郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

韓国元徴用工の訴え

2018年11月09日 | 日記
10月30日、韓国の大法院(最高裁)は、日本植民地時代に強制連行された元徴用工4人が新日鉄住金(旧新日鉄)に求めた損害賠償を認めた。

日本企業側の上告を棄却し一人一億ウオン(約1千万円)を支払うように命じた。
判決に涙する原告李春植さんの写真が載っていた。


(東亜日報より)

90年代、元徴用工たちは日本の裁判所に訴えたが却下された。
2000年代に入って韓国の裁判所への提訴が始まった。
李さんは2005年、提訴し、一審二審と原告勝訴、被告の新日鉄住金が上告して、今回の最高裁の判決となった。
4人の原告のうち、3人はすで亡くなり、李さん一人になった――新聞1面トップで報じられていた。

李春植さんの悔しさ、怒りが韓国最高裁で受け止められてよかった。
日本に強制連行され各地の鉱山、工場、港湾、トンネル工事などに労働力として投入された。
長時間の過酷な肉体労働、乏しい食糧、暴力支配などすさまじい労働環境の中で酷使され斃れた多くの仲間、逃げようとして捕まりリンチで殺された仲間、賃金は積立するからと言われ結局支払われなかった。

仲間の無念を晴らしたい、歴史の闇に埋もれ消されてしまう事実、自分の心身に焼き付いた理不尽を明らかにし、責任を認めさせたい、泣き寝入りさせられてなるものかとの強い思い。

国策だったからと言い逃れ、時効、自分らには関係ないとしてシラをきる大企業、国家に対して、李さんたち個人が立ち向かった。

ロウソク革命、朴槿恵大統領を追放した民衆の力があって、韓国最高裁も民衆に寄り添う判決が出せたのだと思う。

安倍首相は「国際法上あり得ない。1965年日韓会談で締結された日韓請求権協定によって解決されている。それを蒸し返すなんて、国際法に照らしてあり得ない判決」と強硬な口調で抗議。

河野外相は、韓国大使を呼び「日本企業が不利益を生じないように韓国政府が必要な措置をとることを求めた」。
翌日には「韓国外務大臣に電話で申し入れた」と発表。

新聞の見出しは、日韓関係に打撃、日韓両国の関係がまた悪化するのではないかと懸念、31日のモーニングショーでコメンターの玉川さんも、「日本の世論が韓国バッシングに走り、嫌韓ムードが勢いづくのではないかと心配」と述べるだけだった。
これって、ナショナリズム? 大企業、政府の言い分、80年前、大日本帝国がやった植民地支配、非人道的な行為を告発している韓国人元徴用工の言い分、どちらの側にあなたは立つの?

安倍首相は『完全かつ最終的に解決された』と抗弁する。
日本は韓国に3億ドル・1080億円を無償提供、2億ドル・720億円の長期低利貸付を行うこのことで、日韓両国、国民の間の財産、権利、利益、請求権に関する問題は解決済み、何を今更と言う。

聞きながら、『最終的かつ不可逆的解決を確認』を思い出した。

2015年12月末、私には寝耳に水で発表された従軍慰安婦問題の日韓合意――わけが分からなかった。
この問題を真に解決するために、子どもたちに事実を伝えることの実行を従軍慰安婦にされた女性たちはずっと求めてきた。
そのことには一切触れていない。

ソウルの日本大使館前の少女像を撤去してほしい、早くこの問題を終わりにしたい、『最終的かつ不可逆的解決を確認』と言う文言に日本政府の居丈高の焦燥心が見え見えだった。
そもそも、安倍首相の言う1965年の「日韓条約」とは、そんなに胸を張れる立派なものなのか。

ネットで調べると、韓国はもともと日本の植民地支配の賠償として21億ドルを請求していた、日韓会談は、朝鮮戦争終了後アメリカ主導で開始され、当時の韓国は朝鮮戦争で国土が荒れ果て、最貧国、経済を立て直すために政府は資金がほしかった。

韓国国内では「はした金で譲歩するのか」「屈辱外交」と反対運動が高まったが、朴正煕政権はっ戒厳令を敷いて通したという。

交渉の過程では、元徴用工の未払い賃金の問題も討議され、無償3億ドルの中に含めるということになっていた。
しかし、朴政権は元徴用工には補償しなかった。
だから、安倍首相は、これは韓国政府の問題であり、「完全かつ最終的に解決」と胸を張るのだろう。
でも、そもそも元徴用工の未払い賃金、強制連行、強制労働への賠償は、「3億ドルに含まれる」でチャラにできるのだろうか。

ドイツ企業が、強制労働させた外国人に戦後補償をしたと聞いた。
アメリカも日系米国人を戦時中強制収容所に送り込んだことを公式に謝罪して補償したではないか。
条約が不備であれば、交渉により修正されるべきものではないか。

日米安保条約に関する米軍基地協定もしかり、沖縄の人たちが米軍辺野古新基地建設反対と何度も意思表示をしているのに、ごり押しを続ける、日米安保条約も見直してほしいと思う。
 
-Ka.M-

 
[解説]
90年代元徴用工たちが日本政府や日本企業に賠償を求めて、日本の裁判所に提訴したが、殆どが却下された。それで、2000年代に韓国政府に提訴した。2012年、韓国最高裁が「個人請求権は消滅されていないと判断した。李春植さんたち4人の元徴用工たちは2005年に提訴され1審、2審で原告 勝訴。日本企業が上告して、最高裁判断となった。
 

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