よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

住まいづくりの怖さ!

2009-09-02 13:00:38 | とりとめもなく

 住まい作りは多額の資金が必要となる。
限られた予算の中で要望を満たし、納得できる家をつくるには、多くの要望を一つ一つ検証し、出来るか出来ないか結論を出した上で進めなければならない。

しかし、現実は思い描いたようには進まず、専門知識の乏しい中で、複数の業者から出されたプランを検討し、見積もり書を見比べ、予算に見合う業者を選ぶため、数字合わせに時間を費やす。
結果、内容や品質まで理解できないまま、決めてしまうケ-スが多く見られる。
本当にいい住まいは、ブランドでもなければ、安心でも無い。安心は買うものじゃなく本来は作り出すものの筈。

保障は必要なのですが、それを優先順位にしてしまえば、確かな品質を手に入れる手段にはならない場合が多く、中身の伴わない高額な家を買うことになってしまう。

住まいづくりで最も大切な事は、金額ではなく品質にある。
3000万円の家だから品質も良いとは言えない、場合によっては2000万の家に負けてしまう場合すらある。
そんな家が、今尚生み出されている、一生懸命貯えた資金や、長い年月をかけ支払うロ-ンで確保した資金を、高いのか安いのかも見極められず、簡単に決めてしまう傾向にある事は確かで、その要因は施主と施工業者が直接交渉する所に問題があり、
このような場合、知識を多く持った側が優位で、持たない側は、殆どが言いなりになってしまう。

交渉は同じ知識か、或いはそれ以上の知識を持って臨まないと交渉にはならず、特に建築の中においては色んな職種の集合体で出来上がる為、多くの知識と経験が必要となってくる。

 住まいの良し悪しを見極める為には、多くの情報が必要であり、建物の大小に関係なく一軒の家の内容を確認するためには、500~700項目の情報が書き出され、一つ一つの情報から、品質とそれに見合う金額を決め、査定し、それらを集計して初めて建物の価値が決められる。

このように、住まいづくりは、書かれた金額を見比べ決まられるものではなく、出来あがってしまえば後戻りは出来ず、長い年月をそこで暮らすことになる。

文字で書き綴っても、なかなか理解できないだろうが、以前 当社を訪れたお客様が既に某工務店と契約し、200万の契約金を支払ており、契約書の内容の不透明さと、それにより信頼が築けない為、もう一度検討しなおしたいとの事から、結局200万の契約金を放棄し、当社でプランから組み直した。

屋根はガルバリュウム鋼板で葺き、外壁は外断熱を使い、断熱効果を高めるため、内側にもロックウ~ルを充填した二重断熱を採用、子供さん、奥様共アレルギ-体質であった為、内装 は殆ど自然素材を使い、床は30ミリの無垢板、壁は珪藻土、家具は全て作りつけ家具とし、47坪の広さの家が2400万円で出来上がった。

建築途中この建物の向かいの敷地で、某ハウスメ-カ-の家も動き出し、基礎が終わり3日で建物が立ち上がり完成まで2ヶ月。
奥様同士が友達で、完成後見学させていただき、内容と金額を聞いて驚いた!
35坪で2700万の家で、内装は殆ど全てが新建材でつくられ、壁や天井は全てがクロスで仕上げられていて、無垢の材料は何処にも見られなかった。
別注家具は何処にも見当たらず、どうしてこんな家が2700万も必要なんだろう、と疑問だけが残った。

当然、前の奥様もこちらの完成の折に見学に訪れ、ショックは隠すことが出来なかったのか、「家の話題は止めましょう!」と言った奥様の言葉が印象的だった。

建物は信頼出来る業者に依頼するのは当たり前、当然向かいの家も信頼が出来たから契約を交わし発注したのでしょうが、欠けていたのはその信頼を裏づけする確実な情報を手に入れられないまま、安心と信頼だけを買い、本来の建物の品質が後回しにされた結果、出来上がった後、両方の家を見比べて始めてその内容の違いの大きさに気づいたのだろう。

広さは10坪以上も広く、金額は300万安く、品質の違いは素人が見ても
その違いはすぐに分かる程。
このように、比べて初めて違いが分かっただけで、分からないまま過ごしている人も多くいることだろう。

結果論から言えば、出来上がってしまった家は、見比べる事無く分からないままの方が幸せなのかも知れません。
しかし、多くの予算を注ぎ込み、出来上がって落胆するのは可愛そうだとしか言えない。