だけのものではない」と話しました。
伊波さんは、沖縄に米軍基地が集中している現状を踏まえ、「平和憲法が適用され、核も基地もない平和な島を望んで沖縄は日本復帰したが、憲法よりも日米安保条約が優先され、平和と人権が阻害されている」と訴えました。
現在、政府が進めている辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設がいかに貴重な自然を破壊するか、いかに米軍基地の機能が強化されるかを指摘しました。基地反対運動を進める民衆への権力弾圧を批判し、「平和を脅かし、自然を壊すものには全力で闘う。自然が豊かで基地のない平和な島を次世代に継承していくのは今に生きる私たちの責務だ」と話しました。
発表会後は受賞者を囲むパーティが開かれ、それぞれの闘いをたたえ合いました。
多田謡子さんは、弁護士として権力と闘う人たちを支援してきましたが、1986年12月18日に29歳の若さで亡くなりました。同賞は、多田さんの遺志を継いだ仲間が基金を運営し、多田さんが生きていたらきっと支援したであろう団体や個人を命日近くの毎年12月に表彰しています。東部労組では1991年の第3回に、障害者差別と闘う大久保製壜支部も受賞しました。
下の写真=第29回多田謡子反権力人権賞を受賞した人たち
下の写真=多田謡子さん
動画<多田謡子反権力人権賞受賞発表会 >