郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

ご近所さん

2019年06月13日 | 日記

都市部に家を持つってことの意味が、最近になってだんだん分かるようになってきた。

もちろん今までにも、近隣とは色々なことがあって考えさせられることもあったが、その都度、自分なりに解決してきた。

 

その中には、時間や慣れが自然と解決に導いてくれたこともあったが、日中は仕事のことで頭がいっぱいであったため、気にしている暇がなかったのだろう。

ところが、現役を退いてからは家にいる時間が増え、いやがおうにも日常生活で直面する問題が増えてきた。

 

一番の問題は隣接する家々との関係である。

もちろん全てがトラブルになるとは限らないが、家や敷地といった不動産が絡むとけっこう厄介な問題に発展することもある。

 

例えば、西側斜面下の隣地のU字溝に流れ込む雨水を巡っての問題がある。

我が家を建てる際に購入したこの土地は、北側に隣接する元地主の土地であったが、その地主が西側斜面下の住人と永年にわたって取り交わした申し合わせ事項があったようだ。

斜面に振った雨水が西側隣地の方のU字溝に流れ込むことを了承するというものだった。

しかし、購入時にそれについての細かい説明はされなかったし、私共に何らかの義務を課す契約もされなかった。

 

ところが、住み始めて数年が経過した頃から、擁壁から雨水が直接落ちて困る云々のクレームが出るようになった。

そこで私は、ホームセンターで塩ビ管やモルタルを買ってきて雨水の流れを変えたり色々と対策を講じてきた。

その後は文句は出てないが、今度は何を言ってくる来るやら・・・・。

 

また、土地購入時に出来た人間関係がそれなりに良好なため、北側隣地の方とは比較的円滑に接しているが、その敷地に庭師が入った際に問題が発生する寸前までいったことがある。

お隣さんは元々は敷地が広く専属の庭師が定期的に剪定などの作業に入っていたようで、今でもその名残で時々作業にやってくるが、その庭師が「お宅の庭木はきれいに剪定し終えたけど、隣(我が家)の木がこっちへ入って来てるから困った・・・」と話したようだ。

私共はそんな話を直接耳にしたわけではないが、妻がある日、お隣さんに「庭師がお宅の木がうちの方へ伸びてるって言ったようだけど、うちは全く気にしてませんから・・・」と突然言われたようだ。

それを受けて妻は、「何か嫌味を言われたように感じたんだけど・・・」と言っていた。

 

実はこれには伏線がある。

隣に庭師が入った翌日、うちもやるかと私がしばらくぶりに裏の木々の剪定をしているのを隣の方が見ていたようだ。

お隣さんは、庭師の言葉を聞いた私が早速作業をしたと思ったに違いない。

だから、お隣さんは決して嫌味で言ったわけではないのだろう。

 

何故そう思ったかは、私はそのお隣さんとはたまたま何度か路上で世間話をしていたから、その彼女(私と同年代)の人柄をある程度予想できるからだ。

自治会の活動や朝のスクールガードの帰りにお会いして話したりしている・・・。

やや込み入った話になるが、お隣さんは同一敷地内に二世帯が建っていて、妻はもう一戸のお隣さん(先程の方の妹さん)とは日頃から物を頂いたりあげたりして親しくしているが、嫌味だと感じた方とは初めて会って口をきいたとのことだった。

 

このように近隣の人間関係はちょっと間違えば、あらぬ方向へ行きかねない非常に危うい状態にある。

もしかすると、私たちが気付いていない事柄も沢山あるのかもしれない。

そして、互いに心を開かないまま進行して思わぬトラブルに直面することもあるのだろう。

 

昔から敷地境界線を巡っては様々なトラブルがあるようだ。

これは田舎であっても同様だが、土地価格が高く貴重なものだったり人間関係が希薄だったりすることが、都市生活においてのネックの一つになっているような気がする。

 

そんな環境でも私たちは互いに生きていくわけだから、少しでも開かれた関係を模索していく必要がある。

「みんな違って みんないい」関係が構築できたら、都市生活だって満更捨てたものでなくなるかもしれない。

そして、実はそうして営みが私たちの社会を変える動きに繋がってくるように思う。

 

そういえば、娘が言っていた。

「お隣さん(南側の隣地)の子、もしかしたら野球辞めるかもしれない。そうしたら、うちの子とこのまま一緒に遊べるかな・・・」って。

色々な繋がりの中で日常生活が営まれている現実、そこに目を向けるのは必要だが、そこだけに留まっていては前に進めない。

アンテナを高く張りつつも、自ら思い切って他との関係を模索するのも無駄ではないだろう。

 

こんなことを考えつつ、今年もそろそろ隣地に伸びた木の枝を切ることにしよう。

 

-S.S-


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