よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

勇気

2009-09-07 10:17:08 | とりとめもなく

見直す勇気、変われる勇気

 

自由民主党の時代が国民の一票から変わった。国民に変える勇気があったからに違いないが、しかしここまで来るのに長い年月がかかり多くの無駄を生み出した。 その為、多くの借金を国民に背負わせ、官僚達は我が身を守れる環境をつくることに精を出し年間12兆円を私達の国民から支出させるまで、野放し状態で今まで来たのだ。

これから、国が重きを置かなければならないのは、無駄をなくし、国民の為になる税金の使い方をしなければならない事は、周知の事であるが、国民一人一人も、その意識を持たなければならない。               その中でも、最も大きな個人の無駄は、住まいづくりの中にもあり、金額の大小だけではなくエネルギ-の問題や、環境の問題にたいしても影響していく事にもる。 この中には、気づかない無駄があり、指摘され或いは比較して初めて見えてくるものが殆どで、一般ユ-ザ-には最も分かりにくい品質の優劣がある。品格法も施工されたが、これも場合によっては、業者の高い建物になった言い訳にされ品質が良くなるのだからと、言われるままの言葉を飲み、対抗策のないまま前に進む事になってしまう。

今から、4年前家づくりを考え直したいと一人の奥様が友達と一緒に事務所にやってきた。多分一人で訪問する勇気が無かったのかも知れないが、話によると、その頃某テレビ局が放送していた視聴率の高い、増改築を取り上げた番組に、”匠”との表現で紹介された設計事務所で、設計した図面が出来上がり、施工業者から出された建物金額は、予定金額を600万円もオ-バ-する金額となったと言う。

設計者には、予定金額を最初の段階で伝え、それに沿った図面になっている筈だと思っていたが、その意向も満たされず、設計者いわく、「要望を満たせばこうなった」と言ったそうだ!600万円を調整するには、基礎工事を無料にし、内装を無料にし、屋根を無料にしても、まだ届かない金額で、実際無料で施工してくれる業者もいない。 既に50万円を施工業者に支払い、100万円を超える金額を設計事務所に支払い合計180万近い金額が、出費されていた。

予定金額から既に支出された金額を差し引くと、残った予算は、2000万円を切る事になった、設計事務所が依頼者の要望によって出来た広さは50坪を超えており、まず、要望を満たし、プランの無駄を無くし、45坪程度の広さに縮小、屋根も壁も外断熱で仕上げ、屋根葺き材を使わず、仕上げる事を提案。 屋根を断熱材のみで仕上げるのは、日本初だということもあって、直系60センチ高さ60センチの円筒に水を張り、底に断熱材で仕上げたサンプルを敷き、水漏れ検査を10日間かけて実験し、水圧による浸透も、水漏れも発生しなかった。

結局、45坪の家と、内装は殆ど自然素材で仕上げ、デッキを作り、高断熱サッシを使い、ロフトを作り、システムキッチンを別注にし、奥様はネットで安いコンロを探し出し、照明も奥様の工夫した手作りの照明器具も採用したのだった。

 結果、出来上がった建物金額は、消費税込みの1900万円をクリヤ- し、 当初計画した予算を逸脱することは避けられた。断熱も外断熱に加え、内壁側にもロックウ-ルを充填し二重断熱とした結果、二階の吹き抜けに設置したクラ-一機で夏は快適に過ごせ、電気代も1万円を超えることは無いと言う。

 このように、無駄を無くす意識と、間違いに気づきリセットできる勇気があったからこの家は実現したと言える。事務所を設立し現代に至るまで、10人以上のお客様の勇気に立ち会うことが出来それぞれに望む結果を出してきたのですが、問題は、多くのユ-ザ-が、建物をつくる段階で迷い、その迷いに答える手段に行き着く術を知らないことにある。

1万円の無駄は取り戻せる場合があるが、家は気に入らないからと言って、捨てることは出来ない。無駄の中でつくられた家であることすら知らないで住んでいる人が殆どなのだろうが、出来上がってしまった家は、気づかないで住み続ける事を祈しかないのかもしれない。