あさこハウス(参)…

原発建設に反対を続ける熊谷あさ子氏は
1990年代より
電源開発をはじめ地元企業・行政からの
執拗な説得工作を受け続けてきた…
それでも頑として首を縦に振らぬ彼女に
手段を選ばぬ工作が
次々と追い討ちをかけるように続けられ
そしてエスカレートしていく…

実際に明るみとなった非合法集団による
現金や脅し
脅迫電話や脅しの手紙、そして誹謗中傷
更にストーカーのように後をつけまわし
彼女と接触した人々のところを訪れ
二度と口を聞かぬよう金品を渡し脅迫…
親戚や友人らを利用した説得工作も続き
漁師を営む息子に対しては
その収穫を漁協が不当な値段で買い叩き
漁業の継続を困難なまでに追い込んだ…

そしてとうとう彼女やその家族達には
挨拶をする人さえも誰一人いなくなった…

あさこハウス(弐)…

2001年…
町長や町会議員が毎日のように
彼女の説得に家を訪れ
2月26日から3月30日までの間に
25回もの訪問があった…

原発とは
その街の将来を全く違うものに
変えてしまう…
しかしバラまかれる金のために
すべき筈の議論もされず
誰も危険な事をわからぬままに
計画だけが進んできた…
あらゆる全ては
金の力で正当化されていった…

あさこハウス(壱)…

一九八四年の誘致決議から
二〇〇八年の五月に至るまで
大間原発は
その着工すら行われていない…
それは
炉心建設予定地付近の
土地を所有していた地権者が
原発建設に反対し続け
最後まで
買収に応じなかった事にある…

そのため電源開発株式会社は
二〇〇三年二月
ついに用地の買収を断念し
原子炉設置許可申請の変更と
計画の見直しを
強いられる事となった…

そこには
大間の海を守る為戦い続けた
ひとりの女性の姿がある…