[ロンドン 27日 ロイター] - 世界が今、最も必要としていないものはドル高だ。しかし、アナリストの間では、
ドル高は避けられそうもないとの見方が大勢となっている。
ドルは昨年夏以来、20%近く上昇。米輸出と企業業績を圧迫しており、世界の成長エンジンの1つである
米経済全体への影響は深刻だ。
一方、新興市場に目を転じてみれば、ドル高に起因するコモディティー(商品価格)の急激な下落により、
資源生産国の多い新興国の経済は疲弊。さらに、ドル建て債務の負担増大が追い打ちをかけている。
ドル高については、米連邦準備理事会(FRB)も懸念を表明している。FRBは先月、利上げを見送った
理由として、為替相場の経済への影響を挙げた。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、ドル問題が
政策決定に大きく影響する、と見られている。
ただし、通貨切り下げ競争の再燃もささやかれるなか、ドルの下落は想定しにくい。ユーロや円が上昇した
場合の自国経済への影響を懸念する欧州と日本の当局が、ドル安阻止に動く可能性が高いからだ。
よって、外為市場のアナリストの間では現在、ドルは今後1年間、主要クロスに対して上昇する、というのが
コンセンサスになっている。
<米成長加速は世界経済全体にプラス>
シティのチーフエコノミストであり、イングランド銀行(英中央銀行)の政策委員を務めた経歴を持つ
ウィレム・ブイター氏は、ドル安は世界経済が新たなリセッション(景気後退)に陥ったり、成長率が潜在成長率を
長期的に大幅に下回る事態を阻止することができる、と指摘。
同氏は「米経済の成長率が加速すれば、世界経済全体にとってプラス」と述べ「金融・財政面の刺激策でもって
適切にドル安に誘導できれば、世界経済の重要な需要源の押し上げにつながる」と強調した。
米経済が世界の生産の4分の1に相当することを踏まえると、ドル安は、世界経済に対して強力な刺激効果を
もたらす可能性がある。
ドイツ銀行のエコノミストらの調査によると、純輸出は今年、米経済成長率をおよそ0.7%ポイント押し下げる見通し。
押し下げ幅は、1月時点の予想の0.5%ポイントよりも拡大する、と見られている。
さらに、押し下げ幅0.7%ポイントのうち、ドル高が約0.5%ポイントに相当する、という。ドイツ銀行は、
こうした現象は今年以降も続き、2016年前半にもピークに達する、との見方を示している。
<ドル高、米企業や新興国への影響深刻>
ドル高の影響は深刻、かつ広範囲に及んでいる。IBM(IBM.N)やウォルマート(WMT.N)などの決算を見ると、
ドル高が米企業の収益性に打撃を与えていることが鮮明に示されている。S&P総合500種指数採用企業は
第3・四半期、およそ4%の減益になると予想されている。
ドル建ての債務を多く抱える新興市場の銀行や企業も、ドル高には脆弱だ。ルネッサンス・キャピタルの
チャーリー・ロバートソン氏によると、新興市場の海外での債券発行額は過去10年間で4倍に増加し、
およそ2兆ドルに達しているが、その大半はドル建てだという。
ただ実際には、ドル安の実現は難しい。他国は自国通貨安を望んでいるからだ。FRBが長期的に
利上げしないと宣言すれば、ドルの圧迫材料になるだろうが、利上げに接近している今、その可能性は小さい。
一方、HSBCの外為戦略責任者、デービッド・ブルーム氏は、ドル相場が重視され過ぎているのではないか、
と指摘する。同氏は「通貨が世界を救うことはできない」と強調、世界の成長のトレンドを決定づけるのは、
政府、中央銀行、企業、そして消費者自身だと述べた。
(Jamie McGeever記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦)
日本にとって、ドル高、円安の方がメリットが大きい。
円安になると株価が上がるし、TPP時代になってもドル高だとアメリカ製品が日本では安くできずに売れない
逆に日本の輸出品が売れるため、ドル高歓迎じゃないだろうか。
でも、FRBのサジ加減でコントロールできる世界であり、アメリカの中央銀行が民間という特殊性にある。
本当にこれでいいのだろうか。
アメリカは何でも民営化し、民間グローバル企業に吸い取られて大きな財政難、FRBを国営に取り戻さないと破たんが目の前です。
刑務所も民間経営・・異常です!
でもケネディみたいに命狙われるから・・怖い。