予算節約の為、施工業者の経費までも節約しなければ予算内では収まらなくなった。
パソコン5台分を経費に注ぎ込めば工務店の経費は出たのだが、
それも認めず、とにかく自分の資金を最小限に抑え、自分の気に入る建物を建てたかったのだろう。
Aさんは、過去に住まいを建てた折、その建物を設計した設計者に対し、気に入らないので出入り停止にしたのだと言っていた。
多くの時間をかけ、打ち合わせを行い、海外の業者と値段交渉もし
コンテナーも日本に着き、仮置き場の場所も確保し、工事は止めることは出来ず、どのような結果になろうとも建物が完成するまで引くことは出来ないと思った。
自分の思い通りに進まない不満が出始めたのだろうか
「私の望む家を設計していただけるのは貴方しかいない」と言って再契約をと言った時のAさんとは違っていた。
人間とは本来勝手な動物なのかも知れない。
自分の求めるものが手に入れば喜び、賛美し、褒め称えもするが、
思い通りにならなくなったとき、それが自分の原因であっても、誰かのせいにしそれを認めようとしない。
原因を認めず、強引に思い通りにさせたとしても、感激や喜びを
手に入れる事は出来ないだろうが、心を満たす事はAさんにとっては
自分の欲しい物を手に入れる事だったのだろう。