「偽装フレックスタイム」に注意!
「フレックスタイム制」に関し、メールで次のようなご質問をいただきました。
質問:
「最近は不景気で残業が原則として禁止されているので、会社側が『フレックスタイムでの対応をお願いします』とのことでしたが、会社側が意味をはき違えているのではと思われますので、質問させていただきます」
「就業時間が8時~17時です。フレックスタイムでの対応とお願いされましたが、個人では出社時間が決めれなく、会社側が勝手に出社時間を決めてくるので困っています」
「来週からは週1で会社側から12時~21時の出社を頼まれたのですが、これはフレックスというよりシフトだと思うのですがどうでしょうか?」
「21時までの労働の次の日は通常の8時出社と、また会社で決められてしまうので身体がもちません」
回答:
いわゆる「フレックスタイム制」ですが、その法的根拠は「労働基準法第32条の3」。
その導入の要件は、
① 労働時間の始業時刻(出社時間)と終業時刻(退社時間)を労働者が自由に決定できることが、就業規則等で定められている。
② 適用になる労働者の範囲、1か月以内の清算期間(残業時間を計算する際に基準となる期間)、その期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間などを、労働協約または労使協定で定めている。
とされています。
したがって、ご指摘のとおりあなたご自身出退勤時刻に決定権がなく、会社が一方的に始業時刻と終業時刻を押し付けてくるような労働時間の管理システムは、「フレックスタイム制」とは言いません。「シフト制」あるいは「1箇月単位の変形労働時間制」ということになりましょう。
「フレックスタイム制」の名のもと、残業時間を巧みに端折ってみたり、結果として長時間労働を強制することにより労働者の生活リズムをかく乱させている会社が後を絶ちません。「労働時間短縮」「労働者のワークライフバランス確保」の“申し子”として活用されるべきスキームが、いつの間にか「偽装利用」されている。こうした実態が、労働相談センターに寄せられる働く皆さんの悲痛な叫びで次々と暴露されています。
働く仲間の皆さん!労働組合をつくって、会社による「偽装フレックスタイム」を許さず、適正な運用を確保していきましょう!