情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

茂木健一郎『脳とクオリア-なぜ脳に心が生まれるのか-』について

2019-06-12 09:25:12 | 情報と物質の科学哲学
クオリアの伝道師茂木健一郎による『脳とクオリア-なぜ脳に心が生まれるのか-』、日経サイエンス(2001)から気になる箇所を引用します:

クオリアを神経細胞の活動から説明することが、心と脳の問題の核心である。
クオリアが、因果的自然法則と同様に、論理的な厳密性と反証可能性を満たす、自然法則の一部なのだ。
クオリアは、その原始的な属性を言葉では表せないという点にこそ最大の特徴がある。
クオリアの「内観的」定義:クオリアは、私たちの感覚のもつ、シンボルでは表すことのできない、ある原始的な質感である。
クオリアの情報処理の側面からの定義:クオリアは、脳の中で行われている情報処理の本質的な特性を表す概念である。
ニューロンが、どれほど複雑な構造とメカニズムを持とうとも、自然法則に従う物質に過ぎない以上、私たちのも、自然法則に従う自然の一部であると見なさなければならないのである。(太字指定は当ブログによるものです)
クオリア=認識の要素を構成する相互作用連結なニューロンの発火のパターン
クオリアは、発火のパターンである、というよりは、この発火のパターンそのものである。
(引用終わり)

同書は、クオリアに関連する話題を専門分野も含めて幅広く紹介しています。
心身問題や脳科学に関心ある人にお薦めします。

著者は、クオリアこそ認識の基礎であるという主張しています。
ペンローズのツイスターを用いて「新しい情報概念」の構想を述べていますが、残念ながらその具体的内容は未だに発表されていません。

先の引用によると、茂木健一郎は生粋の物理還元主義者あるいは唯物論者であることが分かります。

本ブログの一連の記事において情報概念は、原理的に物質的概念に還元できないことを証明してきました。
情報概念抽象的非物質的非客観的システム依存的であること間違いありません。
クオリア、意識、心に関わる現象をすべて物理法則で説明しようとするのは優秀な頭脳を浪費することになります。

クオリアは、進化論的にみると動物進化の早い時期に生じたものと思われます。
例えば、初めて嗅覚や触覚を持った時期です。
その段階では、ヒトの脳のような超複雑な神経回路はありません。
素朴な神経回路だったと推測できます。
そのような素朴は神経回路で生じるクオリアについて研究することが不可欠です。
その段階を飛ばしてヒトの超複雑な神経回路によるクオリアを説明することは研究手法として本末転倒ではないでしょうか。

詳細は、パソコンサイト 情報とは何か 情報と物質の関係から見える世界像 を是非ご覧ください!


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