テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

2012-09-08 20:52:18 | 本、小説、漫画、動画、映画、音楽等
良くない噂に、不安に転びつつも、コミックス最終巻が出るのをじっと待って、そして、主人公島崎三歩の死に臥し転び、最近ようやっと、あー死んで終わったんだ~と思い始めた、登山、遭難、救助、山男漫画です。
映画化もされた(黒歴史ですが)ので、ご存じの方も多いかと思います。

その昔、一年の終わりに、「凍死して春の雪解けと一緒に流れ出るまでゆっくり過ごそう」を合言葉に比較的低山の厳冬期山中泊をしてたことがあるのですが、この漫画に出てくる主人公の三歩さんは、そんな軟弱登山者とは対極にある崇高な超人で、山岳救助ボランティアをしながら、山に住む、不死身の人なのでした。

山の事故は、平地とは全く違う天候の変化の圧倒的打撃により引き起こされることが多いのですが、さすがの超人も、最高峰での厳しい天候の急変下で、二重遭難に陥り、生還できなかったようです。

登山の素晴らしさを肯定的に描き、その裏に潜む遭難の怖さを身近にリアリティを持たせるこの漫画は、従来の登山漫画とは違う切り口で、連載開始当初から結構お気に入りでした。それ故一層残念なのです。そして、この漫画の至るところに溢れる生きて帰ることへの無条件な礼賛から、まさかこんな終わり方になるとは思っていなかっただけになおさら吃驚しました。

ネタバレしておいてなんですが、こうして主人公三歩も死んでしまうということを理解してからでも、読む価値は充分にあるので、お勧めしておきます。