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老いたる霊長類の星への賛歌

2009年02月20日 | SF
もし、偶然会うことになった相手がどうやらSFマニアらしいと分かったとき。
しかも、年季が入ったマニアぶりを鼻にかけてせまってきたとき、どうするか。
(こんなシチュはまず無いと思いますが)
そんなとき「好きなのはティプトリー、コードウェイナー・スミス、ディレーニイ、デッィシュですか~。
いやーティプトリーが女性と分かったときはすごいショックでしたよ。大騒ぎでしたね」

なんて言えばたいていは黙ります(かも)。

そのティプトリーの本邦初の短編集でした。
「愛はさだめ、さだめは死」「接続された女」などは別の短編集なので、
そちらもおすすめですが、
この短編集の中では「一瞬のいのちの味わい」が最凶の衝撃でした。
テーマは「精子のしっぽは受精後切り離されたときどんな気持ちになるか」。
地球は睾丸、宇宙船は男根、人類は精子。
なぜ人類は宇宙に出るのか、その理由は精子だからです!
(ここあたり「チーム・アメリカ ワールドオブポリス」の最後の演説っぽく言うとぴったり)

そして宇宙の向こう側で卵子と出合ったならどうなるのか。
SFホラー、というジャンルには押し込められない、
根源的な恐怖がジワりと迫ってきます。
ティプトリーは必読です。

サンリオ文庫は絶版、ハヤカワ文庫も品切れのようす。
【老いたる霊長類の星への賛歌 ジェイムズ・ティプトリーJr.  サンリオSF文庫】
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