よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

住まいづくりの変貌

2009-09-09 16:54:47 | とりとめもなく


 住まいづくりは、約半世紀の間に大きく変わってきた、まずは住宅ロ-ンの出現により、今まで資金が不足した人に、長期での融資が可能となり、ロ-ンの普及により住宅着工数が増え、それに伴い建売住宅が盛んになり、より早くより安く作る事が考案された。

仕上げ材においても、値段が安いベニヤにプリントされた仕上げ材が生まれ、それが新建材と呼ばれるようになり、現在もベニヤにシ-トを貼った建材が使われ続けている。

窓枠も、建具枠も、それからドアまでもが、繊維を圧縮した板に、木に似せたシ-トを張った商品が主流となっている。
昔は、殆どが自然素材で作られ、土と、木と、紙で造られた家が多く、風通しは良すぎたが、シックハウスと言う言葉さえなかった。

私達は、時代の流れの中で、豊かさも手に入れ、過去において住宅着工戸数は、ピ~ク時で年間170万戸を記録し、住宅全盛期を迎え、大手企業が住宅産業に参入し、資金力のある企業が全国規模で支店を出し、それがハウスメ-カ-と呼ばれるようになり、展示場展開で集客率を上げ、年間6000棟~12000棟を受注する規模となった。

展示場に行って実際建てている建物を観て、参考にしながら計画を進める方法がそれまでに無かったためか、その手法は、住まいづくりを考えている人達にとっては、新鮮さと、大企業であると言う安心感を与え、展示場展開は大成功を収める結果となった。
その中で新建材は重宝され、造る側にとっては、クレ-ムの少ない建材となり、表面が綺麗であれば受け入れられる商品が開発された。

カンナは不要で、両刃鋸も必要なく、ホ-ムセンタ-で売られている700円のレザ-ソウ鋸があれば用は足りる。
幅木も廻り縁、ドア枠さえも全てシ-ト貼りで造られたもの、壁は700円程度のビニ~ルクロス、天井もビニ~ルクロス、ドアさえも、3ミリベニアニシ-トを貼ったフラッシュと言われる中が空洞のドアで、足でければ突き抜けてしまうようなドアもつくられ、1万円で造れそうなドアが、枠セットで7万円で売ってる場合もあった。
床フロア-は、ガムテ-プを貼って、後にそれを剥がせば上に貼ってある化粧板(突板)が塗料と一緒にめくれてしまう商品さえ平気で使われ、今尚、某メ-カ-は使っている。

これ等の建物が大量生産のコストダウン効果で安ければいいのだが、安いとは言えず、我々が造る建物より遥かに高い金額に設定されている。
高い建築費は家に生かされず、経費に消えているからだ。


ハウスメ-カ-と呼ばれる全国展開の企業の場合、建設費の25~35%が経費として必要になり、宣伝広告費、無償で配布されるパンフレット費用、事務所経費と展示場経費、人件費の他に下請け工務店経費、本社に当てる上納金等が経費となり、3000万円の家が、実際は2000万円で造らないと会社は維持できないのも理解できる。

私達の事務所にも、メ-カ-と交渉中の方や、予算に合わない理由で断ったと言うお客様が来店され、変更後の設計内容と、その予算の開きに驚かれるのですが、私達が魔法使いでもなんでもなく、原価で積み上げた、当たり前の予算を提示し、建物に予算を生かしているからメ-カ-の提示した予算と内容とを比較すれば、違いがでるのは当然の事といえる。

このようにして単純に考えても高くつく理由が分かる筈なのですが、実感として捉えられず、どれほどの無駄を支払っているかも分からないのが現実なのかもしれない。

これからの時代、私達は好景気を待つのではなく、無駄を無くし本当の意味で、中身を重視した建物を造り、財産を守り、それに伴う無駄を無くさなければならない。
自らが守る方法を考えなければ、結局、自分に跳ね返って来る事となる。

 

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