写真=合意後に厚労省で開かれた遺族らの記者会見
すかいらーく契約店長過労死 解決内容が大々的に報道
すかいらーく契約店長だった前沢隆之さん(享年32)の過労死について遺族と支援する全国一般東京東部労組と会社が合意したことについて、5月13日午前にあった調印式のあとの同日午後2時から、遺族と組合側が厚生労働省で記者会見を開きました。
会見には隆之さんの母親である前沢笑美子さんと妹の美保さんが遺族として出席。同じくすかいらーく店長の夫を過労死で亡くした中島晴香さん(「過労死をなくそう!龍基金」代表)と組合スタッフ2人が参加しました。
私たちは会社側にも会見への出席を求めてきましたが、かたくなに拒否したため共同会見は実現しませんでした。
当日の会見には多くのテレビ局や新聞社が参加。前沢隆之さんと中島さんの夫の富雄さんの遺影が掲げられました。
前沢笑美子さんが「近い将来『過労死』という言葉が死語になることを望みます。息子の死を無駄にしないためにも私たち家族は勇気を出し、与えられた使命をまっとうしていく覚悟です」と涙ながらに発言しました。
美保さんは「一個人で立ち止まっていては何も進まないままだとの思いで、私も兄のため、またこれからの子どものためにも勇気を出して母を支えていきたい」と話しました。
中島さんは「夫が亡くなって5年の月日がたったが悲しみは癒えない。会社は二度と過労死を起こさないと私に約束しておきながら、またもや過労死を起こした。本当に反省しているのか疑問だ」と語りました。
会見を受けて、13日夕方から夜にNHKや民放が全国ニュースで放送し、14日付け朝刊では新聞各紙が大きく報道しました。それぞれの見出しは次のとおりです。
朝日新聞「すかいらーく契約店長過労死 正社員並み賠償で決着」
毎日新聞「契約店長過労死 正社員並み賠償合意 すかいらーくと遺族」
読売新聞「契約店長に未払い残業代 すかいらーく過労死遺族と合意」
東京新聞「『正社員』で賠償へ 契約店長過労死 すかいらーく合意」
日本経済新聞「すかいらーく契約店長過労死 賠償金社員並みに 55人の残業代も支払い」
しんぶん赤旗「すかいらーく過労死遺族に賠償 非正規店長 正社員に準じ支払い」
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朝日新聞の記事全文
「正社員並み賠償」で決着 すかいらーく契約店長過労死
外食大手「すかいらーく」の契約社員として店長を務めていた前沢隆之さん(当時32)=埼玉県加須(かぞ)市=が過労死した問題で、前沢さんの遺族が13日、厚生労働省で記者会見し、同社との団体交渉が決着したと発表した。会社側が、正社員の年収をもとに算出した損害賠償を遺族に支払うことなどで合意した。支援した労組は「非正規労働者の過労死問題の解決として画期的だ」としている。
前沢さんは06年3月から「すかいらーく栗橋店」(埼玉県栗橋町)の店長を務めた。1年契約を更新する非正規の「契約店長」だったが、残業が月200時間を超えるなど長時間労働が続き、07年10月に脳出血で死亡。春日部労働基準監督署は08年6月に過労死と認定した。遺族は全国一般東京東部労組の支援を受け、会社に謝罪などを求めて団体交渉してきた。
合意文書では、会社が安全配慮義務違反を認め「深く謝罪する」とした上で、長時間労働を抑制する仕組みづくりなど、再発防止を約束した。
これに加え、未払いだった残業代122万円の支払いと、慰謝料などの損害賠償(金額は非公表)でも合意した。前沢さんの年収は約360万円だったが、入社2年目の正社員平均(約450万円)を基準に賠償額を算出した。すかいらーくは「店長として正社員並みの重責を担っていたことなどを考慮した」と説明している。
前沢さんの母・笑美子さんは会見で「事故が起きてからの対応では遅すぎる。企業は過労死を絶対起こさないように手当てして、過労死という言葉を死語にしてほしい」と訴えた。
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毎日新聞の記事
心無い書き込み、家族への配慮の言動、興味本位の言
動は、人間として許すことができません。
過労死を闘う人がいるから、厚生労働省も動くのです
”明日はわが身”なんですょ。
本当に心の底から、祝福させていただきます。
奈労連のみなさんのご奮闘に敬意を表します。「過労死をなくそう」という遺族の必死の叫びに対して品性下劣な言動をする人間は本当に許すことができません。遺族の勇気ある行動をみんなで支えることが、社会から過労死を撲滅する道だと考えています。これからもともに頑張りましょう。
「四葉のクローバー」さんへ。
生きるために働いているのに、その労働で命を奪われるような職場は変えていかなければなりません。息子さんの心身の健康が心配です。私たちで力になれることがあるかもしれません。全国一般東京東部労組の担当・須田までメール(info@toburoso.org)か電話(03-3604-5983)で連絡してください。
記事を読んで深く感動しました。遺族の方々の思いを感じて「こんな社会を作ったのは人間です。ならば人間が変えられるはず」「過労死の言葉が死語に」と母の言葉に涙が出て一字一字読み胸が痛くなりました。…中略…こんなに新聞を見て感動したのは初めてでメールしました。…攻略…(埼玉県の男性)
笑美子さんと美保さんが、会見で心ない言葉に辛い思いをしてきたことを話しておられたので、こんなに気持ちが伝わっている人もいると伝えたくてメールしました。書いた自分が恥ずかしくなるぐらい東海林のことも褒めてもらいました。笑美子さんたちの勇気が社会を動かしていると感じます。
だがしかし、すかいらーくは全面的に謝罪したということではありません。すかいらーくは前澤さん、中島さんの遺族と一緒に会見しないことはすかいらーくが第二、第三の中島さんと前澤さんがいることが非常に疑わしいと思われます。
外食産業で働いてきた元社員としてはマックの高野さんから残業未払い問題始まり、中島さんと前澤さんの遺族が過労死を認めた。これはほんの一部かもしれません。彼らの不撓不屈の精神に共感し、社員・元社員が外食産業の職場改善の起爆剤として動くきっかけではないかと思われます。
証拠として、平均勤続年数が物語っている。
消耗品扱いにならないよう、外部の労働組合加入を、
お勧めします。