よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

回想ー2(連載)

2010-12-19 22:59:55 | 回想

来られたお客さんAさんはその後数回訪れ、契約の運びとなったが
説明した契約金の半分を持ってきたのだった。
こちらとすれば契約金はいくらでもいいと思っているが、契約とは
その人を信頼し、契約内容にしたがってこそ正立するが、最初から
試されているようで、半信半疑のまま打ち合わせは進んでいった。

契約後何ヶ月か進んだ折、想像した通りうまく歯車がかみ合わなくなり
自分の思ったとおりの順序で進まないと気に食わないのか、ロフトを先に設計して欲しいと言い、全体が見えないとロフトは作れないとこちらは説明するが、Aさんは聞き入れようとはしなかった。

Aさんの夢は良く分かるが、家は住むために建てるものであり、キッチンやその他の生活空間を煮詰めた上で、構造を考え骨組みが出来、ロフトの位置が決まり 、外観を描く事が出来る。

メールを書き、話をしたが理解してもらえず、結局このまま進むと、お互い納得できる建物は無理だと判断し、どうやって事を終わらせようかと考え、相手のプライドの高さからすればこちらから断るわけには行かないだろうと考えたのが間違いの始まりだったのかもしれない。


回想-1(連載)

2010-12-19 12:19:29 | 回想

思い起こせばこの業界に身を置き、既に37年になる。
何事も無くここまで続けてこれたのも幸せな事かも知れないが、
人と人の関わりの中において、全てが平穏に来られた訳ではなく、
時には食い違いが発生し、思いを叶えてあげられない結果に終わる事もあった。

この事務所はログハウスで建て、展示場も兼ね備え、ログ好きの訪問者も多く、年間1~2棟の注文を受ける。
ある日40過ぎの体格のいいお客さまが事務所を訪れた。

「ここは、ログハウスも建てていただけるのでしょうか?」
事務所に招きいれ、説明をし一時間ほど話をした後、彼の情熱と
それ以上の強い個性と、我がままさを持っている事がわかった。

帰り際に、
「貴方は はっきりした色をお持ちのようです」
「個性の強いもの同士が 事を一緒に成す場合、うまくいけば
 最高のものが出来、間違えば最悪になるケースがありますので
 よく考えて決めて下さい」・・・と伝えたのだった。

私自信は個性の強い人間だとは自分では思っていないが、
人は、貴方は個性の強い人間だと言う。
私はただ、おかしいものはおかしいと言い、嫌な物は嫌だと言うだけで
ここをはっきり表に出すと、個性が強いと言われるのかも知れないが、
へつらうのが嫌いで、機嫌を取るのも嫌いなだけで、素で生きられればと思っている。