あさこハウス(七)

世界で初めてのMOX燃料炉心使用…
それは国内に溜まり溜まった
29トンものプルトニウムを
どうにか消費しなくてはいけない
逼迫した国策の上にある…

やがて原発ゼロを打ち出しながら
新たに建設する矛盾を推し進め
福島原発の事故から
僅か一年半で建設を再開している…

それは殆ど暴挙でしかない…

あさこハウス(六)…

彼女は農地に住み込んで
生存権を盾に戦う事を決意した…

彼女の仕事を請け負ってくれる
地元業者はある筈もなく
自分でログハウスキットを購入
娘と二人で
農地の真ん中にこの家を建てた…

この時本人達には出来ない様な
屋根周りの処理や防水などを
こっそり手伝ってくれた職人が
いたという…

もし行政や商工会に見つかれば
この土地では
仕事が出来なってしまうような
反対の声を出せない人達が
原発と生活の狭間には沢山いる…

そして
完成した家への引越を始めた頃
金にも脅迫にも権力にも
屈する事の無かった彼女が突然
他界してしまう…

あさこハウス(伍)…

金なんて何億貰っても
そのうち無くなる…

だけど大間の海は
捕りすぎず
さぼりもせず暮らせば
ずっと生きていける…

「熊谷あさ子の言葉」より

あさこハウス(四)…

静かな海沿いの130平方km…
冷たい金網と鉄条網が囲む
その広大な土地の中央に
あさこハウスは建っている…

途中には
監視棟と監視カメラがあり
土地への出入りと生活は
常に誰かに見張られている…

金網に囲まれた道はまるで
収容所のようだ…


しかしこの状態でさえ国は
建設許可を認めた…