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「過労死をなくそう!龍基金」第5回中島富雄賞授賞式が開催

2011年08月08日 11時13分43秒 | 過労死・労災

(上の写真=中島代表から表彰状を授与される吹上了さんと隆子さん)

「過労死をなくそう!龍基金」第5回中島富雄賞授賞式に128人が参加
過労死企業「大庄」経営陣の責任を認めさせた遺族の吹上夫妻を表彰

「過労死をなくそう!龍基金」は8月7日、第5回中島富雄賞授賞式を東京・葛飾で開催し、長男の過労死を受けて大手企業トップの賠償責任を初めて認めさせた父親の吹上了(さとる)さんと母親の隆子さんを今年の中島賞として表彰しました。中島賞の選考委員で評論家の佐高信さんの記念講演もあり、128人の参加で会場は満員となりました。


(上の写真=立ち見が出るほど盛況だった授賞式)

冒頭で、いずれもファミリーレストラン「すかいらーく」で過労死した中島晴香代表の夫・富雄さんと前澤笑美子副代表の長男・隆之さんに参加者全員で黙とうを捧げました。

中島代表は「夫が亡くなって7年たっても時は止まったまま。最後に夫が言った『ありがとう』が忘れられない。手の温もりや笑顔が忘れられない。時が解決してくれると言うが、私はまだ立ち直れないでいる。こんな悲しい思いにさせる過労死をなくしていきたい」とあいさつ。前澤副代表は「私たちの小さな一歩が過労死根絶への未来の一歩につながる」と訴えました。

龍基金の経過報告として、全国一般東京東部労組に入って夫の過労自殺の労災認定を求めている遺族が登壇。29歳の若さで自殺に追い込まれた夫の遺書を読み上げ、会社社長によるパワーハラスメントや長時間労働を告発しました。龍基金とともに08年に夫の過労労災の解決を果たした橋美智代さんも家族とともに参加し、長時間労働をなくすことを呼びかけました。

選考委員で過労死弁護団事務局長の玉木一成弁護士が、今年の受賞者として吹上夫妻を発表し、選出に至った理由を説明しました。吹上夫妻の長男元康さんは大卒後、07年4月に東証一部上場の株式会社「大庄」に就職。大庄が展開している居酒屋チェーン「日本海庄や」で働いていましたが、入社して4ヶ月後に過労死で亡くなりました。

大庄は初任給を19万4500円と設定しながら、そこには月80時間の残業が組み込まれていました。残業させるための労使協定である36協定も特別条項として月100時間もの残業を定めていました。吹上夫妻は当初大庄のみを裁判で訴えていましたが、過労死の原因は社長をはじめ経営陣がつくりだした労務管理体制にあると考え、会社法に基づいて社長ら4人を追加提訴しました。

その結果、京都地裁で勝訴、大阪高裁も「責任感のある誠実な経営者であれば自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し、長時間勤務による過重労働を抑制する措置を採る義務がある」と判示し、経営者個人の責任を認めました。現在、会社側は最高裁に上告中。

中島代表から表彰状を受け取った了さんは「まさか東証一部上場の大企業に入って大事な子どもを亡くすとは。妥協せずにとことんまで闘いたい。日本から過労死を絶対になくさないといけない」、隆子さんは「186センチ96キロの息子が一瞬にして亡くなった。同じ背格好の子を街で見かけると息子を思い出す。最高裁で係争中であるが、がんばって闘っていく」と受賞の言葉を述べました。

授賞式の後、昨年の受賞者で「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表が、過労死を出した企業名の公表を求めている裁判の現状を報告し、過労死防止基本法の制定に向けて協力を呼びかけました。また、昨年大みそかに日本航空に不当解雇され、その撤回に向けて裁判を闘っている客室乗務員の原告団から支援を求めるアピールがありました。

その後、第2部として佐高さんが「原発文化人の罪を裁く」と題して記念講演を行い、危険な原発を推進してきたタレントや政治家らの言動を厳しく批判しました。


(上の写真=記念講演を行う評論家の佐高信さん)

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